7月は「パン」と「小麦」が値上げ…消費者がついていけない「値上げ疲れ」も

食品を中心とした値上げラッシュで店側はあの手この手と対応を苦慮しています。一方、買い物客からはため息も聞こえてきます。現場を取材しました。

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7月は「パン」と「小麦」が値上げ…消費者がついていけない「値上げ疲れ」も

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買い物客(静岡市民40代):
「(パンは)毎日食べるものになるので、そのあたり(の価格)が上がってしまうのは、ちょっとつらい。もう、気持ちは下がっていく一方」

 まだまだ続く、食品を中心とした値上げラッシュ。

 帝国データバンクによりますと、7月の飲食料品の値上げは3566品目に上り、去年7月の1.5倍の品目が値上げとなっています。

 特に、今回の値上げで目立つのが「パン」や「小麦粉」です。

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 日清製粉ウェルナは小麦粉などを2%~7%値上げ、山崎製パンは食パンや菓子パンの出荷価格を平均7%値上げしていて、7月はパンだけで1500品目を超える商品が値上げとなっています。

 

そして、小麦粉の値上げは業務用にまで波及しています。

画像1: そして、小麦粉の値上げは業務用にまで波及しています。

 

店員:
「平日数量限定のランチボックス ご用意しておりま~す」

画像2: そして、小麦粉の値上げは業務用にまで波及しています。

 おととし9月に、新静岡セノバ地下1階にオープンしたパン店
「ブールアンジュ(BOUL’ANGE)」。

 クロワッサンをはじめ、ミルククリームパン、クイニーアマンなど、常時100種類ほどのパンを販売しています。

ブールアンジュ マネージャー 小関亮太さん:
「今の在庫にもよりますが、とりあえず秋ぐらいまでは今の(仕入れ)価格でいけるかなと思っている。9割くらいは今国産の小麦を使用しているので、まだ価格の影響は受けづらいとは思う」

 日清製粉は政府による輸入小麦の価格引き上げに加え、燃料費や物流コストなどが上昇していることから、業務用小麦粉の値上げにも踏み切りました。

 値上げ額は、パンなどに使われる強力系小麦粉が25キロ当たり235円。

 国産小麦100%の小麦粉も30円の値上げ。

 業務用小麦粉の値上げは去年6月以来です。

ブールアンジュ マネージャー 小関亮太さん:
「秋以降は少なからず(小麦の仕入れ価格が)上がってくるとは思うので、その対策はお店でしていかなくてはならない」

 こちらの店がオープンした、おととし2021年は小麦の値上げだけではなく、食材全般的に値上げが予測されていた時期でした。

 そのため、原材料の値上げを踏まえた販売戦略、原価率をしっかり設定した上で、オープンしたといいます。

画像3: そして、小麦粉の値上げは業務用にまで波及しています。

 ただ、1日に使用する小麦粉は、北海道などの国内産を40kg~50kgと大量な上に今はバターも高騰。

 厳しい状況が続いています。

ブールアンジュ マネージャー 小関亮太さん
「価格改定については検討せざるを得ない状況ではあると思うが、店舗としては価格の幅を広げていくというか、逆に安価な商品を新しく投入したり、いろいろなセットの商品だったり、商品開発のところで工夫しながらやっていければと。お客様に対して、その商品の価値を伝えられる従業員が居れば、納得して買っていただけると思うので、そちらに今チカラを入れている」

画像4: そして、小麦粉の値上げは業務用にまで波及しています。

 予測が難しい小麦粉価格の動向。

 パン店にとっては、しばらく不安な日々が続きそうです。

スーパーでは

 一方、食パンや小麦粉を扱うスーパーでは…。

ヒバリヤ 営業本部 山岸達也 部長:
「小麦粉につきましては大体仕入れ価格として1割くらい上がっていると連絡は来ている。ただ売り値の方はまだ変更していなくて、今のところは在庫を使って、なるべく前の価格でお客様に提供できるようにと進めている」

画像1: スーパーでは

 こちらのスーパーでは、小麦粉は在庫があるため、まだ値上げを行っていません。

 しかしパンは、全体的に1割ほど値上がりしているということです。

 買い物客は…。

画像2: スーパーでは

買い物客(静岡市民40代):
「(パンは)毎日食べるものになるので、そのあたり(の価格)が上がってしまうのはちょっとつらい。もう、気持ちは下がっていく一方。ちょっとスーパーに行く回数を減らしています」

買い物客(静岡市民70代):
「物流とか燃料代とか上がっているし、運ぶ人の経費があるから、それは致し方ないかな。必要なものはしょうがないですけどね、値上げしても。だけどちょっとしたものは安いものを探して買っている」

画像3: スーパーでは

買い物客(静岡市民30代):
「毎月(価格が)上がっていると麻痺していますね。どれが上がっているか全然分からないですね。値段が変わっていなくても、個数が変わってるんだと思って、結構残念な感じがします」

 帝国データバンクの分析によりますと、去年は消費者も値上げを受け入れる「値上げ慣れ」の傾向が強かったといいます。

画像4: スーパーでは

 しかし、毎月のように値上がりが続いてきたことで、今年は消費者が値上げについていけない「値上げ疲れ」の色が濃くなり、消費マインドも冷え込みつつあるということです。

 そんな中、今後はこんな懸念も…。

ヒバリヤ 営業本部 山岸達也 部長:
「一番今取り組むところですが、年末のクリスマスケーキを作られる地域のケーキ屋さんにいろいろ案内をかけているが、もちろん小麦粉もそうですけれど、バターだとか、牛乳だとか、諸々のものが値上げされますので、今年はかなり高いケーキになってしまうのではと懸念している」

画像5: スーパーでは

 2023年も折り返し地点。

 原材料価格の高騰による影響は一部で落ち着きつつあるものの、
電気代や人件費、物流費の負担が少しずつ増している状況。

 この先、値上げペースは落ち着きを取り戻せるのでしょうか…。