【リニア】静岡・川勝知事がJR新社長と面会「和やかに話せて良かった」 かつての『右腕』が静岡市長に就任 トップ交代でどうなるリニア問題 /今週の静岡
JR東海の丹羽新社長が川勝知事に就任のあいさつに
川勝知事:「ああどうも、ようこそお越しいただきまして、恐縮でございます」
金子会長:「社長の交代のあいさつに参りました」
川勝知事:「どうも、川勝平太でございます」
丹羽社長:「丹羽でございます。どうぞ、よろしくお願い致します」
金子会長:「お願い致します」
川勝知事:「どうぞ」
金子会長:「どうも失礼します」
川勝知事:「どうぞ、おかけください」
丹羽社長:「失礼します」
金子会長:「知事には昨年、山梨県の実験線に乗車して頂き、どうもありがとうございました」
川勝知事:「いい思い出になりまして、本当にありがとうございます」
金子会長:「日頃からいろいろ輸送面、観光面、いろいろお世話になっておりますけれど、また引き続きよろしくお願い致します」
川勝知事:「そうですね。ウィンウィンの関係ですからね。なるべく、国民のまた県民のためになるように協力していきたいと心から思っております。よろしくお願い致します」
2人:「お願い致します」
12日、JR東海の社長に就任した丹羽俊介社長が、金子慎会長とともに、静岡県の川勝平太知事の元を訪れました。
国交省の有識者会議では3つの論点で議論
品川―名古屋間で建設が進む、リニア中央新幹線。しかし、沿線で唯一、静岡県では今も工事は始まっていません。その背景にあるのが、トンネルを掘ることによる大井川の水資源や、南アルプスの環境に対する影響への懸念です。
11日も国交省の有識者会議が開かれ、「環境保全」について議論されました。この会議では、リニア工事に伴う沢の生き物や、標高が高い場所の植物への影響など3つの論点について議論が進められています。
今回、JR東海からは、生き物への影響を分析するための沢ごとの特徴を整理する方法などが示されましたが、委員からは、「希少な生き物に関する言及がない」などの指摘があがりました。
JR東海 宇野護副社長:「これまで私どもが色々積み重ねてきた調査を対応、整理をして出したということ」
森貴志副知事:「県がお願いしていた内容については、何点か取り入れてもらったので、その点については評価したい。一方で、沢の上流部の生物の生息状況の把握や現状の水質とか、今後の議論になっていくのか、次の議論に期待したい」
JR東海の金子前社長も2回直談判するも「認められず」
依然、環境保全に関する議論が続くリニア問題。トップ同士の面会は過去にも大きな注目を集めました。
JR東海 金子慎会長(2020年6月):「今、手をつければギリギリなんとかかなというのが今のタイミング…」
静岡県 川勝平太知事:「これが大井川の水で作られた牧之原台地のお茶で、牧之原の水はみな大井川から得ているんですね。それの農業芸術品です。…どうぞ」
金子慎会長が社長時代、2回に渡って、川勝知事へ直接、工事への理解を求めましたが、いずれも認められませんでした。JR東海は、最初のトップ会談における物別れによって、2027年のリニア開業が難しくなったとしています。
JR東海の丹羽新社長はリニア早期開業に強い意気込み
先週、JR東海の丹羽俊介社長は、就任あいさつの中で、リニアの早期開業に対する強い意気込みを示しました。
JR東海 丹羽俊介社長(6日):「2027年の開業困難な状況になってきている状況だが、できる限り早く開業すべく、全力で取り組んでいきたいと考えている」
丹羽社長「丁寧に誠心誠意、地域の懸念を解消したい」
今回、12日の川勝知事とJR東海の丹羽社長、金子会長との面会は30分間。冒頭のみ公開となり、あとは非公開で行われました。果たして、リニア問題に動きはあったのでしょうか…。面会を終えたJR東海の丹羽社長が、報道陣の取材に答えました。
JR東海 丹羽俊介社長:「リニア中央新幹線について申し上げると、これは地域の方々と丁寧に誠心誠意、双方向のコミュニケーションをとることで懸念を解消していきたい、誠心誠意努めたいと申し上げた。それを踏まえて、南アルプストンネル静岡工区の早期着工にどうかご理解、ご協力を頂きたいという旨も申し上げた。知事からは様々な話題があったが、リニアの件については、これは科学的、工学的な議論が大変重要であると言っていた。私の方からも、まさに言う通りで、科学的、工学的な議論が必要であると認識していると答えている」
川勝知事「議論を科学的、工学的にすると念押しした」
一方、出迎えた側の川勝知事は…
静岡県 川勝平太知事:「静岡工区については、専門部会で議論をして(引き続き対話が必要な)47項目が残っているとなって、それを国の有識者会議で引き受けてもらっている。そこで科学的、工学的な議論をしてもらっている。これが全て。森副知事からも本部長として、この47項目の議論をしっかり科学的、工学的にしていくと念押しした」
Q.現状では、静岡工区の着工について、まだ認める状況にないとの認識を示した?
川勝知事:「ともかく、科学的、工学的にやることが大切だということにおいては合意した。合意したという程ではないが、共通理解であるということがよくわかった」
社長が代わって初めてとなった、トップ同士の顔合わせでしたが、リニア問題に進展はみられなかったようです。ただ、知事からはこんな話も…
川勝知事:「冒頭ですね、丹羽社長の方から『ちょっと自己紹介をさせてほしい』ということで、三ケ日で生まれて、浜松、特に静岡全体に対して、2年間勤務したこともあったので、すごく愛着を持っているということで、非常にいい感じで会話が進んだということを申し添えておきたい」
科学的・工学的に議論することの必要性を共有
川勝知事(13日):「新社長と和やかにですね、直接話したのは非常に良かった。30分、あっという間に経ってしまったなと」
13日の会見で、川勝知事が時折笑顔を浮かべながら振り返った話題が、12日に行われたJR東海・丹羽俊介新社長との面会です。リニア問題に大きな進展はなかったものの、2人の間で、県や大井川流域市町の懸念解消に向け、科学的、工学的に議論していくことの必要性が共有できたといいます。
静岡・難波新市長「利水関係協議会」加盟の意向
一方、かつて川勝知事の右腕としてリニア問題を指揮してきた静岡市の難波市長。就任初日、リニア問題に対する、今の県の姿勢について問われると…。
静岡市 難波喬司市長(13日):「報道されている情報だけを見ると、科学的根拠に基づいたところは少し弱いのではないか、という印象は受けている」
あくまで報道の情報に基づくとしながらも、県の姿勢に対して疑問を呈しました。その上で、県や大井川流域の10の市町、利水団体が組織する「大井川利水関係協議会」に静岡市も加わる考えを明らかにしました。
これに、川勝知事は…
川勝知事:「(大井川利水関係協議会への加入は)もっともなことだなというふうに思っております。私どもも歓迎したいと思いますけれども、(県の姿勢に対して)そういう印象を持たれているということであれば、なるべくその印象が払しょくされるように、なるべく早く利水関係協議会などの公式の場で、ご自身の考え方を正規に発表される場がなるべく早く来ればいいと思っている」
リニア問題解決に必要不可欠な“元上司”である川勝知事との“連携”について難波市長は…。
静岡市 難波喬司市長(13日):「県がやっていることというのは市にとっても非常に重要な関係があるわけで、それついて、いい関係で仕事していく必要があると思っている。これは知事と市長の問題じゃなくて県政と市政がいかに連携をしていくかということが大事だと思います」
県とJR東海、そして静岡市の「トップ」によってリニア問題は今後どうなっていくのでしょうか。