袴田巌さんを40年以上支え続けた支援者は再審開始を前に何を思う…
袴田事件の再審の初公判が27日に開かれます。40年以上にわたり、袴田巌さんを支えてきた男性支援者にこれまでの道のりや今の思いについて聞きました。
27日に始まる袴田巌さんの再審公判。
ここにたどり着くには多くの支援者の存在が不可欠でした。
山崎俊樹さん:
「今日みんなですね 巌さんの再審開始、裁判のやりなおしが巌さんが言っていた「俺はやっていない」ということを信じてこちらに集まって下さった」
その先頭で袴田さんの無実を訴えてきたのが、40年以上にわたって支援を続けてきた山崎俊樹さん(69)です。
初公判を前にした今の思いを聞きました。
山崎俊樹さん:
「やっとですね。何と言っても死刑再審ですからね」
山崎さんは佐賀県出身。
およそ50年前に現在の静岡市清水区に移り住み、現在は小・中学生向けの学習塾を経営しながら、「袴田さんを救援する清水・静岡市民の会」の事務局長を務めています。
1963年に埼玉県で女子高校生が殺害された狭山事件の漫画を
大学時代に読んだのがきっかけで、「えん罪事件」に関心を持ったといいます。
初めて見た袴田巌さんは
山崎さんが、初めて袴田さんに面会できたのは、2007年のことでした。
そこで見たのは写真にうつる立派な体格のボクサーのイメージとは程遠い、小柄でやせ細った姿でした。
山崎俊樹さん:
「最初は驚きました。自分の思っているイメージと巌さんが全然違った。ええ、これが巌さんなんだ。驚きと悲しみみたいな妙な気持ちになった」
なかなか面会ができない袴田さん。
長い拘置所生活で苦しむ姿を他の支援者たちにも知ってもらいたいと、山崎さんは似顔絵を描き始めました。
40年以上にわたって支援を続けた理由。
それは袴田さんから届いた切々と無実を訴える手紙にあるといいます。
山崎俊樹さん:
「支援がなくなったらいつ死刑が執行されるかわからない。えん罪を訴えている死刑囚ですから、これはやはりそう簡単にはやめられないという気持ちはあった」
再審開始の大きな決め手は「みそ漬け実験」
新たな証拠として再審開始の大きな決め手となったのが、弁護側が実施したみそ漬け実験です。
山崎さんは実験を考案した1人であり、自身も実験のために血液を提供しました。
今年3月、東京高裁から再審開始を認める決定が出されました。
東京高検も特別抗告を断念し、山崎さんの粘り強い取り組みがようやく実りました。
山崎俊樹さん:
「苦しい時よりも今の嬉しい方がはるかに印象に残っている。苦しい時の記憶が飛んでしまいました」
弁護士も山崎さんの存在の重要性を語る
再審開始には支援者の存在が大きかったと、弁護団の西澤美和子弁護士も語ります。
西澤美和子弁護士:
「最初すごく、この事件はこういう事件なんだよって教えもらったり。現場も1回一緒に行ってみようっていうことで、山崎さんに連れて行ってもらったり。何でも知っているし。実験をやるってなったらリーダー的な立場で動かれているし」
支援者と弁護団が一緒になって歩んできたここまでの道のり。
ようやく再審公判が目前へと迫ります。
西澤美和子弁護士:
「純粋にこの人を支援したいっていう思いで時間を使って労力を使ってやってくれる方がいるのは尊敬していますし、ついにここまで来ましたね。あとちょっとですねっていう気持ちですね」
最後の最後まで
支援活動は今や「生活の一部」だと話す山崎さん。
待ちに待った初公判は27日に開かれます。
山崎俊樹さん:
「あと半年でほぼ結論がつくなというところはある。この公判の行方をきちんと見定めていきたい」
一刻も早く袴田さんに無罪判決を聞かせるべく、最後の最後まで
闘い続けます。