巨大盛り土を視察した川勝知事「これからは厳しく臨んでいく」 「指導したけど聞いていただけなかった」 静岡市
川勝知事が盛り土造成の現場を視察…熱海市の伊豆山の5倍以上か
各務実来記者(23日):「盛り土が造成されたとされる現場に知事が入りました。これから県職員らと視察するとみられます」
23日、川勝知事の姿は静岡市葵区の山間部にありました。視察したのは「杉尾地区」と
「日向地区」に無許可で造成された大規模な盛り土です。県によると、2つの地区に盛り土を造成した業者はいずれも静岡市内の事業者です。杉尾地区の盛り土はおよそ1.9ヘクタール、日向地区はおよそ6ヘクタールの範囲に及んでいるとされています。
2つの地区に盛り土された土砂の量は、おととし甚大な被害を引き起こした熱海市の伊豆山に造成された盛り土の5倍以上と推定され、県が確認している緊急性の高い盛り土の中で最も規模が大きいといいます。
川勝知事「巨大な盛り土」
24日の定例会見で、川勝知事がこの問題に言及しました。
静岡県 川勝平太知事:「杉尾地区の方は5万?、日向地区の方は35万?強ということで、5万?とはいえ、やっぱり巨大な盛り土であるなと。35万?というのはものすごいなと。5万?の杉尾地区の方は700mほど先のところに1軒、人がお住まいになっている家がある。一方、日向地区の方は沢が川にぶつかって、そして右に折れて2キロほど先のところに人家がある。だから、むしろ杉尾地区のほうが危険だということだったわけですね」
県は2005年に住民からの通報を受け、日向地区の盛り土の存在を把握。2006年には事業者に口頭で注意したほか文書でも指導しましたが、事業者は「自分の土地に土砂を捨てているだけ」と応じなかったということです。
一方、杉尾地区の盛り土の造成は2018年ごろに始まったとみられ、県はその翌年に口頭で行政指導を行い、事業者は「検討する」と回答したそうです。
しかし、その後も2カ所への土砂の搬入が止まることはなく、2021年1月ごろまで続いていたとみられます。
川勝知事「これからは盛り土条例に従って厳しく臨んでいきたい」
同じ年の7月に熱海市で土石流災害が発生。その後、県は杉尾地区と日向地区に盛り土を造成した事業者への指導を再開しましたが、これまで強制力のある撤去命令は出していません。後手に回っているように思える、行政の対応。その経緯について川勝知事は…。
静岡県 川勝平太知事:「これまでは我々の盛り土条例のようなものがありませんでしたから、できる最良のことをしてきたというのが、これまでだったと思います。しかし、これからは盛り土条例にしたがって、我々としては厳しく臨んでいきたいと思っています」
Q.新しい条例がなくても、そこが砂防指定地で、砂防指定地管理条例違反というのが明確に分かっている状況が続いていて、それに基づいて罰則が厳しくなくても命令や代執行などができたと思うんですが?
A.「確かにその通りなんですが、ここは盛り土した方の所有地なんですね。ですから、厳しい対応を所有者がなさって、『自分の土地だから何を文句を言うか』と、そういうタイプだったと私は報告を受けました。やるべきことをやっているんですけれども、やっぱり厳しい法令とか条例とか、ちゃんと根拠がなければ強く出られません」
警察は県の砂防指定地管理条例違反の疑いがあるとして、県と連携して捜査しています。
静岡県 川勝平太知事
Q.今回の杉尾・日向の場合は、職員が指導という形で関わり続けていたという点から対応には問題がないとおっしゃっているということでしょうか?
A.「難しいですね。指導をしているわけですね。だけど、聞いていただけなかったというのが現実のようです」