闇ルートで流通か…「側溝の金属製ふた」175枚盗難事件の背景は 静岡・掛川市
市担当者:「被害額は合わせて230万円ほど」
市民:「子どもたちの通学路にもなっているから、怒りの気持ちで今いっぱい」
1枚20kgのふた175枚盗難…1人では難しい
掛川市で起こった盗難事件。被害にあったのは、道路の側溝にはめられた金属製のふたです。グレーチングと呼ばれるこのふたは、1枚あたり重さは20kgほど。これまでに175枚もの数が何者かによって盗まれました。いったい、その背景には何が!?
梅田航平記者:「掛川市中心部から車で30分ほど北上してきたこちらが今回被害にあった現場です。見てみると、ここからふたがなくなっていて、およそ200mに渡ってグレーチングが盗まれたということです」
掛川市によると、被害が発覚したのは15日の朝。異変に気が付いた近隣住民が警察に通報しました。市の職員が確認したところ、およそ100枚が盗まれていたということです。
掛川市都市建設部 井口浩一係長:「見たときは非常に驚きました」
Q.簡単に盗めるもの?
A.「一枚20キロほどありますので、持ち運ぶにしても一人でやるにはかなりの労力だと思う」
被害にあった現場は、住宅が少なく、茶畑が密集する山間のエリア。人目にはつきにくい場所です。
掛川市都市建設部 井口浩一係長:「通過する車もあまりないし、街灯もあまりない、ということで、夜になると非常に暗くて、盗みやすい環境になってしまうのかなと思う」
今回の事件を巡っては、9日にも同じ道路で同様のふたが75枚盗まれていて、掛川市は警察に被害届を提出。掛川市によると、被害額は2カ所合わせて230万円以上に上っています。
犯行現場は「通学路」近隣住民も怒りを露わに
この道は普段から近隣の小学校の通学路になっていることもあり、ふたがないことで子どもたちが歩くことができる幅は狭くなり、車のドライバーにとっては脱輪の不安がよぎります。近隣住民も怒りを露わにしています。
掛川市東山区 山城菊雄区長:「交通安全の面で心配になってきている。子どもたちの安全とか考えて施工したものなので、そういったものを盗まれるのは憤りを感じるというか、怒りの気持ちでいっぱい」
背景に「鉄の高騰」か
一体、なぜ鉄のふたは大量に盗まれてしまったのか…。背景にあると考えられているのが鉄の価格高騰です。
中村金属興業 三浦太士専務:「数年前に比べると比較的高値で安定していて、比較的高い状態が続いている。基本多くのスクラップ業者で身分照会をしていると思うけど、中には法律すれすれという形でやっている業者もいて、そういったところに荷物が行っている(売られている)可能性があるのかなとは思う」
実は、鉄製のふた=グレーチングの盗難被害は県内でも過去に頻発しています。2018年には、牧之原市、御前崎市、菊川市などで被害が相次ぎ、掛川市でも2021年に被害があったといいます。
これらの犯行は転売目的とみられていて、業界関係者によると、鉄鋼製品、原料等はコロナの影響が一段落して製造業の売り上げが復調。2022年には鉄スクラップの買い取り価格が過去最高になったということです。
こちらの鉄スクラップ場でも現在、鉄を1キロ40円で買い取っています。ただ、主な買い取り相手は工場からです。個人からの買い取りも業界としては珍しくありませんが、通常であれば異変に気付くといいます。
中村金属工業 三浦太士専務:「工事の業者とか、いつも持ってきてくださる方ですと、さほど違和感ないですけど、個人の方がグレーチング何十枚もというと『変だな』とは思う。そう思われることを避けるためにも、そういった(グレーゾーンな買い取りをする)ところに行く可能性はある」
再発防止は…
市の共有資源を狙った今回の事件。盗まれたグレーチングは闇ルートで流通されている可能性が高いとみて、警察は捜査を継続し、掛川市も対策を検討しています。
掛川市都市建設部 井口浩一係長:「(グレーチングを)固定するとか、連結させるという方法が考えられるけど、まずはその他の方法も検討して、地元の皆さんと相談して進めていきたい」