感染拡大で救急現場は(1) 転倒で搬送された患者が「陽性」…救急患者の中に毎日のように感染者が 密着・浜松医療センター
「119番です 火事ですか? 救急ですか?」
「救急ですね 向かいます ご住所を教えてください」
17日の浜松市消防局の指令センター。1日に130件ほどの入電があるといいます。指令センターで状況を確認し、救急車などを手配。救急車にはGPSがついていて、要請場所の一番近くにいる救急車を自動で割り振るシステムを導入しています。
取材中にも大きな事故の一報が―
消防指令センター
「119番です。火事ですか? 救急ですか?」
「何と何の事故になります?」
「車3台」
「けがされている方は何名います?」
「救急車が必要な方は5人ですか」
「それぞれの車に乗られている方ですか?」
救急要請多い冬場の感染拡大でダブルパンチ
浜松市消防局によると、冬場は気温差による血圧の変動によって心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まります。その上、風邪などの患者も多いため、緊急搬送が増える傾向にあり、特に午前9時半ごろが最も集中するといいます。そんな中、コロナ感染者の増加によって緊急搬送の現場にも影響が…
浜松市消防局 平野弘晃消防司令長:「冬場はどうしても救急要請が多い時期だが、コロナ陽性患者を搬送する場合、病院選定に時間がかかったり、救急車が消防署に戻ってから消毒する関係上、周辺の救急隊でカバーすることもある。そういった面から救急隊の出動にも若干なり影響はある」
問題は「救急搬送困難事案」
今、浜松で問題になっているのが、救急搬送困難事案です。救急搬送困難事案とは、救急隊が医療機関に患者の受け入れの問い合わせを4回以上かつ現場に30分以上滞在したケースのこと。
これは、その件数を表したグラフ。第6波の到来と共に増え、浜松市では1月、1週間で最大18件確認されたことがありました。
新型コロナの感染拡大は、それ以外の医療にも影響を与えています。
急病や怪我に対応し、私たちの暮らしの安心を支える救急科。しかし…。
浜松医療センター救急科 加藤俊哉医師:「頭部外傷があるな。脳外科が大きい手術と治療を並列でやっていて、対処が難しい。今現在も発熱が継続している。発熱患者を入れる病床がない」
第6波の中、救急科では、一体何が…
転倒して搬送された患者が「陽性」だったことも
新型コロナの患者を受け入れている浜松医療センター。
この病院で20年、救急科で務めている加藤俊哉医師です。
浜松市で救急車を受け入れる医療機関は13カ所。中でも浜松医療センターは、重症度が高い救急患者を受け入れることができます。
浜松医療センター救急科 加藤俊哉医師:「救急車で運び込まれて、こちらの診察台に移動して診療を始める」
Q.受け入れられる人数は?
A.「比較的重症度が高い方は2カ所。そうでなければ、4?5人くらい」
1日に運び込まれてくる患者の数は?
浜松医療センター救急科 加藤俊哉医師:「例えば(今月)12日ですけど、昼間だけで20件。(1日)28件。嘔吐・下痢、意識消失、鉄骨に頭をぶつけた」
この時期 搬送件数は多い?
A.「コロナ禍前はインフルエンザが流行って搬送が多い。今はインフルエンザの患者はほとんどいない。寒いので脳卒中や心臓発作、さらに低体温、転倒・転落など色んな方が来る」
これは、取材した日の朝の記録。
「COVID-19」とあるこちらの救急患者は?
浜松医療センター救急科 加藤俊哉医師:「(この日の)朝8時過ぎに私以外の医師が担当した患者。転倒して足が痛くて動けないと救急搬送された。入院の為の検査をしたところ、新型コロナの陽性でした。典型的な症状じゃなくても新型コロナの患者が入ってくる。ほぼ毎日」
発熱している救急患者の受け入れを制限
この日、浜松医療センターに入院しているコロナ患者は20人。病床使用率は50パーセントを超えているため、救急科は発熱がある救急患者の受け入れを制限することを決め、前日、消防局に連絡をしていました。それでも、発熱がない感染者が運び込まれるケースがあります。そのために、別の診療スペースを確保。
抗原検査などを行うスタッフはマスク、手袋、ガウンといった防護服をつけて対応します。
浜松医療センター救急科 加藤俊哉医師:「新型コロナの陽性者や疑わしい方がいると、どうしても別の空間を使ったり、人手もつきっ切りになってしまうので、中々融通が利かない」
医師や看護師など10人いる救急科。日中は医師2人、看護師4人が待機をしています。
こちらの女性は…。
浜松医療センター救急科 加藤俊哉医師:「色々な事務処理を看護師が片手間にやれなくなってきたので、専従の事務員を配置、手に負えない事務作業が増えちゃって」
コロナに関わる事務が増え、3カ月前に事務員を1人増やしました。
(2月19日放送)