ドライバーの人材不足と高齢化 利用客の減少、燃料の高騰の中サービスの質を保てなくなったとして伊豆地域でタクシーが値上げ
堀優奈アナウンサー:
「きょうから伊豆地区を走るタクシー会社の初乗り運賃が以前から70円値上がりし、680円になりました」
食品や光熱費など、日常の様々なものが相次いで値上がりする中、公共交通機関にもその影響が出ています。
伊豆地区の11市町では、11日からタクシーの初乗り運賃が610円から680円に。
さらに、25日からは伊豆地区以外の地域で、初乗り運賃が600円から660円になるなど、静岡県内全域でタクシー料金が値上がりします。
11日から値上げとなった伊豆地区のタクシー会社では、早朝から準備に追われていました。
伊豆箱根交通 熱海営業所 橋本譲司所長
「朝の4時30分からステッカー貼り、610円から680円に。それと車の中のメーター機の料金設定を変えた」
1.2kmまでの初乗り運賃は70円の値上げとなった一方で、加算運賃は90円のまま据え置きに。
ただ、これまでは266mごとに加算されていたものが、11日からは15m短い241mになり、“実質”値上げとなります。
伊豆箱根交通 熱海営業所 橋本譲司所長
「(値上げの)一番の理由は乗務員の待遇改善。削れるものは削っている中で、非常に苦しい状況」
ドライバーの人材不足や高齢化が深刻化するタクシー業界。
さらに、ここ数年はコロナ禍による利用者の減少や燃料の高騰なども重なり、サービスの質を保つことが難しくなったため、今回、運賃の値上げとなりました。
伊豆箱根交通 熱海営業所 橋本譲司所長
「このコロナ禍で同業他社が何社か廃業したりしているので、非常に苦しい業界だと感じている。やはりただ(値段を)上げるだけではなく、私たちも接客はもちろんのこと、安全第一で客を送るのが第一の使命なので、それを忘れずにやっていきたい」
観光客は
堀優奈アナウンサー:
「JR熱海駅です。駅前のタクシー乗り場にはタクシーを待つ人で行列ができています。運賃の値上がりについて利用客はどう思っているのでしょうか」
山口県から:
「きょうから上がったのは知らなかったです。ガソリンがすごい上がっているのでしょうがない」
東京都から:
「運転手さんも大変ですもんね」
東京都から:
「いろいろ今値上がりしているので、そういうことを考えるとしょうがない。しょっちゅう使う人だとかなり痛いと思う」
東京都から:
「観光面としては当たり前だと思う。別に文句はありません。経営者のことを考えればそれ(値上げ)は通常だと思う」
ホテル業界は
県外からの客が多い熱海では、タクシーは観光に欠かすことのできない重要な移動手段。
宿泊施設はこの値上げについて…。
熱海温泉ホテル旅館協同組合 森田金清理事長
「今、石油価格・人件費がこれだけ上がっているし、タクシー運転手の担い手もだんだん少なくなっていると聞いている。こういう業界のことを考えると、我々としてはタクシー業界がしっかりこれからも生き残っていくためにも、むしろこの値上げに関しては応援せざるを得ない」
こちらのホテルは、JR熱海駅から徒歩5分ほどの場所にあります。
ホテルの利用者が宿泊後にタクシーを使って、周辺の観光地を巡るケースも多くあるようですが…。
熱海温泉ホテル旅館協同組合 森田金清理事長:
「半日ツアー・1日ツアーでタクシー貸し切りプランがあるので、そういったものを活用して熱海、または熱海から近い箱根などに向かう話はよく聞く」
Q貸し切りをする人にとっては今回の値上げは痛手?
「痛手になる部分はあると思う」
一方で、宿泊施設とタクシーは、お互いが助け合い、共存する関係。
タクシー業界の衰退が、観光業界の衰退につながる可能性もあり、宿泊施設としても、今回の値上げについて、前向きに捉えています。
熱海温泉ホテル旅館協同組合 森田金清理事長:
「(観光客が)熱海に来たときに、「ちっともタクシーが捕まらない」よりも、運転手も優しいし、タクシーもすぐ捕まり非常に便利だと思われたほうが温泉地としては価値が上がると思っている」