3歳女児バス置き去り死事件から間もなく1年 父親「無念晴らして娘に報告したい」 静岡・牧之原市

 去年、静岡県牧之原市の幼稚園バスに置き去りにされ、当時3歳の河本千奈ちゃんが熱射病で死亡した事件から1年を前に、父親が30日、報道陣の取材に応じ、「娘を失った悲しみ」と「園への不信感」を語りました。

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3歳女児バス置き去り死事件から間もなく1年 父親「無念晴らして娘に報告したい」 静岡・牧之原市

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「千奈の存在は本当に大きかった」

画像1: 「千奈の存在は本当に大きかった」

河本千奈ちゃんの父親:「本当に助けてあげられなくて、ごめんなさいと。事件当日も気づいてあげられなくて、ごめんなさいと。親として、今も…。自分の行動が正しいかどうかはわからないが、無念を晴らせたら、晴らして、千奈へ報告できればなという思いがある」

 去年9月5日、牧之原市にある川崎幼稚園の送迎バスの中におよそ5時間置き去りにされ、当時3歳だった河本千奈(かわもと・ちな)ちゃんが熱射病で死亡しました。

画像2: 「千奈の存在は本当に大きかった」

 事件発生から、まもなく1年─。30日、千奈ちゃんの父親が、今の思いを語りました。

河本千奈ちゃんの父親:「日数が経つにつれて、いやでも生活をしていかなければいけないと。そういった時に、やっぱり娘の、千奈の存在っていうのが本当に大きかったんだなと。何をするにも、例えば幸せとか、楽しいということが、今までは本当に当たり前すぎて、実感できないことがあったんですけれども、それが本当に事件後、千奈が亡くなってから、改めて実感することが本当に毎日、多くなっています」

車内の温度は45℃に…上半身の服を脱いで水筒は空っぽに

画像1: 車内の温度は45℃に…上半身の服を脱いで水筒は空っぽに

 事件があった当日、牧之原市の最高気温は30.5℃。静岡県警の実験では、車内の温度は一時45℃を超えていたということです。猛烈に暑くなった車内で、千奈ちゃんは上半身の服を脱いだ状態で発見されました。その近くには空になった水筒も…。

川崎幼稚園 増田立義元園長:「本当に苦しい思いをさせて申し訳なかったな、と今は感じております。暑い中、よくあんな中でいて、本当にかわいそうだったなと感じています」

 記者会見の最後には、園の今後についても─

川崎幼稚園 増田立義元園長:「これからも、私たちはいろいろなことで未熟な点もあります。ですけども、是非、皆様方のご協力によりまして、いい園をあるいは僕がいなくなったら、さらに良くなるように…」

弁護士:「園を続けるかは決まっていない」

増田立義元園長:「まだ決まっていない。そうか、廃園になるかもしれないよね」

画像2: 車内の温度は45℃に…上半身の服を脱いで水筒は空っぽに

 川崎幼稚園は事件後、休園していたものの、1カ月ほどで再開。バスでの送迎はしていないものの、運営を続けています。

「廃園の約束を反故にされた」

 事件から、まもなく1年。30日、父親がおよそ1時間半にわたり、今の気持ちを話しました。

河本千奈ちゃんの父親:「娘に対する大切な思いというのは、ずっと変わらずありますし、川崎幼稚園、学校法人榛原学園に対して、誠意ある対応をしていただけてないので、怒りがあります」

 園に対して父親は“怒り”をにじませます。

画像: 「廃園の約束を反故にされた」

河本千奈ちゃんの父親:「園を廃園にすると、また主要な管理職の方々が辞職すると。私たちの前で約束したのに、その約束を反故にされた。面談を続ける中で、例えば私たちに対して、あぐらをかきながら誠意ある対応をされなかったり、妻に対してにらみつけて声を荒らげて受け答えをしたりと。また自分たち遺族に直接、『今、気晴らしに友人と出かけてる』と言ってきたりとか、ちょっと信じられない対応をされている部分もあるので、そこに関して、怒りとかそういったものは事件当初よりもさらに強くなっています」

「命を預かる仕事をするのなら、しっかりやってほしい」

 こうした悲劇を繰り返さないよう国も動いています。

 今年4月から置き去り防止として、送迎バスへの安全装置の設置を義務化。ただ、1年間の経過措置があることもあってか、設置率は全国で55.1%と半分程度となっています(こども家庭庁より 6月末時点)。

 こうした状況に、千奈ちゃんの父親は…。

画像: 「命を預かる仕事をするのなら、しっかりやってほしい」

河本千奈ちゃんの父親:「安全装置義務化は当然いいことだと思う。夏になって、こういった時期だと、やはり先日も園ではないが、同じような事故があったので、私たちの子どもで最後にしてほしいとか、やっぱりこう建前でそういうこと言うと思うが、本音では何で自分たちの子どもが他人に殺されなきゃいけないんだろうとか、どう納得したらいいのか分からない気持ちで、ずっと過ごされてるっていうのが本音だと思うので、命を預かるっていう仕事をするのであれば、しっかりやってほしい」