【リニア】静岡・川勝知事「岸田総理に書簡したためる」 総理の「開通後のひかりとこだまの増便調査」発言に「逆提案」へ /今週の静岡
岸田総理「リニア開業後の静岡県内の停車頻度の増加について、今年夏をめどに取りまとめたい」
静岡市の田辺市長が今週火曜の定例会見で言及したのが、4日に岸田総理が発言した「リニア開業後の東海道新幹線の増便」について。その岸田総理の発言というのが…
岸田文雄総理大臣(4日):「本年はリニア中央新幹線の全線開業に向け、大きな一歩を踏み出す年にしたい。その中で静岡工区に関しては水資源と環境保全について、地元自治体との調整あるいは国交省の有識者会議での議論をさらに進める。また、リニア開業後の東海道新幹線における静岡県内の駅等の停車頻度の増加について、今年夏をめどに一定の取りまとめを行い、関係者に丁寧な説明を行っていきたい」
静岡県が県内でのトンネル工事着工を認めていないことで、2027年の品川-名古屋間の開業が絶望的になっているリニア新幹線。岸田総理は、開業後に静岡県内の駅に停車する東海道新幹線の本数をどのぐらい増やせるのか、今年の夏までに取りまとめる考えを明らかにしました。この方針に、静岡市の田辺市長が歓迎の意思を示す一方で、怒りをあらわにしたのが川勝知事です。
静岡県 川勝平太知事(5日):「今頃それを言って静岡県民を喜ばせようというレベルの低さ。これはどなたでしょうか。(国交省の)鉄道局長なのか、鉄道局長を務めた担当審議官なのか、この担当がいかにレベルの低い議論を、大臣や、ましてや総理まで、私は慨嘆しています。反省しなさい。あなた方はこれを事業主体として任命した方でしょう」
川勝知事「リニアが1時間何本になるか分からないと、ひかりとこだまの回数も分からない」
そして、政府の方針について、「机上の空論」と切り捨てました。
静岡県 川勝平太知事(5日):「全部開通したらダイヤが変わりますからね。そして、ひかりとこだまが多くなるというのは、言われていなくても常識です。リニアのサービスが1時間何本になるのかというようなことが分からないと、ひかりとこだまの本数がどれくらいになるのか分からない」
関係者によると、リニア開業後の東海道新幹線のダイヤについては不確定要素が多く、仮定をもとにしないと出すことができないといいます。こうした背景もあって、JR東海はこれまで一貫して、静岡県内での“増便”の“試算”を明らかにしていません。
静岡市長は国の方針を歓迎「神奈川や愛知・岐阜からも期待される」
今回の国の方針を「歓迎したい」とした静岡市の田辺市長からは、知事にけん制が。
静岡市 田辺信宏市長(10日):「本当にもう早く、早くやらなければいけない。やっぱりこれは静岡県のみならず、国策でありますし、神奈川県や愛知県や岐阜県からも期待されることです。一つの合意点を見いだすことをしていくのは、本当に喫緊の課題だろうと私は思っています。そろそろ議論は出尽くしたんだろうと思っています。環境の問題と経済の問題をどう両立していくか。どう合意形成していくかというのが、政治の一番大事な役割です。その期待が流域の首長にもあります」
川勝知事「岸田総理に書簡をしたためる」
11日、川勝知事は会見で新たな考えを表明しました。
静岡県 川勝平太知事(11日):「2027年から向こう10年間は東京-名古屋間だけでリニアを営業したいというのが、金子社長が一貫して執拗に言い続けていることであります。したがって、仮に2027年に開業したとして、そのときにどのぐらい今ののぞみからリニアに乗り換える人が増えるかを、まずシミュレーションする必要がある。大阪まで2037年を目指している開業で、その時にのぞみがリニアにどれぐらい移るかと。この2つは別にしてシミュレーションする必要がある」
リニア開業による静岡県へのメリットを打ち出そうとする岸田総理の方針に、“逆提案”する考えを明らかにしたのです。
静岡県 川勝平太知事(11日):「今後、岸田総理に対して、こうした内容を質問するために書簡をしたためる。そして、国が責任を持っていただけるように要請したいと思っている」
そして、知事の姿勢に対して「議論は出尽くした」とした田辺市長に対しては―
静岡県 川勝平太知事(11日):「…まあ、特段コメントはありません」
その上で、新幹線の停車回数を試算する考えについて、改めて賛否を問われると。
静岡県 川勝平太知事(11日):
Q.知事は調査をすること自体については今、どのように考えていらっしゃるのか
A.「岸田さんが自ら、しかも伊勢神宮の、いわば神様の前でしっかりコミットしたいとおっしゃったわけですね。誠にありがたいことで、なかなかに予想が厳しいようなものを出すとおっしゃっているわけですから、(国交省の)審議官と鉄道局長は責任を持って斉藤国交大臣並びに岸田総理に恥をかかせぬように支えてくださいと、あえて強く申し上げておく。それができない場合にはそれなりの責任を取りなさいということも併せて申し上げたい」