クラスター相次ぐ高齢者施設 施設職員「ひとごとではない」 家族との面会はガラス越しに会話はPHSで 静岡市
静岡県健康福祉部 後藤幹生参事(2月25日):「クラスターに関しても、(第6波の)最初の頃は集まった飲食、その次に学校・保育施設で、病院や高齢者施設、福祉施設になったが、最近はクラスター自体の件数も少しずつ減ってきている」
2月28日に県内で発生したクラスターは4件。そのうち2件が高齢者施設でした。重症化リスクの高い、高齢者施設でのクラスターの発生も依然として続いています。
特別養護老人ホームの職員:「やはり、ひとごとではないのが一番の率直(な感想)。あすにも施設でも起こりうることだと思う」
こう話すのは、静岡市清水区にある特別養護老人ホームの職員です。
介護を必要とする高齢者およそ130人が入所しているこちらの施設。年齢は70歳から100歳を超える人まで幅広く、手洗いや消毒、検温といった基本的な感染対策を徹底していますが、高齢者施設ならではの対策の難しさがあるといいます。
特別養護老人ホームの職員
Aさん「どうしても対面での介助になるので、私たち職員がマスクをして体調管理に気をつけてやっている」
Bさん「入所者にマスクを着用させることは基本的に難しいので、職員が入浴中も暑い中だが、マスクをして入浴介助をやっているし、すごく職員が努力して入所者に感染させないようにと動いてくれている」
Q.耳が遠い人がいると思うが、距離が近くなったりする?
Aさん「はい、かなり近くなる。耳元で本当にこういう感じで話はするが、なるべく横向きで声はかけている」
年明けから2月までのクラスター263件…高齢者施設は81件
県内では年明けから始まった第6波で、2月28日までに263件のクラスターが発生。そのうち、高齢者施設でのクラスターは81件と、学校・保育施設に次いで2番目に多く、入所者が亡くなるケースも少なくありません。
感染対策として、施設ではこんな独自の取り組みを行っています。
独自の感染対策も
突然、館内に音楽が響き始めました。
「換気の徹底を図るために当施設では2時間に1回、曲をかけて約5分間窓をあけて換気している」
職員:「寒いといった訴えはあるが、そういったところで入所者に我慢いただいていることは多々ある。入所者も我慢して職員も頑張って感染させないように努力してやっている」
また、職員は常にアルコール消毒液を携帯し、入所者にこまめに消毒してもらっているといいます。
職員:「こちらは地域交流室です。新型コロナウイルス感染症が起こる前までは、ボランティアの皆様が踊りや演奏を披露したり、施設内のイベントを行っていた。花見などの行事が行えないため、ひな人形を飾ったり、桜を飾るなど屋内で行事を行っている」
今は外部の人を施設内に入れられず、レクリエーションも難しい状態です。こちらの施設ではこれまでに入所者が感染したケースはありませんが、高齢者施設でクラスターが相次ぐ中、いつ感染者が出ても不思議ではないと話します。
職員:「私たちの施設が特別何かをやっていて、今こういう状態になっているわけではない。たまたま私たちの方では入所者に感染が起きていない。そういったところで、私たちは運がよかっただけで、いつうちの施設でもそういうことが起こるかもしれないと思っている」
以前、職員が濃厚接触者となった際には、入所者に対応する職員とそうでない職員が接しないように施設内をエリア分けして対応したそうです。
面会はガラス越しに…会話はPHS
さらに―
職員:「こちらが面会場所です。現在はこのようにガラス越しの面会を行っている。ガラス越しになるのでご家族が施設に入ることなく入所者に会うことが出来る」
以前は中庭に仕切りを設けて入所者と家族が面会できるようにしていましたが、オミクロン株の感染力の強さを踏まえて対応を変更。現在は入所者が室内に、面会者は中庭から「窓ガラス越し」に面会し、会話にはPHSを使っているといいます。
コロナ禍となって、およそ2年。入所者を守るため、私生活を含む職員の努力が続けられています。
職員:「いつ終わるかなという思いと、本当に皆さんにいろんなことで我慢してもらったりして、協力してもらっているので、早く終わるといいなという思いが強い」
職員
「一般の方たちも働いている方の願いも同じだと思うが、好きな時に旅行に行けて好きな時に友達と会えてということが早くできればいいなと思う」