海外に販路求めて…アジア圏から欧米にも広がる「お茶」の需要 各国ごとに異なる“輸入基準”に対応し 静岡・掛川市

 静岡が誇る名産品と言えば「お茶」。13日には、過去最も早く新茶の初取引が静岡市で行われました。早く流通させることで新茶市場の機運を高めるためです。こちらは掛川市にある創業102年の老舗お茶問屋、佐々木製茶。

静岡県内の茶の産出額はピーク時の3分の1以下に

画像1: 静岡県内の茶の産出額はピーク時の3分の1以下に

掛川中央茶業 佐々木優さん
Q.こちらはどのくらいの広さになる?
A.「私どもの主要茶園で、15haくらいの面積になる」
Q.ここで栽培されているのは?
A.「掛川の深蒸し茶。特徴としては濃い緑色の甘いお茶を作っている」

 およそ120ヘクタールの広大な茶畑を持ち、生産から販売までを手掛けています。静岡県が全国に誇る「お茶」ですが、今、厳しい状況に直面しています。

画像2: 静岡県内の茶の産出額はピーク時の3分の1以下に

佐々木製茶 佐々木余志彦社長:「生産者が高齢化して、同業従事者が減っていることもあって、サプライチェーンをどう守っていくかというところが、私たち商売人にとっての最大の課題になっている」

 お茶を飲む機会が減っていることや、茶農家の高齢化による生産量の減少もあり、静岡県内の茶の産出額は1992年の862億円をピークに低迷。2021年は268億円とピーク時に比べ3分の1以下に減少しています。

画像3: 静岡県内の茶の産出額はピーク時の3分の1以下に

目を向けたのは「海外」 アジア圏から欧米にも広がる需要

 そうしたなかで、こちらの製茶問屋では、静岡県の名産品である「お茶」を守るために、“ある取り組み”に力を入れています。

佐々木製茶 佐々木余志彦社長:「日本の人口は、これから減少していくので、当然人口の増えているところ(海外)に打って出なければいけないと。緑茶のマーケットは、世界的に見ればすごく強い広がりを見せている。だからこういうムーブメントに日本茶も乗っていかないといけない」

画像: 目を向けたのは「海外」 アジア圏から欧米にも広がる需要

 10年ほど前から始めたという茶の輸出。静岡茶や掛川茶などの茶葉を始め、抹茶などを海外に出しています。茶の輸出先としてメインターゲットとなるのはタイ・マレーシアなどのアジア圏。ただ、近年は日本ブームによって日本茶が注目されたこともあり、イギリス・やドイツなどのヨーロッパ圏やアメリカにも幅を広げました。

佐々木製茶 佐々木余志彦社長:「日本全体で見ると2016年から2022年までの6年間で、(輸出量は)4000tが6000tになって、100億200億を超える金額になっている。弊社の方でも大変増えていて、特に昨年はおととしに比べて190%の伸びになった」

 「お茶の輸出」については国も動き出しています。政府は去年219億円だった緑茶の輸出金額を2025年までに312億円に引き上げることを目標としています。ただ、お茶の輸出にはまだまだ課題もあるようです。

各国で異なる「規制」

画像: 各国で異なる「規制」

佐々木製茶 佐々木余志彦社長:「欧米では有機栽培が中心になる。東南アジアにしても、各国によって輸入農産物に対する規制があるので、それに合わせた栽培をしていかないといけない」

 輸出先の国によって変わる“輸入基準”この厳しい基準に柔軟に対応していくことが今、茶業界には求められています。特に基準が厳しいヨーロッパに対しては、一部の茶園で有機栽培にも取り組んでいるといいます。

 静岡が誇る「お茶」。この需要をどのようにして増やしていくのか。県内の茶業界の挑戦が始まります。