【リニア】開業は静岡県民にもメリット? 静岡工区の着工が進まない中、大井川流域の島田市・染谷市長に単独インタビュー 岸田総理の発言をどう見る?局面を打開するための提案も…

JR東海 金子慎 社長(18日):
「リニアの開業によって東海道線新幹線のダイヤを使ってどういうメリットがあるのかを示したいと思っている。それでそれに資するような形の成果が期待をされるので」

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静岡工区着工できない中の岸田首相の発言。あの人が黙っているわけない。

JR東海の金子慎社長が18日の会見で言及したのは、岸田総理のこの発言です。

岸田文雄 総理大臣(4日):
「リニア中央新幹線は、重要な基幹インフラだと思っている。本年はリニア中央新幹線の全線開業に向け、大きな一歩を踏み出す年にしたい。また、リニア開業後の東海道新幹線における静岡県内の駅等の停車頻度の増加について、今年夏をめどに一定の取りまとめを行い、関係者に丁寧な説明を行っていきたい」

 2027年の品川‐名古屋間のリニア開業を目指しているJR東海。

 しかし、静岡工区が着工出来ていないことから、目標達成は厳しい状況です。

 そんな中、岸田総理は開業後、県内の駅に停車する東海道新幹線の本数をどのぐらい増やせるのか、今年夏までに取りまとめる考えを示したのです。

 この方針に黙っていられなかったのが、この人です。

画像: 静岡工区着工できない中の岸田首相の発言。あの人が黙っているわけない。

「私は慨嘆しています。反省しなさい」

川勝知事(5日):
「リニアが全部開通しないと分からない。ほとんど机上の空論ですよ。今頃それを言って静岡県民に喜ばせようと、そのレベルの低さ。いかにレベルの低い議論を大臣や、まして総理まで。私は慨嘆しています。反省しなさい」

 何をいまさらと言わんばかりの川勝知事。

 さらに…。

川勝知事(5日):
「リニアが開通すれば、のぞみ機能がリニアに移りますからね。どんな一歩ですか。全部開通したらダイヤが変わりますからね。そして、のぞみとこだまが多くなるというのは言われていなくても常識」

画像: 「私は慨嘆しています。反省しなさい」

JR東海は静岡県にもメリットがあると強調

一方、JR東海側はリニア開業で静岡県にもメリットがあると強調します。

JR東海 金子慎 社長(18日):
「リニアが開業実現すると全体としての輸送量は増える。ダイヤに余裕ができるので、ひかりの増停車など、静岡県にメリットのある施策が実現できる。輸送量の調査を行うことで、輸送量について具体的なデータが得られることになると思うので、それを活用してさらに検討を深めることができる」

 国による調査に期待を寄せる金子社長ですが、ダイヤを決めるのはJR東海です。

 記者から次のように問われると…。

QなぜJR東海は自ら試算をしないのか、なぜ国に任せる?それに問題はないのかということについて教えてください。

JR東海 金子慎 社長(18日):
「リニアが開業すればこういう可能性が開けるのではないかと申し上げている。国交省の発意で今回こういうことを進められていること。私どもどういう形でこのダイヤの形をお示しができるのか、私どもは私どもなりで、またあの適切なタイミングにというふうに考えておりました。何かを委ねるとか任せるとか、そういうことではございません」

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流域市町のトップは今、何を思う?

なかなか進展しないリニア問題。大井川流域自治体のトップはどう思っているのでしょうか。

 静岡朝日テレビは島田市の染谷絹代市長に単独インタビューしました。

島田市 染谷絹代 市長(18日):
「行き詰まってるなという感じがする。解決の策があるのにもかかわらず、その話し合いに入れていないんじゃないかなというような行き詰まり感です。不確実性のリスク、それを少しでも小さくするために、もっと具体的な話し合いができるはず。ここはちょっとじれったいというか、時間がもったいないなという気がしている」

画像: 流域市町のトップは今、何を思う?

県が認めない「ボーリング」については?

現在、南アルプスのトンネル工事は山梨県側から静岡県に向かって掘り進めていて、県境のおよそ1キロ近くまで来ています。

 JR東海は地下水の状況を知るための「調査」として、ボーリングをさせてほしいと県に要望。

 県は、この「調査」が「工事」であるとして、認められないとしていますが、染谷市長は県の姿勢に疑問を投げかけます。

島田市 染谷絹代 市長(18日):
「調査としてやってみたほうがいい。正確な情報が取れる。そうすると、どの時点で水が出るのか、出ないのか、土質がどうなのか、圧力はどの程度かかっているのか、そんなことも調べてみれば分かること高速先進長尺ボーリングのその役割は、水抜きだと知事はおっしゃいます。それは工事によっては水抜きのためにやる場合もあるでしょう。でも地質の調査であったり、それから工事をより安全に行うための事前の調査であったりするわけで、その役割というのは、それぞれその事例ごとというか、場面ごとに違うと思う」

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岸田総理の発言については?

岸田総理が静岡県にリニア開業の「恩恵」を与えるかのような発言には…。

島田市 染谷絹代 市長(18日):
「岸田総理自らがああいう言葉をしたというのは、まさにこれから政府として、官邸として関わっていくということを明言されたと思っている。私は歓迎したい。新幹線のひかりが1時間に2本とか3本と止まれば、静岡はずいぶん変わるはず。リニアの水はとても大事なことです。でもそれがしっかり守れるというのであれば、プラス地域振興ということも考えていいのではないか」

Q.見方を変えると、例えば、停車駅を増やすというようなことを代わりに、工事をしたいというような、そういう見方もできると思うが?

島田市 染谷絹代 市長(18日):
「それは交換条件では全くありません。交換条件ではない。私たち水を守るために、何かと引き換えにしようなんて全く思っていません」

画像: 岸田総理の発言については?

局面打開に提案も…JR東海社長交代については?

国の有識者会議などでも意見を述べてきた染谷市長は局面を打開するためにこう提案します。

島田市 染谷絹代 市長(18日):
「一堂に会した意見交換会が必要かなと今思っている。(国の)有識者会議でこう言われて、あ、そうなんだって思ったことが(県の)専門部会に行くと違うって言われたらですね。私たち素人は戸惑うばかりです。流域が考えていること、そして不安に思っていることを直接ぶつけて、その中で意見の対立があるなら、どっちが本当ですか?と言うことを直接聞いてみたい」

 JR東海は、4月1日付けで金子社長が退任し、丹羽俊介副社長が社長に昇格する人事を発表しました。

 染谷市長はこれが議論を進めるチャンスだと歓迎しています。

島田市 染谷絹代 市長(18日):
「社長が交代するっていうのは大きな転換点になるチャンス。ぜひそのチャンスを生かして流域にとって分かりやすい誠実な説明の仕方を心がけていただいて、しなやかに私たちと向き合っていただけることを心から期待しています」

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