第6波に向けた備え必要 「コロナとインフルが同時流行したら医療現場は大混乱する」 静岡・磐田市立総合病院副病院長に聞く
今回の宣言解除に当たって政府が重要視したのが医療状況を表す指標です。ピーク時に7割を超えていた静岡県内の病床使用率は29日時点で8.7%まで減少し、一時、30人を超えていた重症患者も6人となっています。
磐田市立総合病院 飛田規副病院長(29日):「ここ数日は、もう入院されている患者さんも1人か、せいぜい数人で、しかも重症の方はいなくなって、もっぱら軽症の方の抗体カクテル療法になっている。かなり現場としては取り戻してきている」
こう話すのは新型コロナ患者を受け入れている感染症指定医療機関の一つ、磐田市立総合病院の飛田副病院長です。
8月末の取材時には「極めてひっ迫した状態」
番組では第5波の感染拡大が続いていた8月末に病院を取材。当時は病床使用率が7割を超える日が続き、コロナ患者が救急搬送されるケースもあるなど医療体制はきわめてひっ迫した状況に。
副看護師長
Q.こちらの方はいくつぐらい?
A.「どちらも若いですよ。今、若年化しているので、30~60代」
過去に経験のない感染の急拡大を受け、磐田市立総合病院でも県の要請に応じてコロナ病床を16床増やし、39床にして対応に当たりました。
磐田市立総合病院 飛田規副病院長
「実際に病院のベッド数自体を増やすわけでありませんので、予定されていた入院の患者さん、あるいは手術でも緊急性がない方はちょっと一時延期させていただいて病床を工面した。周りの病院もすべてそうですから、この患者さんちょっとお願いできますかっていうことも頼めない。自分のところで何とかしなきゃいけないということで、非常に怖い思いをしました。それが第5波の印象です」
第6波に向けた備えを
飛田副病院長は今後来るであろう、第6波に向けた備えの必要性を強調します。
磐田市立総合病院 飛田規副病院長:「第5波というのは、非常に速いスピードで感染者が増えた。その結果、私たち病院もそうですけど、地域の診療所もあるいは保健所もまったく後手後手に回ってしまった。患者さんが爆発的に増えた時には、地域の診療所でもある程度の役割を担っていただけるような体制を今作ろうとしているところ。そういったことをしていかないと、とても病院だけで持ちこたえられる状況ではない」
インフルエンザとの同時流行も懸念
県内の感染状況は落ち着いてきたとはいえ、先週1週間でも300人近い感染者が確認されていて、第5波による感染拡大前の水準に戻った程度です。
冬が近づく中、インフルエンザとの同時流行も懸念されています。
磐田市立総合病院 飛田規副病院長:「もし仮にコロナとインフルエンザが同時に流行したら、これはもう医療の現場、特に救急の現場は大混乱する。今コロナのワクチン接種が進んでいるが、これから冬場にかけてはインフルエンザのワクチン接種というものもやっていただきたいと思っている。緊急事態宣言が解除されるというような状況になるということは、もちろんいいことだと思う。お願いしたいのは、緊急事態宣言の時は例えば100%の警戒態勢だけども、それが無くなったらばもう何もしなくていいよっていうわけではない。やっぱりその気のゆるみが一番怖いなと思う」