新型コロナ再拡大の兆し、そして深刻になりつつある「薬不足」

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で今、静岡県内の薬局で「薬不足」が深刻になっています。実態を取材しました。

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後藤幹生センター長:
「たいたい県では推計の感染者数が1日平均で3000人台ぐらい今もあると考えています。みんなに検査をするという時代ではなくなっているので、実際はもう少し感染者は多いと考えている」

 県感染症管理センターの後藤センター長が話すように、最新のデータで1日あたりの感染者数は、県全体でおよそ3300人と推計されていて、県内すべての地域で「感染拡大警報レベル」が発表されています。

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 県が発表している最新の新型コロナ感染状況によると、8月28日から9月3日までの1週間で、定点医療機関あたりの、新型コロナウイルス感染者数は、26.65人。

 前の週と比べて1.38人増加し、およそ1.05倍となっています。

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 こうした中、国内では感染力の強い新たな変異株である通称「エリス」の感染が広がっているとみられています。

 さらに先週には「ピロラ」と呼ばれる新たな変異株も国内で初確認されました。

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後藤幹生センター長:
「(「エリス」は)やはり免疫を回避する力が強くなっている。つまりワクチンを打ってついた免疫であるとか、依然にオミクロン株にかかった方が持っていた免疫を回避して感染しやすくなる。
(「ピロラ」は)素性・性状も分からないんですけど、「BA2.86(ピロラ)」ということはBA.2(オミクロン株)の系統であることは間違いないので、BA.5(オミクロン変異株)の時代は終わって、BA.2が主流になってきていることは分かります。」

深刻になりつつある「薬不足」

画像1: 深刻になりつつある「薬不足」

 こうした状況のなか、県内の薬局で深刻となっているのが「薬不足」です。

 こちらは、静岡市内に調剤薬局9店舗を展開する「すずらん薬局」。

 現在、“解熱鎮痛剤”や“たんきり”など、風邪の症状に関する薬が全般的に不足状態に。

 発注をしても入荷できるのはわずかな量だといい、なかでも特に困っているのがせき止め薬だといいます。

すずらん薬局 東新田店 薬剤師 榊原有美さん:
「ずっと薬が不足していて、なかなか入ってこない状況。入荷していない薬に関しては、類似した薬に変えてもらうなど、問い合わせして対応している。」

 新型コロナウイルスが5類に移行し、感染対策が手薄になっている状況の中で感染者が増えている中、県内で咳止め薬が足りなくなっている背景にはもう1つ“理由”が

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すずらん薬局 東新田店 薬剤師 榊原有美さん:
「これからますます乾燥する時期になって、コロナやインフルエンザ、あとは風邪の感染者が増えてくるので、薬が入らないというのはとても心配している。」

新型コロナに加えて流行の兆しがあるのが、季節外れのインフルエンザ。

 県によると県内では26の学校で学年閉鎖や学級閉鎖が相次いでいて、9月の1日当たりの閉鎖施設数としては過去最多だといいます。

 最新のデータ(8月28日~9月3日)では、定点あたりのインフルエンザ患者数は2.19人で、前の週(1.44人)の1.5倍となっています。

すずらん薬局 東新田店 薬剤師 榊原有美さん:
「これからますます乾燥する時期になって、コロナやインフルエンザ、あとは風邪の感染者が増えてくるので、薬が入らないというのはとても心配している。」

せき止め薬の不足の原因は全国的な新型コロナとインフルエンザの同時流行。

画像3: 深刻になりつつある「薬不足」

 薬の原材料は海外からの輸入が多く、医薬品メーカーの生産体制が強化されない限り、この問題は解消されにくいといいます。

すずらん薬局 東新田店 薬剤師 榊原有美さん
「正直見通しが立たないというのが現状なので、感染しないために、予防ですね。特に高齢者の方は気をつけてほしい。」

解熱剤の準備も必要

 一方、県の後藤センター長は新型コロナの再流行やインフルエンザの拡大に備えて、解熱剤の準備も必要だとしています。

画像: 解熱剤の準備も必要

後藤幹生センター長:
「コロナウイルスであっても、また今再度増えてきている。インフルエンザであっても2~3日は(熱が)出ますので、熱が出るとすごくぐったりしてしまう方は熱冷まし(解熱剤)があったほうがいいと思いますので。熱冷まし(解熱剤)はこれから市場に売っている時には買っておいて、家である程度蓄えておくっていうのは必要かなと思います」

 再び拡大を見せている新型コロナやインフルエンザ。

 自分に合った方法で、準備や対策をしていくことが感染予防につながるかもしれません。