袴田巌さんの無罪判決を受け日弁連が再審法の改正を訴える 弁護団は検事総長の談話に抗議声明
袴田巌さんの無罪判決が確定したことを受け、日弁連が会見を開き、再審法の改正を訴えました。また袴田さんの弁護団は検事総長の談話に関する抗議声明を検察庁に提出しています。
日弁連・渕上玲子会長:
「無罪判決が確定しても、なお拘禁症状による心身の不調からは残念ながら回復されておりません。これは刑事司法の制度的構造的な問題によってなされたものであり、到底容認することはできません。死刑制度の廃止と、再審法の速やかな改正については前にも増して強く取り組んでまいります」
日弁連の渕上会長はこのように述べ、同様の事態を繰り返さないために再審法改革の必要性を強く訴えました。
ひで子さんは
会見には袴田巌さんの姉ひで子さんも出席し、今の気持ちを語りました。
袴田ひで子さん(91):
「死刑囚ではなくて、一般市民として巌がなりましたことをとても喜んでおります。私たちは巌だけが助かればいいとは思っておりません。えん罪で苦しむ方皆さん大勢いらっしゃいます。その方たちにもぜひ、再審開始になって頑張っていただきたいと思っております。私はともかく元気でございますので、大いに応援してまいります。再審法の改正も速やかに進めていただきたいと思っております」
小川秀世弁護士は
一方弁護団の小川秀世弁護士は、検察総長が発表した談話について怒りをあらわにしました。
小川秀世弁護士:
「刑事総長の談話に関しては我々は黙ってはおられないと。「袴田さんが犯人である けれども」というような、それと等しい表現 多々あったという風に認識をしています。私は名誉棄損に該当する恐れもあるようなものだと思っています」
弁護団は抗議の声明文を検事総長に提出したということです。
牧原秀樹法務大臣は
また、牧原秀樹大臣が袴田さんに対して謝罪をした上で、再審法についても言及しました。
牧原秀樹法務大臣:
「相当の長期間にわたって法的に不安定な地位に置かれたという状況については、私も大変申し訳ないという気持ちを持っていることだけはお伝えしたい。再審制度の在り方については、現在法務省で開催している改正継続法に関する刑事手続き協議会で協議が行われているので、まずはどう協議会において充実した議論を重ねていくことが重要」
一方、事件の被害者遺族は「判決は受け入れる。しかし素人だから分からないけど事件は未解決、はい終わりという結論は受け入れ難い」と胸の内を明かしました。
弁護団によりますと、袴田さんの無罪確定を受け国に刑事補償を請求する方針だということです。
袴田さんは48年近く身柄を拘束されていたため刑事補償法に基づき請求額は2億円以上になる見通しです。