【リニア新幹線】県境300m以内のボーリング問題について静岡県の川勝知事は

リニア新幹線工事を巡り山梨県側で進むボーリング調査について静岡県が「待った」をかけている問題で、川勝知事は29日の会見で懸念がなくなる対処法をJR東海に求めているだけと繰り返し述べました。

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【リニア新幹線】県境300m以内のボーリング問題について静岡県の川勝知事は

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川勝知事 県庁 午後2時ごろ:
「反対しているわけではない。先進杭の60%の水が出るというように書いている。なのでそれをどういうふうに対処するのかということについて、お答えくださいということ」

 川勝知事がこう話すのは、JR東海が南アルプスで行っているボーリングについてです。

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 現在、山梨県内では静岡県方面に向かってリニアのトンネル掘削を前に「ボーリング」が行われていて、20日時点で県境から459mまで進んでいます。

 この「ボーリング」をめぐっては、静岡県がJR東海に対し県境から300m地点より先は掘り進めないよう求めています。

川勝知事 15日:
「先進ボーリングで掘っていくと、これは水抜き工事を兼ねているので、突発湧水もあり得る」

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山梨県知事は

 ただ、これに怒りをあらわにしたのが、山梨県の長崎幸太郎知事でした。

画像1: 山梨県知事は

山梨県 長崎幸太郎知事 山梨県庁 12日:
「静岡県の議論には、大変強い違和感を感じている。山梨県内の活動についていかなる県であっても、我々のことを頭越しになにがしかおっしゃっていただくのは、願わくば遠慮願いたい」

 そうした中、先日、都内で顔を合わせた川勝知事と長崎知事は…。

川勝知事 都内 24日:
「静岡県が山梨県の行政権に干渉しているかのごとき印象を持たれたこと。大変遺憾に思っていて。常にコミュニケーションをしあうことを確認したことで、今後もうコミュニケーション不足みたいなことは起こらないと期待している」

画像2: 山梨県知事は

 ボーリングをめぐる静岡と山梨の“すれ違い”は1つの節目を迎えたものの…今度は静岡市から驚きの発言が飛び出しました。

静岡市長は

画像1: 静岡市長は

静岡市 難波喬司市長 静岡市役所 24日:
「工学をやってきたものの個人的見解として、県境までボーリングは掘っていいと思っている。副知事時代から一貫してそう思っている。300m前で止めるという議論については、私は賛同していない」

 長年、川勝知事を支え、リニア問題を担当してきた静岡市の難波市長が、「個人的な見解」と前置きした上で、県と真逆の見解を口にしました。

静岡市 難波喬司市長 静岡市役所 24日:
「ボーリング坑ってこんなもんだと思う。このくらいの口径のものが300m先にある時に、風呂の水の底を抜いた時に、300m先まで水を引っ張ることは考えられない。従って私は、このくらいのものであれば、ここまで掘っても何の問題もないというのが私の考えです」

 JR東海によるとリニアが通る本体トンネルには幅14mの穴が開きます。

 いっぽうで、現在行われているボーリングでは最大で幅35㎝の穴が開き、難波市長はこの「穴の大きさの違い」を根拠にボーリングはしてもいいと話したのです。

 元部下でもある静岡市の難波市長の発言に29日、定例会見を開いた川勝知事は…。

川勝知事 県庁 午後2時すぎ:
「難波市長が副知事・理事だった時に、いわゆる破砕帯、水が滞留している所、これが山梨県と本県と渡り合っていると、従って水が引っ張られる可能性が高いということで、その図示を含めて難波理事から宇野副社長に手紙を出している。それは今年になって森副知事が出したものと全く一緒。だから水が引っ張られるということは、難波市長もよくご存じだと思う」

画像2: 静岡市長は

 さらに川勝知事は、リニアに関わるJR東海の役員が書いたとされる共同論文を引き合いに出し
県の正当性を主張します。

川勝知事 県庁 午後2時すぎ:
「切羽前方の高圧大量の湧水を事前にできるだけ抜いていくことが目的だと、先進ボーリングは。
それから(ボーリングの)穴が12cmだから小さいと思われているが、この論文では口径が12cmあまりと大きいこと。掘進速度が速い?早い?ため切羽前方の地下水を長時間排除できることから、従来のボーリング工法以上に水抜き効果を発揮するという説明がある。水圧がもたらす水の量は大丈夫だろうというのとは違って、調査と水抜きの2つがあるから、これさえ安心してこういうふうにしますというということであれば別に反対するつもりはない」

 自らの“主張”の根拠を明らかにした川勝知事。

 今後、ボーリングをめぐる県と静岡市の考え方にも注目が集まりそうです。

画像3: 静岡市長は