「自衛隊の災害派遣要請」の遅れは『携帯電話の番号を知らなかったから』? 静岡市長「教えてくれなかった」 知事「聞かれたことはない」 /今週の静岡

 静岡県内に甚大な被害をもたらした台風15号。静岡市清水区では、最大、区の8割にあたる6万3000軒の断水や、床上床下合わせて1500軒近くの浸水被害が発生。市民の生活に大きな影響を及ぼしました。市民の不満が大きいのは「自衛隊の災害派遣要請」の遅れについてです。自衛隊への災害派遣要請は基本的に、市町村長が県を通じて要請します。しかし、静岡市が要請を決めたのは、発生から2日後でした。

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「自衛隊の災害派遣要請」の遅れは『携帯電話の番号を知らなかったから』? 静岡市長「教えてくれなかった」 知事「聞かれたことはない」 /今週の静岡

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静岡・田辺市長「派遣要請のタイミングとしては適当だった」

 台風への市の対応に批判の声が上がってることについて今週火曜、静岡市の田辺市長は…。

画像1: 静岡・田辺市長「派遣要請のタイミングとしては適当だった」

静岡市 田辺信宏市長(11日):「自衛隊への派遣要請についても、24日土曜日から市内山間地域で崩落土砂撤去や断水への対応など派遣の3要件、緊急性・非代替性・公共性を考慮したうえで、その必要性や支援をいただく内容を検討しておりました。また、市と県の担当者の間でも、派遣要請に関わる内容の相談・協議を行っておりました。従いまして、26日の段階で、急きょ、自衛隊の派遣要請を決めたわけではありません。さらに医療機関の水が不足するとの報告を受け、さらに緊急性が高まったと判断し、県を通じて自衛隊による派遣要請を行うことを決定した。派遣要請のタイミングとしては適当であったと、私は思う」

画像2: 静岡・田辺市長「派遣要請のタイミングとしては適当だった」

 また、災害対策本部が開かれたのは、発生から2日後でした。このことについては…。

Q.金曜から土曜にかけての大雨という中で、土曜日は市長ご自身は自宅待機をされた後に市長室で陣頭指揮をとっていたということが伝えられているが、なぜ、この土曜、日曜の間に災害対策本部会議を開くことができなかったのか?

田辺市長:「まず土曜日は朝から危機管理総室中心に市内全域の被害状況の確認をしました。その状況が未曾有の災害。七夕豪雨以来の被害ということで、朝の時点でずいぶん情報収集の指示をしたが、そのことが我々経験が足りなかった、私を含めて経験が足りなかったということも反省をしておりますが、そういう中で、まずは本部収集をして関係職員の間の中で、なんとか土曜日の間は対応できるではないかと、そういう結論に至って、私、土曜日は陣頭指揮をとった」

Q.実際に土曜日の時点で災害対策本部会議を開いていれば、また状況はかわった、あるいはその対応のスピード感というのは変わっていたと思いますか?

田辺市長:「あの時は、もう本当に何十年ぶりの被害でありましたので、また本部会を招集するというのは、またその手続き等々時間がかかる。それよりも情報の収集と当面応急の対応に当たるということの方が大事だと、私は思った」

県からの打診は…田辺市長「私にはなかった」

 一方、県から市に対して、自衛隊の派遣について打診があったと伝えられていることについては…。

Q.24、25日の段階では県から自衛隊を派遣しましょうか、どうしますかという投げかけ打診はあったのか、それとも県からも、そこまでの打診もなく、自衛隊どうしますかね、まだ良いんじゃないですかぐらいの協議だったのか、どういった温度感だったのか?

田辺市長:「私のところにはありませんでした」

 自衛隊の災害派遣要請をめぐっては、田辺市長と川勝知事が良好な関係を築けていないことから遅れたのでは、という指摘もあります。

Q.知事と市長は不仲だから遅れたと、既成事実化して市民の間で語られているわけだが、不仲で影響を与えたかどうかは別にして、いわゆるホットラインですね、知事と市長の間で今そちらどうですか?と、なにか支援必要ですか?と、そういったお互いを気遣い合うような電話、メール、ライン等々なかったということですね?

田辺市長:「なかったということが残念です」

Q.残念ですというのは、知事からなかったのが残念ということですか? それとも市長から自分がそうしなかったのがということでしょうか?

田辺市長:「両方あります」

川勝知事「要請をジリジリ待っていた」

 川勝知事は田辺市長からの要請を待っていたと発言しています。

静岡県 川勝平太知事(9月26日):「残念ながら、今回市町からの要請を待っているということで、要請があり次第、即動くという態勢を整えていた。災害派遣要請をする用意がありながら、市町から上がってこないということで、ジリジリ待っていたのが現実」

Q.要請がないと県として動けなかった?

A.「なかなか勝手にできない」

田辺市長「知事から1本電話を頂きたかった」

 これについて、田辺市長は知事をこう批判しました。

Q.どうして道路一本隔てた100m向かいにいる知事と電話一本しないんでしょうか?

田辺市長:「今振り返って批判をすると言うことを私は避けたいと思いますけれども、ジリジリ待っていたのならば、知事から1本電話を頂きたかったというふうな気持ちがある。月曜日、副知事と話をした後、私から知事に対して電話をし、そして派遣の要請をした。首長間は携帯電話でやりとりをするということが常識。県内の首長、あるいは全国市長会の首長、全部携帯電話で話す。しかし、知事とは携帯電話ができない。知りません私、携帯番号を。かつて(番号を)教えてもらおうと思ったこともあったけども、残念ながら教えてもらえなかった。なので、なかなか知事とこういう緊急時に連絡をすることができないという状況が続いていて、今回の災害に遭遇してしまった。こういう緊急時に、お互いを気遣って電話をし合おうという関係ができておりません」

川勝知事「携帯番号を教えてくれと言われたことは、一度もありません」

 一方、同じ日に定例会見を開いた川勝知事は…。

Q.きょう静岡市の田辺市長が、知事の携帯番号を教えてもらえなくて知らなかったので、連絡できなかったというような発言があった。それを聞いてどう思う?

静岡県 川勝平太知事:「私の携帯電話は防災用の携帯電話ですから、常に持ってるわけですけれども、災害に関しましては市長から県知事ってのはあるんですけれども、組織で対応してますので、市の危機管理、それから県の黒田危機管理監をキャップにした管理体制は出来上がっているから、そこに連絡していただければそれで済むことなわけですね。組織的に事務的にきちっと出来る体制ができているわけです。で、私が聞いたところ市の方が市長さんからオーケーが出ないっていうか、捕まらないので市長さんの決断を待っているところだと。10時半を過ぎると1時間半以上ですね、議会の中で拘束されておりますから、結局、要請が午後になるわけですね。ですから何としても議場に入る前に要請したかったので、ジリジリしながら、督促しながら待っていたわけです。問題があったかなという印象は持っています。市のほうの危機管理のシステムに」

 このように話した川勝知事。当日は担当者を通じて田辺市長からの連絡を待っていたといい、静岡市の危機管理システムの問題も指摘しました。

 また、田辺市長が会見で明かした、連絡先の交換をめぐる発言については…。

Q.知事の携帯の番号を教えてもらえなかったって言うことは?

川勝知事:「(笑)今おしゃった、携帯電話の番号を教えてくれと言われたことは一度もありません。そして、また教えてくれと言われれば、私は拒否する理由はどこにもありません」

画像: 川勝知事「携帯番号を教えてくれと言われたことは、一度もありません」

Q.携帯の電話聞いたけれども、それを教えてもらえなかったってのは、知事はそれはなかったっていうか、事実ではない?

川勝知事:「そうですね。虚言ですね」

Q.今後また田辺市長から携帯の電話番号を教えて欲しいと依頼があったら、それは災害用にお伝えする?

川勝知事:「それはもうきょう欲しいという要請があったらしいということだが、即、市長の携帯電話に私の携帯で登録されるように調整したします」