ふるさと納税 駆け込み需要 基準厳格化で「実質値上げ」…静岡県内では7市町で寄付金額引き上げへ
静岡市 30代
「マグロ、いくらとか息子が好きなので、おいしい本物を食べさせてあげたいなと思って、そういった高級な食材ですかね。もう大方、メインの金額は今月までに終えました」
静岡市 30代
「毎年お米に全振りしている。自治体を決めてというより、量が多いところを選んでしまうので、今回の制度でまた寄付先が変わってくるかなというのはある」
街の人がこう話すのは、ふるさと納税についてです。選んだ自治体に寄付をすることで、税の控除や寄付金額に応じた特産品などがもらえることから、年々、制度を利用する人も増えています。“お得”というイメージが定着している「ふるさと納税」ですが、来月からルールが変更されます。
基準厳格化で実質値上げ…県内では7市町で寄付金額引き上げへ
ふるさと納税は、返礼品や送料などの経費を寄付額の5割以下にするというルールがあります。ただ、実際には経費を計上する基準があいまいで、仲介サイトへの手数料などを含めると5割を超える自治体もありました。そこで総務省は、来月から基準を厳格化することを発表。
これによって、返礼品が「実質値上げ」となる自治体が出てきているのです。番組では県内35の市と町に、ふるさと納税の基準厳格化について取材。その結果、県内7つの市や町で寄付金額の引き上げが実施されることがわかりました。
こうした自治体の返礼品をめぐっては今、ある“変化”が起きているようです。
返礼品の製造現場では…
マリンアクセス 益田和徳さん:「駆け込み需要というようなものがありまして、例年の9月に比べると注文数の方は大きく伸びています」
返礼品の金額引き上げを予定している自治体の1つが吉田町です。こちらの会社では主にマグロを扱っていて、吉田町の返礼品としてネギトロを製造しています。この「ネギトロ」はふるさと納税の仲介サイトで寄付額6位になった実績も。1万円の寄付で1.5キロのネギトロを返礼品として受け取ることができます。例年、年末に駆け込み需要があるふるさと納税ですが、制度が変更される10月を目前に、こんな実態が。
能地優アナウンサー:「こちらの部屋では、ふるさと納税の返礼品のネギトロの梱包作業が行われています。その梱包された物なんですが、私の肩の高さまで積みあがっています」
マリンアクセス 益田和徳さん:「弊社の返礼品がいろいろなサイトのサイト上のランキングで上位に上がっていく中で、弊社としてもこのふるさと納税事業がどんどん大きくなっていって、会社の1柱になるような形に今なってきているというところではありますね」
ここ2週間で駆け込み寄付が多くなり、1年前に比べ出荷量は2倍となる350ケースになってるといいます。そうした中、不安も抱いています。吉田町の「ネギトロ」は来月から寄付額が1万円から 1万2000円に変更されます。
マリンアクセス 益田和徳さん:「やはり価格が2000円上がってしまうというところで、9月までは良かったんですけれども、10月から注文ががたっと減ってしまうのではないかというところは、弊社としてもちょっと危惧しているところではあります」
製造過程のコスト削減も
こちらの会社では、制度変更を前に吉田町から寄付額を1万3000円に引き上げてほしいという打診があったといいます。ただ、客に安く手にしてもらうため、製造工程でのコスト削減を行い、1万3000円ではなく、1万2000円で対応することになりました。
マリンアクセス 益田和徳さん:「電気代だったりとか、さまざまなマグロの値段だったりとか、さまざまな経費が上がってくる中で、そこをできるだけ弊社の方でオペレーションを簡素化したらいいだったりとか、経費をできるだけ削減するような形で企業努力という形でやらせていただいているところはあります。金額が上がってしまうということは、どうしても寄付者様の方に対しては負担にはなってしまうかなとは思うんですけれども、そこはもうルールどおりやっていくしかないのかなと考えております」
これまでお得に受け取ることが出来ていたふるさと納税の返礼品。事実上の“値上げ”のような形となるなかで、地方を活性化させようとする本来の目的が今後どうなっていくのか、注目が集まります。