【原油高の現場】 高級フルーツ・クラウンメロン 「経費の半分以上が燃料…多い人は月数百万円かかる」 静岡・袋井市
静岡県温室農業協同組合クラウンメロン支所 中條文義支所長
「メロンは1本の木に1つしかならせないので、なかなか手間のかかる作物です」
こう話すのは、メロン農家で県温室農業協同組合クラウンメロン支所長の中條文義さん。こちらは組合で作られているメロン。生育に必要不可欠な日光をたっぷりと浴びるため、温室はガラスで作られています。
県温室農業協同組合クラウンメロン支所 中條文義支所長
「(メロンは)周年栽培ということで、年間ずっと収穫しますので、7カ月くらい暖房を使って加温をして育てるというところです」
冬場でも室温を20度から30度に保たなければならないため、暖房を使います。燃料は重油です。
県温室農業協同組合クラウンメロン支所 中條文義支所長
「こちらが冬の暖房するためのボイラー。うちは水をボイラーで沸かしてお湯にしてそのお湯をいろんな部屋に回すという温湯暖房を使っています。効率はすごく悪いんですけど、温湯の暖房によってメロンの品質は相当変わります」
温風を当てると乾燥の原因になってしまうため、燃料費がかさんでも、お湯を使って空気を温め、室温を保っています。
静岡県中遠農林事務所によると、県内の先月の1リットル当たりの重油の価格は86.5円と去年の同じ月と比べて29円高くなったということです。
県温室農業協同組合クラウンメロン支所 中條文義支所長
「どうにかやっていけるかなというのは、1リッター70円前後。経費の半分以上は燃料だから、多い人では月に燃料費だけで数百万かかってしまうので、農作物自体は販売価格に経費を転嫁することができないから、経費だけ上がってしまって農家は一番苦しいところ」
組合には6棟の温室があり、去年と比べ、1カ月の燃料費はプラス30万円ほど。少しでも燃料費を抑えるため、熱を逃がさないようビニールシートで覆うなど、工夫もしています。先の見えない値上がりに、農家からは不安の声も出ていると言います。
県温室農業協同組合クラウンメロン支所 中條文義支所長
「燃料費が高いと、今は種をまくことをやめたり、もっというと組合員自体も平均年齢61歳くらいで高齢化していますので、こんなに燃料上がるようじゃあ、ちょっとメロン作るのやめるかみたいなことも聞きますので、そこが一番組合とすると寂しいところ。早く燃料費が下がってくれないかという期待をするしかない」