保健所は職員数を5倍に増やして対応…「早期に5類として通常診療で行うべき」専門家は保健所による「全数把握」見直しを政府に提言
通常の職員数から5倍に増やして新型コロナに対応
「療養期間を延ばした方がいいということでしたら先生のご判断でいいと思います。よろしくお願いします。失礼します」
先月中旬までは職員20人ほどで対応していましたが、現在は応援職員を加え、総勢約100人態勢に人員を増やしています
県西部保健所 木村雅芳所長
「7月に入って約2週間で患者数がぐっと立ち上がって過去最高を超えました。3連休明けの19日に(当時の)最高で939人の届け出があって、ここでとても私たちの調査が追いつかない状況になりました。我々の全所体制でやっての限界というのが、(1日に)400人から500人ということでして、その倍ぐらいということで、かなり業務フローを変えないと無理だということになりました」
療養中の患者のカルテは約4000人分「自宅療養者支援センター」の運用も始まる
原川朋華記者
「こちらの箱に入っているのが現在県西部保健所管内で療養中の患者のカルテということです。およそ4000人分あります」
現在、西部保健所管内だけで1000人近い感染者が確認される日も珍しくありません。患者の対応について医療機関と調整したり、自宅療養者の電話相談に対応したりと、業務は多岐にわたります。
保健所の負担を軽減するため、県は今月から患者の発生届を一元管理する「自宅療養者支援センター」の運用を開始しました。
センターが患者の発生届を一元的に管理することになり、保健所が本来すべき業務に集中できるようになると現場からも期待の声が聞かれます。
県西部保健所 木村雅芳所長
「うまくすると6割ぐらいの患者はほぼ我々の負担がない形で(対応が)進んでいくので、残された3割ぐらいの患者に丁寧に対応できるということになると思うので、本来我々がすべきリスクのある患者にしっかりと対応できるためには、この新しいシステムは非常に期待できると思っています」
専門家は「全数把握」の見直しなど対策緩和を政府に提言
一方、新型コロナが感染症法上の”2類相当”に位置付けられている以上は感染拡大の度に保健所業務がひっ迫することは避けられません。
(専門家有志の会見 都内 2日)
政府の新型コロナ対策分科会の尾身会長ら専門家有志は保健所による「全数把握」の見直しを含む2段階での対策緩和を政府に提言。
政府は第7波収束後に、感染症法上の位置づけを見直す方針です。
県西部保健所 木村雅芳所長
「個人的な見解としてはずっと以前からなるべく早期に5類として、通常診療で行うべきだと考えていました 明らかに重症化率が下がっていて、それはもう肌で感じているところです。そのことが最大の理由 入院の勧告をする方は非常に少数でして、だから法的な枠組みとして原則入院ということからとても実態がかけ離れていますので、やはり実態に近づけるという意味でも、もう事実上5類の運用をしていると思っています」