袴田事件 東京高裁の再審の可否の判断は3月13日 検察側・弁護側それぞれの主張は・・・

いわゆる袴田事件で、東京高裁は3月13日に裁判のやり直しを認めるかどうかの判断を出します。対立する検察側と弁護側の意見。東京高裁の判断のポイントは…?

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袴田事件 東京高裁の再審の可否の判断は3月13日 検察側・弁護側それぞれの主張は・・・

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袴田ひで子さん:
「再審開始になることをひたすら願っています。56年闘ってきて良かったなって思うような結果を期待しています」

 無実を訴える死刑囚・袴田巌さん86歳。

 東京高裁は2月6日、再審=裁判のやり直しを認めるかどうかの判断を、3月13日に出すと弁護団に伝えました。

 1966年、旧清水市でみそ会社の専務一家4人が殺害された事件で、警察は
みそ会社で働いていた袴田さんを逮捕しました。

 1日平均12時間に及ぶ取り調べでは自白したものの、裁判では一貫して否認。
 
 しかし、1980年に死刑が確定しました。

 2014年、静岡地裁が一度は再審を認め、このとき、袴田さんは48年ぶりに釈放されました。

 しかし、検察が決定の取り消しを求め、東京高裁がこれを認めました。

 その後、2020年最高裁は高裁に審理を差し戻します。

 その”理由”が…

「5点の衣類について審理が尽くされていない」

 5点の衣類とは、犯行時に袴田さんが着ていたとされる半袖シャツやブリーフなどたった1つの重要証拠です。

 事件から1年2カ月後、現場近くの工場のみそタンクから見つかりました。

 当時の捜査資料には、血の色について「濃い赤色」と記されています。

 しかし弁護側はみそに漬かった状態で1年経てば「赤みは消え黒っぽくなる」として、証拠はねつ造されたものだと指摘しています。

 再審開始を求める弁護側には、これまで審理してきた証拠ではなく新しい証拠の提示が求められます。

 弁護側が高裁に提出した最終意見書では、血液を赤く見せるヘモグロビンというたんぱく質は塩分濃度が高い状態に短時間でもさらされると壊れ、再び形成されることはないとする専門家の見解が示されています。

袴田事件弁護団事務局長 小川秀世弁護士:
「ヘモグロビンが壊れて、どんどん褐色あるいは黒褐色化していくということがわかって、そういう物理的化学的反応というのは、本当に短時間でできるということ」

 犯行時に着ていたとされる衣類が”ねつ造”された証拠だと裏付けようと、弁護側はこれまで独自に実験を重ねてきました。

「衣類がみそに漬けられたのは 1年2カ月前か発見直前か」

 犯行時に着ていたとされる白い半袖シャツ。

 発見されたとき、白い部分が残っている状態でした。

 しかし、弁護側が1年2カ月みそに漬けると…

実験当時の 小川弁護士:
「こちら(証拠写真)は、元々白い下着だとわかるぐらいの色にしか染まってないが、これはもう明らかに焦げ茶色になっていて、血液の色も赤みが残ってないですよね全然。裁判所が1年2カ月も漬かっていたことが明らかだというふうに
判断したのは、逆に明らかに誤っていますよね」

 こうしたことから弁護側は、衣類が発見される直前にみそに漬けられた可能性があると指摘。

 そうであれば、当時勾留されていた袴田さんがタンクに隠すことは不可能です。

 検察側も、おととし9月血のついた布をみそに漬ける実験を始めました。

 1年2カ月後に取り出した結果「血痕には赤みが残る可能性がある」と主張。

 検察側は、新証拠としての明白性が認められるものではないとし、袴田さんを
再び収監することを求めています。

 しかし、検察側の実験に対し弁護側は…

袴田事件弁護団事務局長 小川秀世弁護士:
「どう考えても、どう見ても真っ黒だと思うんですよ。検察の実験の条件というのは一番赤みが残りやすい条件をいろいろ考えて設定したもの。その中で真っ黒になっているわけだから。間違いなく再審開始は出していただけるだろうというふうに思っています。ただ袴田さん高齢ですし、これ以上長引かせることは絶対避けてもらいたい」

 来月87歳になる袴田さん。

 誕生日の3日後、釈放から9年のときを経て高裁の判断が出されます。

画像: 「5点の衣類について審理が尽くされていない」