「死んで当然」　被害者の父親がSNSの誹謗中傷に怒り　民事訴訟も　静岡・牧之原市の送迎バス園児置き去り死事件から２年　

　静岡県牧之原市の認定こども園「川崎幼稚園」の送迎バスに、当時３歳の女の子が置き去りにされ、熱中症で死亡した事件から５日で２年です。女の子の父親が「悔しい気持ちが深いところに残っていて忘れることができない」と今の心境を話しました。

　２０２２年９月５日、牧之原市の認定こども園・川崎幼稚園で、当時３歳の河本千奈ちゃんが、送迎バスにおよそ５時間にわたって置き去りにされ、重度の熱中症で死亡しました。

　事件から２年となった５日。バスが止められていた園の駐車場には、朝から献花に訪れる人の姿がありました。

●現場に訪れた人（男性）：
「私同じ女の子で同じ年の孫がいる。遺族の方に解決策なんてないと思うんだけど、なるべく早く少しでも安らかになってほしいなと思います」

●女性：
「私たちも子どもを預かる仕事をしていますので、車で送迎もしている仕事ですので、今回の事故は私たちも気を付けないといけない」

●男性：
「バスを置きに来る時にもう一度確認していれば絶対防げた事故だと思うのでこんな事故は起きなかったんじゃないかなと」

　この事件をめぐっては、事件当日、バスを運転していた元園長（７５）が業務上過失致死罪に問われ、静岡地裁から禁錮１年４カ月の実刑判決が言い渡されました。また、元担任（４９）には禁錮１年執行猶予３年が言い渡され、いずれも判決が確定しています。

　事件から２年になるのを前に取材に応じた千奈ちゃんの父親は。

●千奈ちゃん父親：
「お風呂に入っているときや髪を乾かすとき、ごはん食べてるときに同じものを食べていたなと千奈を思い出す。悔しい気持ちが深いところに残っていて忘れることができない。裁判官に『恨まないように』と言われたがそういう気持ちは消えないんだろうなと感じました」

　また、ＳＮＳなどでは自身や千奈ちゃんに対して誹謗中傷が相次いでいるといいます。

●千奈ちゃん父親：
「子育てが終わって良かったですね。うちの子は元気ですと言ってきた」
「私たちが馬鹿にされる文章はいいが、千奈に死んで当然、存在感のないカスみたいな子だったんだと言われるのが一番腹が立ちました」

　千奈ちゃんの父親は一部の投稿者に対して開示請求を行い、民事訴訟を起こしたということです。

　幼く尊い命が奪われてから２年。園側は「今後もご遺族への償いを続け、安全管理をさらに徹底し地域から必要とされる役割を果たしてまいります」とコメントしています。