難波市長が地元に「アリーナ説明会」 市長からは驚きの構想も…アリーナと静鉄長沼駅を結ぶ 静岡市
静岡市 難波喬司市長(28日):「(建設自体に)大きな反対はなかった。色々心配があるということでした」
長沼三区自治会 杉山輝雄会長(28日):「私はどちらかというと、本当に必要なのかと、今でも半分感じている」
市長と住民との間に温度差が垣間見えたのは、静岡市で構想が浮上している、ある“巨大プロジェクト”についてです。
林輝彦アナウンサー:「静岡市の難波市長が、長沼の公民館に入ります。これから住民に説明を行います」
28日、静岡市の難波喬司市長の姿は、静岡市葵区長沼地区の公民館にありました。その理由は…。
静岡市 難波喬司市長(去年8月):「必要性については、これは非常に経済効果が高いと実感した。市の予算的に可能。そして民間事業者の方々の参画の可能というのが非常に大事だが、そういうことが可能であれば、アリーナというのは実現していくべき施設だと思っている」
JR東静岡駅北口の土地に持ち上がっている「アリーナ建設構想」。説明会には長沼地区の5つの自治会の会長や住民など21人が参加。難波市長が自ら足を運ぶ異例の対応となりました。
アリーナ構想とは
そもそも、東静岡のアリーナ構想は市が所有するJR東静岡駅北口の2万4000㎡の土地に、プロスポーツ観戦で5000席以上、音楽イベントで8000席〜1万席を確保できるアリーナの建設をするもの。
建設費は100億円〜200億円と見込まれていて、運営費は年間で2億円から3億円程度とされています。
建設手法については現在、アリーナ整備を民間主導でやるのか、それとも市が建物を造り、運営を民間に任せるようにするのかなど具体的な方法について様々な検討がされています。
静岡市 田辺信宏市長(当時・2022年3月):「若者の流出をなんとか…、流れを変えていきたいと思っている。そういった時に若い方たちからよく出てきたのが、私たちが見たいコンサートが静岡には来ない。そういう文化機能、エンターテインメント機能が静岡は弱いから、どうしても東京の大学に行くんだ、あるいは県外に行ってしまうというそういう声も多かった」
アリーナができることで、若者流出の歯止めになるとした静岡市の田辺前市長。田辺市政から計画をバトンタッチされた難波市長は、去年4月の市長就任後、事業化できるかどうかを再検証。その結果…。
静岡市 難波喬司市長(去年8月)「経済効果という観点と、それからアリーナは思いましたけど、文化づくりですね。ですから、エンターテインメントとか、単なる楽しみの施設ではなくて、それがあることによって、市民の皆さん、街の皆さんが楽しめる施設になる。そういった面で屋根が付いて、非常にいろんな演出ができる施設というのは、これは文化づくりで大事だということを私は実感しました」
去年8月には沖縄市にある「沖縄アリーナ」を自ら視察するなど計画に前向きな姿勢を示しています。
難波市長「アリーナと街づくりを一体で」
こうした中で開かれた、28日の住民説明会。非公開で行われた説明会で、どのような話がされたのでしょうか?
静岡市 難波喬司市長:「きょう(28日)はアリーナというよりも、街づくりの関係でアリーナと街づくりを一体的に進める必要があるという話をした」
住民側からは「渋滞」の懸念が示されたといいます。
静岡市 難波喬司市長:「沖縄のアリーナと佐賀のアリーナを実際に見てきて、実際にイベントをやっている日に見た。そこで渋滞という状況にはなっていない。それは運用がしっかりしている。駐車場の入り口を閉めて入れないようにしていますし、その辺はしっかりと運用することは可能だと思っている」
アリーナの建設候補地は国道1号沿いにあり、普段から渋滞の多いエリア。難波市長は、アリーナを建設した場合、駐車場の利用は大会関係者などに限定して、客が駐車場を利用できないようにし、国道1号の交通量が増えないような計画にすべきとの考えを示しました。
アリーナと長沼駅結ぶ「デッキ構想」も
一方で、市長からはこんな話があったといいます。
長沼三区自治会 杉山輝雄会長:「難波市長の話の中では、アリーナからJR東静岡駅、そして静鉄の長沼駅までデッキを作って上に人を通すことを考えているとのことだったので、そういったことが是非実現できれば、ますます長沼が良くなるのかなとそういう気はした」
なんと、アリーナから国道1号を越えて静鉄・長沼駅までつながる「デッキ構想」も出てきたというのです。一方で、懸念される「渋滞」については…。
長沼三区自治会 杉山輝雄会長:「渋滞が緩和すればという話ですけど、渋滞が緩和することはないでしょうし」
ペデストリアンデッキを作る方針には理解を示したものの、普段から渋滞が発生している国道1号への懸念は拭えなかったといいます。
懸念は「国道1号の渋滞」
これに対し難波市長は…。
静岡市 難波喬司市長:「今すでに渋滞してますから、その先の話よりも今、何とかしてほしいという話があったので、その点はこれから“まちづくり協議会”のようなものを作って検討していきたいと思っているので、その中で早急にできることはないか、という点を通していきたい」
住民が抱える不安解消に向け、早急に検討していきたいとの考えを示しました。ただ、住民側からは本音も聞こえてきています。
長沼三区自治会 杉山輝雄会長:「アリーナが市の発展に寄与するものであれば賛成だよと。ただし個人的にはアリーナ構想は反対だよという形で、いち市民としての立場と個人としての立場、それぞれ使い分ける方もいる。私はどちらかというと本当に必要なのかと今でも半分感じている。(イベントなどは)例えば静岡から東京へ、あるいは大阪 名古屋へ見に行った方が、自分の好きなものがいつでも見られるのではないか、そういったことがちょっと疑問に思うこともある」
こうした率直な意見に、難波市長は…。
静岡市 難波喬司市長:「まだやるということを決定しているわけではなくて、どうしても静岡市のためにはアリーナが必要で、そのアリーナの具体的な場所としては東静岡だと。ただしアリーナ単体でものを考えるのではなくて、街づくりと一体で考えるということですね。運営費を市が負担しないといけないようであれば、アリーナはやらないということを明確に申し上げたので、運営費を市が負担することはない」
今年度内には事業化の可否を決めたいとしている難波市長。ただ、住民側の不安も含め、解決しなくてはいけない課題は山積しています。東静岡を舞台にした、ビッグプロジェクト。難波市政の舵取りに注目が集まります。