川勝知事「天変地異の天災の新しい形」 大規模土石流の起点で何が… 静岡・熱海市
今回の土石流の起点となった山の中腹。海から2キロほど離れたこの場所で、何が起きていたのでしょうか。
2005年に撮影された航空写真には樹木が生い茂っていました。ところが、7年後には山肌がむき出しに…。何やら、工事が行われて階段状になっているようにも見えます。
5日、土石流の起点となった現場を視察した川勝平太知事は―
静岡県 川勝平太知事
「天変地異の天災の新しい形。梅雨が長引いて山が水を持ちきれなくなって、一部のところで噴き出た。その上にあった盛り土を一気に押し流して被害を大きくしたと理解している」
盛り土とは、工事法のことです。自然の傾斜地を切り出して土地を作るのが、切り土。一方、盛り土は土を盛って、平地にします。
盛り土は本来の地盤ではないため、排水などをしっかりしないと地滑りを起こす恐れがあります。
地質学者 塩坂邦雄氏
「ドローン飛ばして見ながら、わ、すごいなって。そこで分かりました」
静岡県の有識者会議の委員を務める、地質学者の塩坂氏は、土石流の発生翌日に崩落現場をドローンで撮影していました。
地質学者 塩坂邦雄氏
「最初に思ったのが、なんでこんなに黒いのかなっていうのが第一ですよね。普通、自然界でないんだもん、こんな黒い土。大量に」
流出したとみられる盛り土はおよそ5万立方メートル。住民も工事が行われていることは知っていたといいますが…。
伊豆山地区の住民
「私どもが耳にしている限りでは、山の中に残土を入れて埋めている話。崩れた場所が、まさか自分たちが住む上のほうにあったということを把握していた人がいなかったかもしれない」
県はこの盛り土について、何らかの開発行為によるものとしています。
川勝知事「山肌の色が違う」
川勝知事
「現場に行きますと、山肌の色が違います。全く違う地質というか、土だということが一目瞭然です。説明を受けたところによれば、灰色の黒い土は『盛り土』であった可能性が極めて高いというふうに聞きました」
一方、熱海市によると、この場所に住宅や別荘を建てる届けは出ていませんでした。
はたして、何のための盛り土だったのでしょうか。熱海市はその目的について、現時点では把握していないとしています。
熱海市 斉藤栄市長(6日午前)
Q.土石流が発生した上部には盛り土があったと。強度が十分だと判断したという報道も
A.「私自身はまだ、その情報を持っていません。人命救助に全精力を注いでいる。因果関係についてはしっかりした専門家による検証が必要だと思うので、私から現時点でコメントすることは難しい」
国交省は全国の盛り土を総点検の方針
この問題をめぐり、国交大臣は6日、全国の盛り土を総点検する考えを示しました。
赤羽国交大臣(6日)
「土石流の発生地付近に盛り土がなされ、それが崩落したとの報道がなされていること、報道は承知していますが、現在静岡県において盛り土と土石流発生との関連性も含めて調査を行っていると認識していますので」
土地所有者側「崩落現場に土は運んでいない」
土地所有者の代理人弁護士は取材にこう答えています。
「崩落の場所以外を整地するために土を運んでいた。崩落現場に土は運んでいない」
土石流の発生と、盛り土の因果関係はまだわかっていません。
川勝知事
「水の蓄積を持った量が巨大なものになって、それが山の一部を突き破って、その上にあった盛り土を一緒に運んで被害を大きくしたと。つまり、水が原因であるというふうに思っております」
(7月6日放送)