閉山中の富士山で男女2人滑落…1人は重体 「ベテランでも遭難する」冬登山 特に危険な「滑落」と「突風」 

 4日午後3時ごろ、警察に寄せられた女性からの通報。「2人が行方不明になった。400メートルぐらい滑落した」。登山していたのは、外国籍の男女3人のパーティーでした。下山中に富士山新7合目付近で滑落したとみられ、県警の山岳遭難救助隊が救助に向かい、午後10時半すぎに合流。

 滑落した2人のうち、スウェーデン人の女性(23)が重体、ニュージーランド人の男性(51)が重傷とみられ、富士宮口5合目から下山したあと、県の防災ヘリで搬送されました。

閉山中の富士山で男女2人滑落…1人は重体 「ベテランでも遭難する」冬登山 特に危険な「滑落」と「突風」 

静岡・鈴木康友知事「危険だから閉山している」

 10日、静岡県の鈴木康友知事も今回の遭難事案に言及しました。

静岡県 鈴木康友知事:「大変残念なことだと思う。閉山期間中は危険だから閉山している。ぜひそこをしっかり認識していただき、無理な登山をされないように引き続き我々としても注意喚起をしていきたい」

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「ベテランでも遭難する」

 富士山で後を絶たない、外国人登山者による問題。閉山中のため、5合目から山頂までの登山道は通行禁止になっています。毎年、閉山期間中に問題となるのが、“無謀な登山者”です。閉山期間中の遭難者は、静岡側だけで、この5年で48人。そのうち死者は12人と、4人に1人が亡くなっています。こうした“無謀な登山者”を、命がけで救助するのが静岡県警の山岳遭難救助隊です。

静岡県警山岳遭難救助隊 坂上雅信隊長(56):「(遭難者は)冬山経験の浅い方ばかりではなくて、海外遠征に行くようなベテランの方も遭難してしまう」

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滑落すると「止まらない」…数キロ滑ることも

 冬の富士山ならではの危険が2つあるといいます。1つ目が「滑落」です。

静岡県警山岳遭難救助隊 坂上雅信隊長(56):「一度滑落すると止まることができない。数キロくらい滑落することもありますので、命に関わる重大な案件に発展する可能性がある」

 救助に向かうときは、歩幅を小さく慎重に歩くため、現場に到着するまで時間がかかってしまうといいます。

 1月、富士宮ルート8合目付近で、下山中の中国籍の20代男性が「足を負傷して歩けない」と、救助要請が入ったときには、暗い雪道を進み、現場に向かう救助隊。男性と合流したのは、通報からおよそ10時間後。午後10時を過ぎていました。

静岡県警山岳遭難救助隊 坂上雅信隊長(56):「最初は夜通しで救助しようと思ったんですけど、予想以上に夜の風が強くて、明朝の明け方まで待機することにしました」

突風だとヘリでの救助も困難

 冬の富士山の危険。2つ目が「台風並みの突風」です。中国籍の男性は、右足を骨折していました。救助隊と合流した際には、突風が吹いていたため、8合目で一晩を過ごし、翌朝に下山。その搬送方法も、夏よりもかなり慎重です。夏は救助者を背負って搬送することが多いのですが、冬は救助者が滑り落ちないよう、命綱を付けてストレッチャーに乗せて慎重に運びます。

静岡県警山岳遭難救助隊 坂上雅信隊長(56):「隊員に遭難者の体重の負荷がかかりますので、夏季より非常に神経は使います」

 突風が起きやすい冬の時期はヘリでの救助も困難で、天候次第では救助に向かえない可能性もあります。命の危険が伴う、冬の富士登山。

 通行禁止の登山道を通った場合、6カ月以下の拘禁刑、または30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

静岡・山梨両県では「救助の有料化」の声も

 静岡・山梨両県は、登山計画書を提出し、万全な準備をしていたとしても、冬の富士登山は、自粛するよう注意を呼びかけています。静岡県議会の特別委員会は、危険な登山の抑止力になるとして、「救助の有料化を検討すべき」と提言。山梨側でも富士吉田市長が「救助費用は有料化すべきだ」と言及しています。この救助の有料化について山梨県は、「議論を重ねている」とし、静岡県は「議論はしているが、法的な壁があり、“実現は困難”」としています。

 では、無謀な登山にどのように対応していくのでしょうか?

静岡県富士山世界遺産課 岡部晋治参事:「富士登山そのものを禁止する法律はないものですから、道路法に基づく登山道の通行禁止など、法令に基づいて説明できることを発信しまして閉山期間中の登山抑制に努めている」

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