父「娘は行政を動かすために生まれてきたわけではない」 牧之原市女児バス置き去り死…きっかけは「単純なミス」【重大ニュース静岡2022】
牧之原市の川崎幼稚園の送迎バスの中に、およそ5時間置き去りにされ熱射病で死亡しました。
バスを運転していたのは73歳の元園長
川崎幼稚園 増田立義元園長:
「亡くなられた園児、およびご遺族に心よりお詫び申し上げます」
事件当日、急きょバスのハンドルを握っていたのは73歳の増田立義元園長でした。
Q.きのうバスは園長が運転されていた?
川崎幼稚園 増田立義元園長(9月6日):
「一応そういうことで、今捜査をやっていますので、誠に申し訳ございませんけど」
Q.降りた人数の確認をしていなかったとの報道もあるが、そのあたりは?
「ちょっとすみません、今捜査中ですので」
Q.どのようなお気持ちでしょうか?
「…」
友達に囲まれ、園では毎日大好きなサッカーをしていたという3歳の女の子。
近所の人にもきちんと挨拶ができる明るい子だったと言います。
杉本智子元副園長:
「慣れてくるとすごくなつっこくて、笑顔もすごいかわいいお子さんで、歌もすごく好きで、お部屋の方で音楽かけているとよく歌ってたって」
そんな女の子の命を奪ったもの、それは単純なミスでした。
女の子の命を奪ったのは「単純なミス」
Q.なぜ園児が降りた後に確認をしなかったのか?
川崎幼稚園会見 増田立義元園長(9月8日):
「僕もいつもやっていなかったので、運転をするというのが不慣れだったというのが一つの原因だと思います」
「連絡なく休む園児もいたため、被害園児もきょうはお休みなのかなと考えてしまったというところがありました。登園時刻どおりに出席するはずの園児が来ていない場合は、保護者に連絡をして、状況を確認するっていう事をしていたんですけれども、この時に休みと考え、保護者に連絡していませんでした」
林輝彦アナウンサー:(9月14日)
「今、目の前の亡くなった女の子が乗っていたバスでは、中の温度が定期的に測られています」
事件のあった9月5日の牧之原市の最高気温は30.5℃。
県警の実験では、車内の温度は、一時45℃を超えるまでに上昇したということです。
猛烈に暑くなった車内で女の子は、上半身の服を脱いだ状態で発見されました。
その近くには空になった水筒も…。
バス安全装置の実証実験
久須美舞記者:
「バスの前方には、赤外線に反応するセンサーがあります。園児が取り残されている場合、動きを感知し、外部に知らせる仕組みになっています」
先月、藤枝市の幼稚園で行われたのは、送迎バスに設置する安全装置の実証実験です。
機械の音声:
「運転お疲れさまでした。車内の確認を行い、確認ボタンを押してください」
この装置はエンジンを切ると、置き去りになった子どもがいないか確認を促す音声が鳴ります。
万が一子どもが残っていても、センサーが反応しクラクションが自動で鳴ったり、メールで知らせたりする機能もあります。
藤枝順心高校附属幼稚園 鈴木季彦副園長:
「人為的なミスですよね。私はやったつもり、あの人がやってくれたんだろうという、そこじゃないかなっていうふうに思ってはいます。それが今回の機械で、自分が確実に確認が出来ることになればありがたい」
再発防止に向け対応進むも
政府は、来年4月から全国の保育園や幼稚園など全ての送迎バスに、安全装置を設置することを義務付ける方向で調整しています。
事件をきっかけに、急速に進んだ再発防止策。
今月21日、事件後初めて女の子の父親が語ってくれました。
女の子の父親:
「(事件の)後、色んな対策が取られていますけど、これで解決したとなることが悔しいです。まだ整理はできていませんが、一つだけ言えることがあるとするなら、娘は行政を動かすために生まれてきたわけではありません」