「暑くて授業に集中できない」…課題は特別教室へのエアコン設置 全国平均61%、設置率わずか19%の静岡市の中学校を取材
美術室の温度は31℃ 生徒「授業に集中できない」
栗田麻理アナウンサー:「静岡市にあるこちらの学校では、普通教室にはエアコンがあるそうなんですが、特別教室にはエアコンがないということなんです、その一つがこちら美術室です、窓は全開で
すし、そして扇風機も4台ほどあるんですが、それでもこの教室に入った瞬間汗をドバっとかいて暑いです、室内の気温は31℃となっています」
静岡市駿河区の市立東豊田中学校。こちらの学校では、2年前に普通教室にエアコンが設置されましたが、美術室や理科室などの“特別教室”にはエアコンがありません。現状、扇風機を複数台稼働させているだけです。取材した15日金曜は、エアコンのある普通教室では設定温度を27.5℃にして、数学の授業が行われていました。一方で、エアコンのない美術室では、暑さに耐えながら、卒業制作の時計をつくる生徒たちの姿がありました。
3年生:「とても暑かった、細胞がとけるぐらい暑かった今回の夏。暑さが勝っちゃって、授業に集中できなくて、たまに他のこと考えたりすることがある」
3年生:「(暑くて)すごくつらいですけど理科室は、実験したり温度を測ったするので仕方がない部分もあると思う」
3年生
Q.エアコンのある普通教室からエアコンのない教室に移動する時はどう思う?
A.「嫌だなと思う。暑くて授業に集中できなくなっちゃう子も周りにいて、エアコンある教室で授業したいと思う」
汗の止まらない美術室。生徒たちにとっては修行のような“50分”です。
美術の先生「90分超えたあたりから体調不良者が出てくる」
ところが、この部屋には1日中その思いをしている人がいました。そう、美術の先生です。
静岡市立東豊田中学校 渥美淳美術教諭:「暑い、例年なら「暑い」という言葉で済むと思うが、今年は特別暑い」
美術の渥美先生が特に心配しているのが部活動の時間です。
静岡市立東豊田中学校 渥美淳美術教諭:「(部活は)部屋にいる時間が1時間は軽くこえてくる、場合によっては2時間を超えることがある。そうすると90分を超えたあたりから体調不良者が出てくるのでそれは気を付けている」
Q.常に生徒の顔を見ながら授業をしている?
A.「そうですね、それは命にかかわる事なので気をつけている。」
また、気温が高いことでこんな不便も…。
静岡市立東豊田中学校 渥美淳美術教諭:「この辺が(汗で)ペタペタついちゃって、筆も動かしにくい。あと、きょうなんかそうだが、ホコリが出る作業の時に、窓を開けると粉が飛ぶので、色々なところで不便さを感じる」
全国平均61.4%。静岡県の平均36.8%
9月に入っても連日続く厳しい暑さ。近年はこうした事態が毎年のように続いています。小中学校の特別教室のエアコンなどの設置率は全国平均で61.4%。ところが、静岡県の平均は36.8%。全国で5番目の低さとなっているのです。
県内を見てみると、トップは吉田町の100%。焼津市では90.8%となっています。一方で、静岡市は県内でも設置率が低く、わずか19.3%です。県内の中でも子どもの数や学校の数も多い静岡市。なぜエアコンをめぐってはこのような実態になっているのでしょうか。
静岡市「3年後までに設置完了したい」
静岡市教育委員会 小林栄城さん:「静岡市の現状として市内に小学校、中学校、非常にたくさんある。学校施設の整備には多くの予算を必要とする。整備していくのが予算ばかりではないが、(学校の)数が非常に多いのも設置率が伸びなかった理由の一つかと思う」
今では世界中で喫緊の課題となっている暑さ対策。こうした状況に静岡市でも動きがありました。
静岡市 難波喬司市長(8月31日):「気温が上昇して、小中学校の特別教室にエアコンが入っていないものですから、命に関わる問題でもあろうということで、急きょ、これは予算を計上することにいたしました」
8月の定例会見で静岡市の難波市長が言及したのが、特別教室へのエアコン設置についてです。きっかけは、7月に市内の教育現場を視察したことでした。
静岡市 難波喬司市長(8月31日):「音楽教室に行って、自分も体験しましたけれど、これはとても授業にはならないなという状況ですね。熱中症の対策、あるいはしっかりとした授業ができるためにも、授業を受けられるようにするためにも、これは今やらないといけない事業だと思っております」
13日水曜に開会した市議会9月定例会。市内の小中学校のエアコン設置事業として、1億3400万円の予算が審議される予定です。静岡市では予算が通れば、来年度から工事に順次着手していき、3年後、2026年の夏までには設置を完了させたいとしています。