【リニア新幹線】国の専門部会が報告書を提出~国土交通大臣が報告書をJR東海に伝達
リニア新幹線工事に関連し南アルプスの環境保全を求めた国の有識者会議の報告書が国土交通大臣からJR東海社長に手渡されました。社長は双方向のコミュニケーションを強調しました。6日の動きから降り返ります。
リニア有識者会議 中村太士座長 6日:
「今回報告書ができたので、大臣にお渡ししたいと思います。よろしくお願いします。」
6日国交省を訪れたのは、リニア新幹線のトンネル工事をめぐり、生態系への影響を議論してきた国の有識者会議の中村太士座長。
斉藤鉄夫国交大臣に報告書を手渡しました。
国土交通省 斉藤鉄夫大臣:
「この報告書に沿って必要な対策をとるように私からJR東海に求めたいと思っている」
膠着状態が続いた静岡県とJR東海の間に割って入ったのが国の有識者会議。
大井川の水が減る恐れがある、いわゆる「水問題」については、おととし「適切な対策を講じれば中下流域の水量への影響は抑えられる」とする中間報告を発表。
一方、南アルプスの生態系については計14回の議論を重ね11月7日に一区切り。
6日国交大臣に「トンネル掘削に伴う環境への影響を最小化するためにはボーリングなどのデータに基づき事前の薬液注入を行うことが重要」などとする報告書を提出しました。
一方で、この報告書に川勝知事はというと・・・。
川勝知事:
「報告書は、生態系に及ぼす影響の予測・評価や、回避・低減のための具体的な保全措置が十分示されていない。(県の意見が)十分に反映されずに報告書がまとめられたことは極めて遺憾である」
報告書は内容が不十分と指摘。
改めてきょう川勝知事を直撃すると…。
Q.リニアの環境保全の報告書は見ましたか?
「・・・・・」
Q報告書に県の意見が反映されていると考えていますか?
「・・・・・」
川勝知事の思いは、報告書に盛り込まれず・・・。
改めて県の専門部会での議論を再開すると強気の姿勢をコメントで表明しました。
これに有識者会議の座長がチクリ。
リニア有識者会議 中村太士座長:
「今後議論すべき論点が残されているとは認識していない。我々が論点整理しても県の専門部会で、チェックされて、ほとんど課題があるとしかされなくて…。専門部会でやっても3年も5年もかかる」
静岡市難波市長は報告書に対して
県側がコメントで苦言を呈した一方で、静岡市の難波市長は、8日。
国の有識者会議による報告書の内容に、理解を示しました。
静岡市 難波喬司市長:
「日本で最高レベルの有識者の方々が集まって、一年半近くかけてまとめられた。中身を読みましたけれども、非常にレベルの高い検討がされているので、自然環境の問題についてはですね、かなりのことがわかったなと思っております。
これからどうするかということですけれども、やはり南アルプスのリニアの通る場所というのは、市の区域の中にあるわけですから、そこの自然環境の問題というのは静岡市政として、しっかり取り組んでいかなきゃいけない問題ですので、これから報告書をしっかり読み込んで、不十分な点はJR東海に伝えて、改善していただくと、こんなことになると思います」
報告書は斉藤国交大臣からJR東海社長へ伝達
8日午後4時、国交省を訪れたJR東海の丹羽俊介社長に斉藤国交大臣は有識者会議の報告書に基づく対応を要請しました。
斉藤国交大臣 午後4時ごろ
「環境保全の意識を社内全体で共有し、報告書を踏まえた環境保全措置やモニタリング等の対策に全力で取り組むこと。
地域の関係者との双方向のコミュニケーションを十分に図ること。
南アルプスの環境保全のための様々な取り組みに積極的に貢献し見える形で示すこと。
この3点に留意しながら対策をとっていただきたいと思います。どうかよろしくお願い致します。」
JR東海丹羽社長
「ありがとうございます。報告書で整理していただいた内容を踏まえて環境保全に関する課題の解決に向け静岡県、静岡市等の関係の方々と双方向のコミュニケーションを図りつつ環境保全措置、モニタリング等に全力で取り組んで参りたいと思います」
伝達後JR東海丹羽社長は
面会を終え、丹羽社長は。
JR東海 丹羽俊介社長
「大変多くの有益な助言を頂戴してそのおかげで環境保全のために今後取り組んでいく内容について大変充実したものにすることができたと考えている。」