浸水・土砂崩れ・断水 静岡県に大きな被害を残した台風15号からあすで1年 ①静岡市油山温泉の今
去年9月県内各地を襲った台風15号。
土砂崩れや浸水など県内各地に大きな被害をもたらしました。
伊地健治アナウンサー:
「崩れたその先を見てみますと、この下には大井川鉄道の線路が走っているんです。その線路も土砂によって完全に埋まってしまっています。」
静岡市清水区の承元寺取水口には大量の流木などが詰まり、最大およそ2週間、6万3000世帯で断水しました。
県のまとめによりますと、台風15号で6人が人が亡くなり、20人がけがをしました。
全壊家屋は8棟、半壊・一部損壊の家屋は2400棟以上、床上・床下浸水は4700棟余りに上ります。
油山苑 20日
油山苑 女将 大塚トミ子さん(86):
「どうにかこうにかここまで漕ぎ着けました」
葵区の山間部にある油山地区。
50年以上続く旅館、油山苑では20日新しい冷蔵庫やシンクが厨房に搬入されました。
去年9月23日
去年9月23日の深夜、台風15号の記録的な豪雨によって裏山で土砂崩れが発生しました。
旅館の脇を流れる川は氾濫し、あふれた泥水がドアを突き破って
流れ込んできたといいます。
油山苑 女将 大塚トミ子さん
「川が全部土砂で埋まって、水の行き場がなくなって、全部うちの中をもう入りたい放題」
当時は片付けに追われ「営業を再開する」ということまで考えられなかったといいます。
油山苑 専務 大塚裕史さん
「もう土砂が流れ込んで、この床からひざ近くまで泥がたまっていて調理器材が散乱している状態でした。その時は見た時は、もうだめかなって思って、とりあえず片付けから入ろうと」
そんな中再建を目指すきっかけを与えてくれたのは、周りの存在でした。
油山苑 専務 大塚祐史さん
「ボランティアの方や友人、リピーターのお客さまが『いつから再開するの?建物残ってるじゃない』とみなさん待っていてくれたんだって」
そして、ある取り組みを始めました。
営業再開へ
油山苑 専務 大塚祐史さん
「クラウドファンディングで(発災から)半年を過ぎたが、多額の支援をいただいて、それくらいみなさんうちを、時間が経っても気にしていただいていた」
1カ月半余りで560万円ほどの支援が集まったのです。
そして、おととい。
綺麗に設備が並んだ厨房を見て思わず笑顔が・・・
「被災直後は本当に泥だらけで今後どうなるかわからなかったんですけど。みなさんのおかげでこんなに綺麗になって、やっと働けるかなと。働く意欲が湧いて楽しみになってきました」
油山苑 女将 大塚トミ子さん
「みなさんに本当に57年間可愛がっていただいて、こんな状態で
ございましたけど。心機一転して頑張っていきたいと思います」
油山苑は、まずは11月に食事処として営業を再開し、宿泊客の受け入れは、来年2月の再開を目指しているということです。