袴田事件の再審無罪判決から一夜明けひで子さんは巌さんに新聞を見せ裁判の結果を伝える 今後の焦点は…
事件発生から58年。26日再審無罪判決が出た袴田巌さんに姉のひで子さんは新聞を見せて裁判の結果を伝えました。
今後の焦点は検察がするかどうかです。
白鳥衛記者
「無罪です、無罪です。静岡地裁は袴田巌さんに無罪を言い渡しました
1966年、旧清水市でみそ会社の専務一家4人が殺害され、警察は、従業員の袴田巌さんを逮捕。
それから58年。
26日午後2時ごろ、無罪判決が明らかになった直後の様子です。
支援者
「いいことがあったそうですよ」
袴田巌さん
「さて」
26日も日課の散歩へと出かけました。
26日の判決で静岡地裁の国井恒志裁判長は、捜査機関による3つの「ねつ造」を認定。
ひで子さん(91)
「きょうはいいことあった」
巌さん
「なんだ?」
ひで子さん
「再審開始になったの」
巌さん
「ああ、そうなの」
ひで子さん
「再審開始になったの、それでね、無罪判決、無罪の判決が出た。あんたが勝った。あんたの言う通りになった。わかる?ね、あんたの言う通りになったのよ。裁判長さんが無罪だって。これでもう終わったでね。安心しな」
聞きながら、何度かひで子さんの顔を見るそぶりも…。
袴田巌さんの姉 ひで子さん(91)
「再審無罪になったの。ね、長かったけどさ、裁判が。再審無罪になったの。無罪ですって、裁判長さんが言った。だからもうね、裁判所も行かない。ね?安心しなよ、もう、わかった?よかったね」
歴史的判決から一夜明け、静岡市の街頭では袴田さんの支援者が、検察の控訴断念を求めるビラを配りました。
袴田家では。
袴田巌さんの姉 ひで子さん(91)
「ほれ、あんた、袴田さん再審無罪、証拠3つのねつ造。こっちの新聞も…、全部そう」
自分の無罪判決を伝える新聞を前にした、袴田巌さん。
袴田巌さんの姉 ひで子さん(91)
「あんたが手紙で書いてきた通り。よかったね」
袴田巌さんの姉 ひで子さん:
「再三「無罪になってもう心配いらんよ」って言ったんですが、ちょっと分からないようでした。けさ朝刊を全部買いましてね、新聞を見せればいいやと思って。こういうふうに書いてある、「本当だよ、分かったでしょ」って言ったらね、返事はしないですが、何となく表情がちょっと明るくなりました。たぶん分かっているのかな。それで言葉は発しませんでした。残念ながら、だから毎日少しずつそう言っていこうと思っております」
27日の県議会、県警察のトップに質問が…。
静岡県警 津田隆好本部長
「きのう静岡地方裁判所において無罪判決が言い渡されたことは承知している。これにつきましては、いまだ判決は確定していないことからお答えを差し控えさせていただく」
袴田さんの無罪は、まだ確定したわけではありません。
今後の焦点は、検察が控訴するかどうかです。
検察幹部
「ここまで書くかという印象だ。影響が大きい。無罪はひっくり返らなくても、「ねつ造の可能性」まで引き下げるために控訴することはあるのかもしれない」
袴田事件弁護団 小川秀世主任弁護人
「裁判官が3つの大きな論点について、ねつ造を認定したことも非常に画期的なことだった。今回の判決は控訴を断固させない、あるいは諦めさせるのに十分であったと思っています」