危険な盛り土2万立法メートルの搬出始まる…警戒区域解除に向け行政代執行 被災者「危険と隣り合わせが続いていた」 /静岡・熱海土石流災害
28日午前、熱海市伊豆山で始まったのは、土石流災害で現場に残った土砂を搬出する行政代執行です。静岡県は去年10月に行政代執行を開始してから、これまでに周辺の草木を伐採し、重機が入るための工事用道路を整備。熱海市伊豆山地区の警戒区域解除に向け、この日から起点に残る土砂の搬出を開始しました。
熱海市は伊豆山地区「警戒区域」を夏の終わりごろまでに解除の方針
現場には不安定な状態の盛り土がおよそ2万立法メートル残されたままになっていました。県によると、土砂から基準値を超えるフッ素と鉛が検出されたといいます。撤去された土砂は土のうに詰められた状態で熱海港まで運ばれ、その後、県外の施設で処理されるということです。
県は5月末までに土砂の撤去を完了させる計画です。予定通りに進めば、熱海市は伊豆山地区の「警戒区域」を今年の夏の終わりごろまでに解除する方針です。
被災者「一歩進んだ」「危険と隣り合わせが続いていた」
静岡県熱海土木事務所 池谷拓巳課長:「行政代執行の目的は、不安定な土砂を撤去する。住民の不安を取り除くという意味でも早期に不安定な土砂を撤去して、逢初川流域の住民に対する安全性の確保していかなければならないと考えている」
ようやく始まった土砂の撤去について被災者は…。
被災した太田滋さん:「本格的に土砂の搬出ができるということになって、一歩進んだのかなと思っている。逢初川のところが綺麗になれば、少し気持ちも落ち着くのかなと。今まで人工的に作ったものが全部なくなれば、一番良いなと思っている」
被災した太田かおりさん
「あの土は本当はあそこにあってはいけないもので、元々なかったものなので、ちゃんと全部取っていただいきたい。今まで危険と隣り合わせの時がずっと続いていたので、これで土がなくなって、やっと警戒区域の周りに住んでる人も安心できるし、警戒区域の中の人間も早く帰れる第一歩なのかなと」
静岡県内の違法盛り土は196カ所
熱海市の盛り土を皮切りに、県内では違法な盛り土の摘発が相次いでいます。
16日には御殿場市でおよそ2500平方メートルの違法な盛り土を造成したとして、残土処分会社を営む男性が逮捕・送検され、略式命令を受けています。
また、7日にも静岡市の山間部に造成された盛り土について、残土処分会社と社長と元社長が県砂防指定地管理条例違反の罪で、27日に起訴されています。
県が調査したところ、県内には196カ所もの違法な盛り土が確認されているということです。
(2月28日放送)