台風8号による大雨被害 静岡・松崎町の水害はどうやって起きたのか 専門家が「ハザードマップ」をもとに徹底検証
台風8号の影響
白鳥衛記者(松崎町・ 午後1時半):「こちら台風8号による大雨の影響で氾濫した太田川です。以前は川の下流部分のこちら側で重機による土砂の撤去作業が行われていたんですけど、現在はようやく橋の奥側、川の上流側でも土砂の撤去作業が始まりました。」
8月の台風8号で大きな被害を受けた雲見地区。今週上水道が復旧し、復興へ歩み始めていますが、まだ太田川には大量の土砂が残っていて、連日撤去作業が進められています。
伊豆半島に上陸した台風8号の影響で8月14日午前、松崎町雲見地区の中心部を流れる太田川が氾濫。人的被害はありませんでしたが、民宿など30軒で床上、床下浸水の被害があり、住宅が1軒半壊しました。
これは8月14日の太田川の映像。川からあふれ出た土砂や木材が、道路を覆いました。壁についた土砂の痕が水害のすさまじさを物語っています。
太田川氾濫のメカニズムとは
松崎町では、8月12日夕方から15日朝までの短い期間に例年8月ひと月に降る雨の量の、およそ2倍にあたる336ミリの雨量を観測。その雨が太田川を氾濫させたのです。
幅はそれほど広くはないこの川が氾濫したメカニズムについて、専門家はこう分析します。
静岡大学防災総合センター
岩田孝仁 特任教授:「こうやってみると橋の欄干ところに流木が引っかかっていたり、川全体がかなり泥水になっていて、ここからオーバーフローした泥水が周りの建物に入ったっていう様子ですね。細い川に一気に来たのと、橋がかかっているところに障害物として、流されてきた流木が引っかかって、結局そこで一種のダムのような、天然ダムみたいな形になって、そこにこうやって土砂がいっぱい溜まってますよね。
だから上流から大きな石も含め岩石も含めて土砂が流れてきて、それが結局の橋ところで詰まって、で、水が流れなくなって、オーバーフローしていったという感じですね」
「山の異変」についても注意を
8月の松崎町のような災害は、どこでも起きうると指摘する岩田教授。さらに被害を大きくした要因を分析する中で「山の異変」についても、注目しています。
岩田孝仁 特任教授:「これは一般的に見られる斜面崩壊の様子ですけども土砂とか土石と共に山に生えていた木が立ち木がね、全部一斉に流れて来ていますよね。やっぱり手が入ってない森というのが結構増えてきています。そういったところを、例えば災害が襲ってしまうと、一気に立ち木だけじゃなくて、倒木とか、放置されていたようなものまで一気に流れ込んできてしまうので、山全体としてね、流域全体として、きちんとそのメンテナンスをするというのは非常に重要だと思いますね」
ハザードマップが重要
そして岩田教授は、自分が住んでいる地域の危険性を普段から知ることが大切とし、まず「ハザードマップ」を確認してほしいと言います。
静岡大学防災総合センター
岩田孝仁 特任教授:「今回のケース、よく見てみると松崎町が出されている土砂災害洪水ハザードマップというのを、よく見ていただくと、実はそこに斜面の崩壊の危険性がある場所、それから、増水したときに浸水する可能性があるということが、ちゃんと書かれてるんですね」
こちらが松崎町のハザードマップです。太田川の上流の山や、下流の流域は危険な場所として記されています。そして今回、実際にその場所で土砂崩れや浸水被害が起きました。
岩田孝仁 特任教授:「様々な災害に対して、ハザードマップが今かなり丁寧に示されるようになってきていますから、まずはそこを確認していただきたい。それと自分が住んでいる地域の環境ですね、山も含めて、今一体どうなっているのかということも、ぜひ目を向けて知っておいていただきたいですね」