東日本大震災から12年 災害時に救助・輸送の大動脈となるべき「緊急輸送ルート」の現状
東日本大震災から11日で12年です。静岡県は1月、災害時に救助の大動脈となる「緊急輸送ルート」について驚きの診断結果を公表しました。
2011年3月11日。
最大震度7を記録した東日本大震災では津波や建物の倒壊によって死者・行方不明者は合わせて1万8400人あまりにのぼりました。
県内を含む太平洋沿岸では、マグニチュード9クラス・最大震度7の揺れと甚大な津波被害が 予想される南海トラフ巨大地震が、今後30年以内に7割から8割の確率で起こるとされています。
そんな大規模災害時に救助の要となる道路、「緊急輸送ルート」を県は4年前に指定しました。
国道や県道など県内のおよそ700キロにわたる道路を指定。
救助や物資を運搬する際の大動脈となります。
県は東日本大震災などを受け、改正された耐震改修促進法に基づき、この道路沿いにある1981年以前の建物ついて耐震性を診断し、1月公表しました。
結果は建物401棟のうち337棟で「耐震性なし」。
震度6強から7の地震発生時に8割以上の建物が倒壊し、緊急輸送ルートをふさぐ可能性があるという結果になりました。
「耐震性なし」と判断された建物のうち6割以上を占めた伊豆半島の現場は。
「耐震性なし」が最も多い伊豆市は
白鳥衛記者:
「伊豆市の湯ヶ島です。私の横を通っているのが国道414号です。こちらの道路は緊急輸送ルートに指定されていますが、周りを見てみますと建物との距離や道幅が狭く感じます」
伊豆市湯ヶ島。
温泉や古い街並みが特徴で、伊豆半島の観光の玄関口となっています。
「耐震性なし」と判断された建物の6割以上を占める伊豆半島の中で最も多いのが伊豆市でした。
その要因とは。
伊豆市建設部都市計画課 西ヶ谷翔太主事:
「指定されている道路の幅が狭いことや、昭和56年以前の旧耐震のものが対象になりますので古い家が多いのが要因」
市などによりますと、地域の高齢化や建物の後継ぎがいないことで耐震化が進んでいないということです。
実際に「耐震性なし」と判断された住民は。
伊豆市民70代:
「私もあと何年住めるか分からないが、頑張っても10年前後だと思うので、それほど経済的余裕もそんなに無いので、なんとか現状維持が精一杯」
一定規模以上の建物の耐震診断は所有者に法律で義務付けられていますが、耐震工事については現状、努力義務となっています。
また、ほとんどの市町で工事費用の補助があるため、県と市は今後補助制度の周知を徹底し、耐震化を進める方針です。
伊豆市建設部都市計画課 西ヶ谷翔太主事
「これまで県と協力しながら広報を通じて耐震化を進めていましたが、更なる広報を進めて、実際に個別訪問等行って補助金等もありますので、制度の説明をして耐震化へ住民の方へも意識を向けていければと思う」
耐震化へ向けて行政と住民双方の理解が必要になりそうです。