AI=人工知能を活用し「情報の見える化」を 信頼回復へ…カツオ窃盗事件舞台の焼津漁協で開発進める 静岡・焼津市

 おととし以降、相次いで発覚した冷凍カツオ窃盗事件。舞台となった静岡県の焼津漁港では、AI=人工知能を活用したシステムの導入が検討されています。開発現場を取材しました。

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AI=人工知能を活用し「情報の見える化」を 信頼回復へ…カツオ窃盗事件舞台の焼津漁港で開発進める 静岡・焼津市

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選別する人員が慢性的に不足

画像1: 選別する人員が慢性的に不足

 おととしから相次いで冷凍カツオが盗まれる被害が明らかになった焼津漁港。盗まれたカツオは、本来通らなければいけない計量所を通ることなく、トラックにのせて運び出されていました。

 事件が起きた背景のひとつに、漁協が抱えるある悩みがありました。

焼津漁協・小梁金男常務理事:「選別にかかる人員、慢性的に不足している」

画像2: 選別する人員が慢性的に不足

 カツオの水揚げ量、日本一を誇る焼津漁港。魚の種類や大きさを分けるため、漁協の職員およそ20人がレーンに並んで作業をしています。

久須美舞記者:「水揚げされた魚は、ベルトコンベヤーを通って仕分けされていきます。マグロやカツオ、そして大きさは大小さまざまなものが流れていきます」

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 レーンには、魚の大きさを分ける装置も付いていますが、傷があったり、種類が異なる魚が混ざったりした場合は、作業員が抜き取り、別のレーンに流す必要があります。重い魚は、およそ10キロに及ぶものも。

AI活用して省人力化図る

 焼津漁協は、作業の効率化や職員の負担軽減を求め、AIを活用したシステムの導入を検討しています。

焼津漁協 小梁金男常務理事:「機械化できて省人力化を図れれば、他に職員を回せる。最終的に目指すのは労働環境の改善と、船主の望む水揚げのラインを増やすことを目指す」

 開発を手がけるのは、市内で食品製造用機器の設計などを行うイシダテック。この日、焼津漁港を訪れたのは開発担当の中原正寛さんです。

開発担当者は

画像1: 開発担当者は

 レーンの近くに2台のカメラとはかりを取り付けると‥、水揚げされた魚を1匹ずつ撮影。

イシダテック 中原正寛さん:「あとで簡単にソフトウエアでラベル付けが出来るので、QRコードを付けて撮影していました」

 およそ3時間かけてパソコンに取り込まれたのは、1000枚もの写真。これらをもとに個体を識別します。

イシダテック 中原正寛さん:「コンベヤーの上にカメラを設置して、そこから見える範囲内で傷があるかとかカツオでないかという判別と、カツオの面積から重さを推定するというようなことを考えている」

画像2: 開発担当者は

 レーンに流れてくる魚は、主にカツオやキハダマグロ。AIを活用し、品質の良いものとそうでないものに分けた後、魚の種類や重さごとに選別することを想定しています。

 会社に戻ると、早速、データを分析。

イシダテック 中原正寛さん:「AIが認識した面積とその時の重量との関係をグラフにして、相関がありそうかないかというところを見ていく」

 データをもとに検証を進め、早ければ来年夏頃に導入したい考えです。

「情報の見える化を進めたい」

 一連の事件を受け漁協は、防犯カメラを設置するなど対策を講じる一方で、AIシステムにも期待を寄せています。

焼津漁協 小梁金男常務理事:「(窃盗事件を受け)デジタル化による情報の見える化、これついても進めていきたい。それが出来れば、より信頼のされる市場になっていくのかなと考えているので、選別作業は機械がやる。職員はそれを管理する。そういった方向にAI技術の活用を出来ないかと考えている」