悲劇は繰り返した 消防隊員の携帯警報器は正常に機能しなかったのか? 静岡市繁華街のビル火災
10月5日には市議会の企業消防委員会で、消防局が当日の詳しい経緯を説明しました。山本さんを含む3人は、山本さんを先頭に青の線の経路で現場に進入し、午後10時55分ごろに火元を発見し、放水。5分後に指示を受けて退出する際に真ん中にいた隊員が山本さんに触れ、「退出」と声を掛けましたが、火元付近から離れたあと、山本さんがいないことに気が付いたということです。
当日、山本さんたち隊員は火災現場に突入する際に消防士が身につける携帯警報器を身に着けていましたが、その警報器が正しく機能していなかった可能性が浮上しています。
こちらは山本さんが携帯していたものと同じタイプの警報器。一定時間、所有者に動きがなかった場合は走行中の電車内よりも大きい95デシベルの音が鳴る仕組みです。静岡市消防局によると、今回の現場で警報器の音は確認されておらず、原因はまだわかっていません。
専門家は…
消防の対応について詳しい専門家は…。
● 市民防災研究所 坂口隆夫 理事
「携帯警報器の音は実験をやった結果、屋外の場合には70m~100m近く離れても聞こえるということ。しかし、今回は聞こえなかったという証言があったということは、故障していたのか、あるいは予備警報(最初になる警報)の段階で、隊員がアラームをボタンを押して解除してしまったのか、この2つのことが考えられると思う」
静岡市消防局がこの警報器を導入したきっかけは、おととし7月、消防隊員ら4人が死亡した吉田町で発生した工場火災でした。しかし、その警報器は何らかの理由で作動せず、消防士が命を落とす悲劇は再び繰り返されてしまいました。
● 市民防災研究所 坂口隆夫 理事
「(静岡市では)消防隊員3人が2年前に殉職している。安全管理というのは十分確立されていたのに、また今回殉職火災が起きてしまったというのは、何か活動の根底に問題があったのかなと私は考える。なぜ検索ロープを装着しての侵入をしなかったのか、危険な屋内侵入を火災発生から1時間の間に3度も実施している。その必要性があったのかどうか、私はしっかりと検証する必要があると思う」