袴田さん無罪判決から1週間 ~大谷昭宏が聞く~② 木谷明弁護士  

 再審判決で静岡地裁の国井恒志(くにい・こうし)裁判長は、捜査機関による 3つの「ねつ造」を認定。最大の争点とされた 5点の衣類については「捜査機関によって血痕を付けるなどの加工がされた」と指摘しました。

 元裁判官の木谷明弁護士。裁判官時代に30件以上の無罪判決を出しました。

 判決が出た日の夜、大谷さんが木谷弁護士に直撃しました。

大谷昭宏):
「今回(静岡地裁が)ねつ造とはっきり言ったんですよね? かなり大きいんじゃないですかね?

木谷弁護士):
「インパクトが大きいですよね」

大谷昭宏):
「多くの裁判官はそこまで言ったら検察のメンツがつぶれるんじゃないかと。そこまで追い詰めるなんて」

木谷弁護士):
「それをやると検察官の控訴を誘発するんじゃないかと。返って被告人のためにならないと言う人もいます

大谷昭宏):
「だけど、裁判所がねつ造と思っていながら『そんなこと言ったら怒るだろう』と(ねつ造認定を)ひっこめたら、それは被告人もたまったもんじゃないですよね。おっしゃる通りですね。だから、そこで検察官に対してそういう(ねつ造を指摘しない)言い方をするのが今までの裁判官ですよね。本当はそうじゃないんだよ平気な顔をしている検察がいるわけです」

 検察があと1週間で控訴するかが最大の焦点です。

 木谷弁護士は多くの無罪判決を出しながらも、一度も覆されたことがないという「無罪を見抜く」凄腕の判事でした。

木谷弁護士):
「今度の結果で控訴しないとなると他の裁判官も安心するかもしれませんね。それが怖いから検事が控訴するというかもしれない。だけどそれは絶対しちゃいけない、この事件で控訴なんか人道的な見地から許されない」

大谷昭宏):
「日本の司法界を震撼しなければならない」

木谷弁護士):
「おっしゃる通りですよ。それと同時に、死刑制度を考え直さなければいけない。死刑執行されたらおしまいですから」

大谷昭宏):
「証拠を作られて死刑台に送る国って、この国のこの体制を変えなきゃいけないよと」

木谷弁護士)検事が法務省を牛耳っているのはいけないですよね

 東京の日本記者クラブで今週記者会見したひで子さんは検察の控訴について問われると。

●記者):
Q、検察はまだ控訴するかもしれないし、しないかもしれないが、どんな風に思っていますか?

●袴田ひで子さん:
「まあしたきゃすりゃいいと思う。フッフッフ(笑) したけりゃすりゃいい」