年間通じて35日で収穫…大規模なホウレンソウ工場 なぜ静岡・沼津市に…その戦略とは

 静岡県沼津市にオープンした世界最大級の野菜工場。現在本格的に稼働し、1日500キロを超える野菜を地元のスーパーなどに出荷しています。その戦略を取材しました。

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水耕栽培でホウレンソウを栽培

 沼津市原に去年5月にオープンしたブロックファーム。2階建ての工場は延べ床面積8千平方メートル。世界最大級の野菜工場です。

三浦徹記者:「野菜工場というとレタスが一般的ですが、こちらで栽培しているのはホウレンソウです。このように天井まで棚が設けられていて、ホウレンソウが並んでいます」

 この工場では、土をつかわない水耕栽培でホウレンソウを栽培しています。栽培が難しいとされるホウレンソウを作ろうとした狙いは?

ブロックファーム管理グループ 満生篤さん:「レタスに比べて収益性が高いというところと栄養価が非常に高いというところで、付加価値が高いとわれわれは認識している。ホウレンソウは菌に弱くて、また調整をしないと花が咲いてしまうというところがありますので、LEDの調整であったりとか、養分の調整を厳格に管理している」

画像: 水耕栽培でホウレンソウを栽培

昼と夜を人工的につくる

 ホウレンソウができるまでの流れはこちらです。

・播種
・育苗
・移植
・生育

(生育棚の下には、肥料が混じった水が流れています)
(太陽光の代わりにLEDライトを利用)
(自然に近いように昼と夜を人工的に作っている)

 ホウレンソウは寒い季節になると収穫に時間がかかりますが、この工場では1年を通して35日で収穫できます。現在1日およそ500キロを出荷していて、工場が全て稼働すれば、生産量は1日3トンになるということです。

 天候などによる収穫量の変化で、価格が大きく上下するホウレンソウですが、工場で生産されることで、消費者は無農薬で高品質な野菜を安定した価格で手に入れることができます。

画像: 昼と夜を人工的につくる

沼津市を選んだワケは

 最新の設備を備えた工場。なぜ沼津を選んで造ったのでしょうか?

ブロックファーム管理グループ 満生篤さん:「1号線沿いという好アクセスな場所であったりとか、ここはもともと農地として使われていた所なんですけど、そこをお借りして工場を運営することで、固定的なコストを安く運営できるというところで沼津を選んだ」
 
 工場から北へおよそ6kmにあるのが、2017年にオープンした県の施設・AOIPARC。行政や民間企業などがタッグを組んだ農業の先端技術研究の拠点です。この沼津市西部地区は、県の「先端科学技術を活用した農業イノベーション創出エリア」に指定されています。ブロックファームがここに工場を作ったのも、その影響が大きいといいます。

静岡県農業戦略課 佐野浩司先端農業推進室長:「このエリアは先端科学技術を活用した農業の生産性の開拓と農業を軸とした関連産業のビジネス展開、そういったことをこの地域で推進していこうというエリア。県も連携をさせていただきて、いろんなご支援をさせていただいて進めてきた」

 ブロックファームの従業員は現在70人ですが、将来的には100人が働く予定です。今後は農業を核とした地域の活性化も期待されています。

静岡県農業戦略課 佐野浩司先端農業推進室長:「AOI-PARCで取り組んでいる事業化に向けた新たな技術・製品、そういったものもブロックファームと連携する中で、県内に広く多くの事業者の方に普及展開していく中で県内の生産量の拡大ですとか、農業ビジネスの展開そういったものにつながっていけばいいなと期待している」

画像: 沼津市を選んだワケは