【リニア】静岡・川勝知事との溝埋まらず…山梨・長崎知事「違和感は最後まで拭いきれない」
ご立腹な様子の山梨県・長崎幸太郎知事。怒りの矛先は、静岡県の川勝平太知事です。JR東海は、山梨県内で静岡県の方向に向かって「ボーリング」を行っています。これはトンネル掘削を前に地質などを調べるもので、現在、静岡県と山梨県の県境から583mの地点まで進んでいます(5月13日時点)。これについて11日、静岡県はJR東海に対し、県境300mの地点より先は、掘り進めないよう文書で求めました。これに不快感を示したのが、山梨県の長崎知事です。
長崎知事「頭越しに言うのは遠慮して」 川勝知事「礼節を欠いた」
山梨県 長崎幸太郎知事(12日):「静岡県の議論には、大変強い違和感を感じている。正直言って。我々としては、山梨県内の活動についていかなる県であっても、我々のことを頭越しに何がしかおっしゃっていただくのは、願わくば遠慮願いたい。山梨県内の問題については、山梨県が責任をもって行う。静岡県内の問題については、静岡県が責任をもっている。これは、言わずと知れた当たり前の話」
「山梨県のことに口出しするな」といわんばかりの長崎知事。これについて、川勝知事は15日…。
静岡県 川勝平太知事:「実は1月31日に出した文書と実質、同じ内容のもので、事務局としては、すでに山梨県の方に何と言うか、よくご存じの内容と即断したところがあったらしいが。もちろん礼節を欠いているとの自覚はある。前もって調整をする時間を十分とれるように、山梨県にこちらの動きをお知らせするようにしたい」
川勝知事は発言撤回の意思なし 「水の戻し方についてJRから返答ない」
「礼節を欠いていた」と反省の言葉を口にした川勝知事ですが、記者からこんなことを問われると…。
Q.今回要請した山梨県内の調査の300m以内は中止してほしいということについて、山梨県は違和感を覚えているということだが、今回の要請について撤回する考えはありますか?
A.「ありません。まず水が出た場合の戻し方について回答するとJR東海は言っている。その回答が出てきていないので。出てきたら、どういう方法かは別にして、JR東海との交渉の中身、協議の中身を山梨県側に丁寧に説明したい」
長崎知事「山梨県内の行政権の主体は誰かが本質的問題」
さらに山梨県に対してこんな提案も…。
静岡県 川勝平太知事:「文章の中身は、(県の)専門家会議で議論していることを踏まえて言っているので、オブザーバーとしても、専門部会でやってる中身を(山梨県の)担当の方がいるどうか知らないが、来てくれれば大変ありがたく存じます」
水問題について議論が続く県の専門部会。川勝知事の“お誘い”に長崎知事の反応は…。
山梨県 長崎幸太郎知事(16日):「専門部会に参加するというのは筋が違っていて、それをなにがしか権限の発動を求める静岡県が、しっかりとしたそのファクトとともに、私どもにお示ししていただくのが出発点であろうと思う」
率直に“お断り”をした形の長崎知事。川勝知事に対する“不満”は収まらないようで…。
山梨県 長崎幸太郎知事:「そもそもですね、山梨県内における民間活動に対して、行使される行政権、その主体は誰かと。ここが一番大きな本質的な問題であると思っている」
「県境の水」はどちらのモノ…議論も
過去に“すれ違った”時には、すぐに仲直りとなった川勝知事と長崎知事。ただ今回は「ボーリング問題」だけでなく、“もう1つの問題”でも両県にピリピリとした緊張感をもたらしています。
発信元は、こちらも川勝知事です。
静岡県 川勝平太知事(4月27日):「水がどちらのものかは、行政上の問題ではないので、我々としては深い関心がある」
4月の会見で「山梨県内にある水も静岡県側で湧き出る可能性がある」として注目を集めた川勝知事の「水に関する発言」。山梨県側の反応はというと…。
山梨県 長崎幸太郎知事(16日):「果たして本来静岡に流れるべき水が山梨県側に流れてきているのだろうかと。仮にそうだったとしても、それがどれぐらいの量なのかというのも、科学的な根拠が必要だと私たちは思っています」
JR社長「静岡県の懸念を解消できるよう丁寧に対応する」
ボーリング問題よりも先に、両県をザワつかせた水に関する議論。これに16日、JR東海側も言及しました。
JR東海 丹羽俊介社長(16日):「県境付近の山の中の水については、山梨県内の地下水なのか、静岡県内の地下水なのか特定するのは難しいと考えているが、静岡県が懸念されているということなので、これを受け止めて県と対話をしているところ。静岡工区については、引き続き大井川の水資源と南アルプスの環境への影響に関する地域の方々も懸念を抱いている。ご懸念を解消できるように、双方向のコミュニケーションを大切にしながら、丁寧に対応してまいりたい。大きな期待を頂いているので、早期開業に向けて全力で頑張る」
水をめぐる山梨県との関係。解決には時間がかかりそうです。
(5月17日放送)