土石流災害の遺族が静岡県と熱海市に損害賠償を求める訴訟 県も市も争う構え 市長欠席に怒りの声も

熱海土石流災害の遺族らが静岡県と熱海市に、およそ64億円の損害賠償を求めている裁判の、第1回口頭弁論が地裁沼津支部で開かれ、県と市はともに争う姿勢を示しました。

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土石流災害の遺族が静岡県と熱海市に損害賠償を求める訴訟 県も市も争う構え 市長欠席に怒りの声も

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白鳥衛記者:
「午前10時前です。遺族らが地裁沼津支部へ入って行きます。きょうから県と熱海市を相手取った裁判が始まります」

 去年7月の熱海市で起きた土石流災害では、遺族や被災者らおよそ110人が県と熱海市に対して64億余りの損害賠償を求めています。

 遺族らは被害を甚大化させたとされている違法な盛り土について、危険性を認識しながら是正措置を取らなかったり、森林法の適用を見送ったりするなど、県と熱海市の対応が不適切だったなどと訴えています。

 午前開かれた第一回口頭弁論で県は「事業者への指導は熱海市の事務であり、市に是正を求めなかったことは違法とは言えない」と主張。

 熱海市は裁判を欠席し、「事業者が再三にわたる行政指導に応じなかった。県の条例の罰則の不十分さが原因にある」とする答弁書を提出。

 県と市ともに請求棄却を求め争う姿勢を示しました。

 また裁判では遺族の瀬下雄史さんが「行政に対して許せない思い。未曾有の災害に繋がった因果責任を追及していきたい」と意見を述べました。

(口頭弁論後の取材で)

裁判終了後取材に応じた県の担当者はー。

静岡県法務課 河合隆晴課長代理:
「行政に不十分な点があったことは認めつつ、法的な責任はまた別の話になってくるので、裁判ですのでそこを主張していきたいと考えている」

 一方、裁判を欠席した熱海市の斉藤栄市長は「今後訴訟を通じて市の見解を述べていく」とのコメントを発表しました。
 こうした市の対応に遺族らは怒りをあらわにしました。

原告代理人 加藤博太郎弁護士:
「未曾有の災害が起き、この責任追及を進めていくという裁判で、熱海市が欠席され、法廷の場で第1回期日で説明しないという姿勢については、とても遺憾に思っている」

母親を亡くした 被害者の会 瀬下雄史会長:
「熱海市が代理人13名いるが誰一人としてこの裁判に出席をしていない。怒りを通りこして呆れる。熱海市の無責任の体質そのものが一番の問題じゃないかと思っている」

父親を亡くした 伊東真由美さん:
「自分の生まれ育ったところを訴えるということは、なかなか抵抗があったんですが、どうか熱海市も静岡県も私たちに向き合って本当のことを言って、それが今災害を起こした後できる最善のことだと言いたいです」

 遺族らはこれまでに、盛り土の現在と前の所有者らに対しても損害賠償を求めていて、地裁沼津支部は次回以降これらの裁判を合わせて審理します。

画像: (口頭弁論後の取材で)