「鹿児島ルート」発覚で新たに6人逮捕 カツオ窃盗事件に新展開 静岡・焼津市
「鹿児島ルート」で新たに6人逮捕
桜井健至記者(8日):「容疑者を乗せた車が今、警察署に入りました」
久須美舞記者:「午前6時半です。今容疑者が捜査員らとともに自宅から出てきました。洋服をかぶっていて表情はわかりませんが、足早に警察の車両に乗り込みます」
鹿児島放送
松本直也記者:「今卸売り販売業の男が交番から出てきました。『私は何もしていません。共謀もしていません』捜査員らに連れられこれから静岡に向かいます」
8日から9日にかけ、新たに窃盗の疑いで逮捕されたのは、焼津市の水産加工会社社長(56)、神奈川県の運送会社元社長(48)、鹿児島県の卸売販売業代表(65)ら6人です。6人は2021年3月、共謀して焼津漁港で水揚げされた冷凍カツオおよそ10トン、時価164万円相当を盗んだ疑いが持たれています。これまでに7人が逮捕されたいわゆる
「第1ルート」とは異なる今回の事件。
久須美舞記者:「午前8時半過ぎです。捜査員らが建物の中に入っていきます」
3月宮城県の船会社が、水揚げしたカツオ10トンを盗まれたとして被害届を提出。警察が関係先を家宅捜索した結果、盗まれたカツオが鹿児島に横流しされたとみられる「鹿児島ルート」が明らかになりました。
今回発覚した事件は、運送会社元社長が事件の首謀者とみられ、トラック運転手の男にカツオの抜き取りと運送を指示。焼津マリンセンターの男を介しカツオを不正に鹿児島へ流通させていたと見られています。
水産加工会社社長の男は、このルートに乗ったカツオを運送会社元社長の男から正規の取引価格より安く仕入れ、鹿児島の卸売販売業の男に販売。それぞれが利益を得ていたとみられています。
20年前から不正が…
年間およそ9万トン、日本一のカツオの水揚げを誇る焼津で起きた冷凍カツオの窃盗事件。
焼津漁協
西川角次郎組合長:「誠に申し訳ありません」
第1ルートの事件が明るみに出たのは2021年10月。焼津漁港で水揚げされた冷凍カツオおよそ4トン、時価74万円相当を去年4月に盗んだとして水産加工会社元役員の男(48)、元焼津漁協職員の男(40)ら4人が逮捕されました。(4人とも起訴)その後、同様の窃盗被害が相次いでいたことが発覚し、警察は合わせて7人を次々と逮捕。
警察によりますと、逮捕・起訴された水産加工会社の元社長らに話を持ち掛けられた焼津漁協の元職員が、運送会社の運転手に抜き取りの協力を依頼し、見返りに報酬の受け渡しがあったとみられています。水揚げされるカツオは本来、全て漁協の計量所でチェックされ、買い取った会社がわかるように伝票を付けて保管されます。しかし漁協の担当者らは計量所を通さずに抜き取り、トラック運転手らと共謀して運び出したといいます。
被害関係者男性:「過去の入庫明細を見たら、毎回3~4パレットずつやられていた。微量だから気付けない」
被害者の弁護士
河村正史弁護士:「この3年間だけでも実質的な全部の漁業会社の被害を考えたら、億という数字になるのはほぼ確実だろうと」
漁協の内部調査からは、職員による不正は少なくとも20年前から10件に上ることが明らかになりました。第1ルート事件の発覚後に設置された再発防止委員会では、これまで漁協の職員らに誓約書の提出を求めることや、内部通報マニュアルを作成することなどを決定。しかし漁業関係者は、漁協の対応に不信感をあらわにします。
被害関係者男性:「焼津のブランドを大きく傷つけた」
地元の水産加工会社男性:「ここであぐらをかいて雑な運営をする状況が続くと、10年後に焼津に船が来なくなってしまう」
漁協への憤りも…
漁業関係者が憤りを隠せない理由のひとつ…。それが「漁協からの解決金の提示」でした。複数の関係者によりますと事件発覚前の2021年9月、カツオの抜き取り行為を把握した漁協は「解決金を支払う」とする文書を、水揚げする船会社に送付。金銭で幕引きを図ろうとしたと見られています。
送付された文書には2021年3月、防犯カメラに6件の抜き取り行為が映っていたことが記されていて、関係者によりますとこの映像から第2ルートの存在が明らかになったということです。
10日に開かれる予定の再発防止委員会。不正な取り引きの全容解明が急がれます。