犯行は20年以上前から…水揚げされたカツオ抜き取り横流し 水揚げ日本一の焼津漁港舞台に【重大ニュース静岡2022】
市民「漁協の職員がやっていたことがショック」
冷凍カツオの水揚げ量、日本一を誇る 焼津漁港。去年10月、この場所を舞台とする「カツオの窃盗事件」が発覚しました。
焼津市民(男性60代):「カツオっていったら、焼津のブランドだなって思いますよね。おいしいカツオなのでね、そういうので評判が下がっちゃうのは残念」
焼津市民(女性70代):「漁協の職員がやっていたこと自体がショック」
3ルートを立件 漁業関係者19人を逮捕
久須美舞記者(7月26日):「今、県警の捜査員らが、青い箱を持って焼津漁協の建物の中に入っていきました」
静岡県警は今年11月にかけ、盗まれた冷凍カツオが横流しされたとして3つのルートを立件。焼津漁協職員や水産加工会社の元役員ら、19人もの漁業関係者を逮捕しました。
3つのルートともに手口は同じでした。業者が競り落としたカツオは通常、漁協の職員が計量します。しかし、一部のカツオは計量されずに抜き取られ、焼津市の水産加工会社や鹿児島県に横流しされていたということです。
中には、被害額が20億円を超えるとみられるルートもありました。
西川角次郎組合長(6月):「私は一連の不祥事のけじめをつけるため、組合長を辞任いたします」
「公正な取引の場」を提供するはずの漁協の体質も問われ、7月には、漁協の当時の西川角次郎組合長が辞任。漁協が行った内部調査では、職員らによる不正は、少なくとも20年前から行われていたことが明らかになりました。
さらに、内部調査とは別に行った職員への聞き取りでは、10人ほどの職員が、窃盗を黙認する代わりに水産加工会社の役員から報酬として1日あたり現金2万円ほどを受け取ったことを認めたということです。
焼津漁協 橋ケ谷長生組合長(8月):「第三者機関を設置しまして、今後弁護士さんを交えましていろんな問題の解決に1日も早く皆さんの信頼を得るようなことを思いまして、今後も進めていきたい」
県から再発防止の徹底を求める措置命令を受けた漁協は、弁護士や大学教授からなる第三者委員会を設置。第三者委員会は、今月27日にも報告書を漁協に提出する方針です。
被害に遭った船会社「命かけて魚獲ってきた人たちが報われるように」
そして、被害額が最も多いとみられる第3ルート事件で新たな動きが…。
被害に遭った船会社(19日):「こういうのはダメだというのを我々が態度で示すというところは意味がある」
被害に遭った焼津市の船会社が、来年2月以降に水産加工会社など3社と3人の被告、さらに焼津漁協に対し、少なくとも8000万円にのぼる損害賠償を求めて提訴する方針を明らかにしました。
被害に遭った船会社:「我々漁業会社、水産会社ですが、我々だけで頑張れる事業じゃない。どういう気持ちでやったんだというのを明らかにしないと、新しく(窃盗を)起こさない仕組みというのは出来ないんじゃないかなと思う。少なくとも我々はフェアに漁協の機能をやってもらって、命かけて魚獲ってきた人たちが報われるように、しっかり元の正常な姿に戻っていただきたい」