観光バス横転事故ブレーキ周りの部品に変色が「フェード現象」か 静岡・小山町
静岡県小山町で観光バスが横転した事故で、警察が18日実施した車体の検証の結果、ブレーキ周りの部品に変色があったことが新たに分かりました。警察は、ブレーキが利きにくくなる「フェード現象」が起きた可能性が高いとみて詳しく調べています。
13日小山町須走の県道で観光バスが横転し、74歳の女性が死亡、26人が重軽傷を負った事故。
「じゃあブレーキ踏みますよ。はい、ブレーキ、離して、ブレーキ」
18日、静岡県警はバスの車体の検証を行い、ブレーキ系統に異常がなかったかどうかなどを重点的に調べました。
「ハンドル切りますよ、もうちょい」
検証の結果、新たに判明したのが「ドラム」と呼ばれる部品の変色です。事故をおこしたバスに使われていたのはドラム式のブレーキで、運転席でフットブレーキを踏むと、摩擦材がドラムに接触し、ブレーキがかかる仕組みです。しかし、フットブレーキを使い過ぎると高熱になり、摩擦力が減るため、ブレーキの利きが悪くなります。また、ドラムは熱を帯びると変色します。
捜査関係者によりますと、18日の検証の結果、バスの「ドラム」に変色した痕があったということで、フットブレーキの使い過ぎでブレーキが利きにくくなる「フェード現象」が起きた可能性が高いとみられています。
ドライブレコーダーに警告音が
また、事故前の車内の状況も明らかになってきました。捜査関係者によりますと、押収されたドライブレコーダーに事故前に添乗員が乗客にシートベルトの着用を促す音声や、車内で何らかの警告音が鳴っている様子が記録されていたということです。
この警告音は、空気圧を利用して制動力を強くするエアブレーキや、サイドブレーキなどの異常を知らせていたものとみられ、フットブレーキ以外にも異常があった可能性も浮上しています。バスを運転していた容疑者(26)は、警察の調べに対し「ブレーキが利かなかった」と話していて、警察はフェード現象で事故が起きた可能性が高いとみて、事故当時の状況や原因を引き続き調べるとしています。