熱海土石流災害を受け施行される盛り土規制法 国の検討会が運用ガイドラインとりまとめ
おととし7月に起きた静岡県熱海市の土石流災害を受け、5月26日に施行される盛土規制法。国の検討会は17日最後の会議を開き、運用に伴うガイドラインを取りまとめました。
おととし7月3日に熱海市伊豆山地区で起きた土石流災害。
災害関連死を含め 28人が犠牲になりました。
片山真人アナウンサー:
「起点となった伊豆山第一配水池です。大きな陥没。・・・ 家具も散らばっている」
海岸からおよそ2キロ上流、伊豆山の標高390mのところから最大幅120mで住宅地へと流れ込んだ土石流。
不適切な盛り土に激しい雨が降ったことで、盛り土内の地下水の水位が上昇し、水を吸った土が急激に柔らかくなり大規模崩落につながったと見られています。
そしてもう一つ。
行政の対応が被害を甚大化させた原因とも考えられています。
17日 盛土等防災対策検討会
2022年5月13日県第三者委員会 青島伸雄委員長:
「適切な対応が取られていたならば、被害の発生防止や軽減が可能であったのではないか。よって本件における行政対応は失敗であった」
静岡県や熱海市は10年以上前に熱海市伊豆山地区のずさんな盛土の施工状況を確認していました。
2010年10月に盛土の危険性を認識し、翌2011年6月、県の条例に基づいて土地所有者に対する措置命令を検討しながらも、発出を見送っていたのです。
盛土の造成を巡る行政対応を検証した県の第三者委員会は去年、県と熱海市の連携不足を指摘した上で、「断固たる措置をとらなかった行政姿勢に問題がある」と最終報告をまとめています。
17日 盛土等防災対策検討会:
「ただいまから第6回盛土等防災対策検討会を開催させていただきます」
熱海土石流災害を受け法律が変わります。
全国一律の基準で危険な盛土を包括的に規制するため、従来の宅地造成等規制法に盛り土の規制が加えられた「盛土規制法」が5月26日に施行されます。
盛土規制法では、宅地や農地、森林など土地の用途に関わらず都道府県知事などが規制した場所への盛土は許可が必要になります。
また所有者と造成業者が盛土の安全な状態を維持する責任があるとし、危険が生じた場合は所有者と造成業者に加え、必要に応じて過去の土地所有者にも是正措置を命じることができるようになります。
罰則も、個人へは最大で懲役3年または罰金1000万円、法人への罰金は最高3億円が科せられます。
国の検討会は17日、盛土規制法施行に伴うガイドラインや防災マニュアルをまとめました。
盛土等防災対策検討会 二木幹夫委員長:
「これは始まりだと思っています。実際に有効な盛り土。
安全な盛り土を世の中に残していくための努力が始まると思う」
林輝彦アナウンサー:
「会議では、すでに膨大に盛り土がある中で耐用年数を考えてシステムを構築すべき、行政代執行の費用を国が補助できる仕組みにすべきといった意見が出ました。熱海土石流災害から7月で2年。被害を繰り返さないよう新しい法律のもと行政の連携が始まります」