竜巻被害から3ヵ月 自宅が罹災証明で全壊の判定を受けても解体さえ進まない現状が…
日本最大級の竜巻被害から3カ月。静岡県牧之原市で住宅に大きな被害を受けた男性が復興がなかなか進まない被災地の現状を語りました。
9月5日牧之原市などで発生した日本最大級の竜巻。
牧之原市の被害認定調査では2日までに73軒が全壊の判定を受けるなど、合わせて1334軒の被害が確認されています。
発災から10日後牧之原市細江の自宅の被害について語るのは
会社員の池ヶ谷透矢さん(25)です。
祖母と2人で家にいたとき竜巻に襲われたといいます。
池ヶ谷透矢さん(25)
「2階にいるおばあちゃんに『停電したよ』と言いに行こうと思って階段を駆け上っている瞬間に竜巻が来ました。(祖母が)『雨戸を閉める』と言ったんで『窓は危ないから離れろ』と言って離れた瞬間に窓ガラスが割れました。もう少しこの窓の前にいたら全身にガラスが刺さっていたと思います」
自宅は屋根が剥がれ全体がねじ曲げられるように傾きました。
池ヶ谷透矢さん(25)
「家族の中では最後の判断は全部僕に任せるというので、建て替えかリフォームだったりきれいにしたいですよね」
9月20日は
罹災(りさい)証明書の発行日です。
池ヶ谷透矢さん(25)
「罹災(りさい)証明書の判定を早くもらわないと、次のステップに進めないので、家をどうするかとかまあちょっと不安と言えば不安ですね」
全壊の判定を求めて臨んだ被害認定調査の結果は大規模半壊。
住宅再建の補助金に制限のある大規模半壊という判定に納得ができず、池ヶ谷さんは市に再調査を依頼しました。
発災から1カ月半後。
牧之原市は再調査の結果、解体や撤去の費用を自治体が全額補償する全壊に判定を変えました。
この結果を受け池ヶ谷さんは家族の思い出が詰まった家を解体すると決めました。
しかし、被災から3カ月。
池ヶ谷さんは今も被災した家に祖母と住み続けています。
池ヶ谷透矢さん(25)
「借り上げ住宅に数日間戻って生活を送ってみたんですけど、精神的な安心はこっちの家にあったんで戻ってきて住んでいる。家としてはもう機能はしていないけど、自分たちが慣れている家の方が楽で安心できる」
池ヶ谷さんはいち早く家の解体を進めたい考えですが、被災で出たがれきなどが今もゴミ置き場に置かれているため、解体で出るがれきを置く場所がなく、解体を始められないと市から説明を受けているということです。
牧之原市によると災害ごみの仮置き場の整備は進めていて、年内に市内の公費解体を始めたいといいます。
しかし、解体業者との取り決めや土地所有者の確認などが完了していないため、解体の開始が遅れているということです。
池ヶ谷透矢さん(25)
「解体をしてもう更地にしてしまえば、また次のときを考えるときに踏ん切りが若干はつくと思うんですけど、そこがまだできていないので、いつ解体できるかとか、いつ解体をしてくれるのかというのに、今この待っている状況がすごい不満だったりしていて次に進みたくても進ませてくれない」
全壊という判定が出てもなお被災者は次に進むことができずにいます。

