静岡・田辺市長のラブコールに川勝知事「話したいことは特段ない。ご苦労様と申し上げるくらい」

静岡市 田辺信宏市長(13日):「 ( 任期満了までに) どうしても実現したいことは、任期中に県知事とお会いしたいと思っている。政令市と県という組織同士が抱えている課題や問題を、もう一度話をして共有化をしたい」

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田辺市長「任期中に県知事と…」

 残すところ1カ月の任期となった静岡市の田辺市長。13日の会見で、任期中に「会いたい」とラブコールを送った相手は、川勝平太知事です。

画像: 田辺市長「任期中に県知事と…」

静岡市 田辺信宏市長(13日):「30年前、市議会議員に初当選した時の志は、旧清水・静岡市が合併して、政令指定都市に移行したいというものであった。それは実現した。ただ政令市になっても、県との関係というのは連携をしていくべき。良いものであるべきだというふうに思う。そのことについて、きちんと任期中に県知事と心合わせしていきたい。そんな気持ちであります」

川勝知事「キミキミ…」 田辺市長「キミキミおっしゃいますが市長ですけど」

 田辺市長と川勝知事、この2人といえば、これまでに幾度となく“その関係性”に注目を集めてきました。

 さかのぼること 8年前(2015年)。このころから、田辺市長と川勝知事の「不仲」が表面化し始めます。当時、川勝知事が提唱していた「県都構想」をめぐって2人は直接対談。席に着く前は、にこやかに握手をしていましたが…。

画像1: 川勝知事「キミキミ…」 田辺市長「キミキミおっしゃいますが市長ですけど」

静岡県 川勝平太知事(2015年):「キミ知ってましたか、彼のこと…。キミのためでもない。私のためでもありません」

田辺市長(2015年):「キミキミっておっしゃいますけどもね、静岡市長ですけど」

画像2: 川勝知事「キミキミ…」 田辺市長「キミキミおっしゃいますが市長ですけど」

川勝知事:「あ、それは失礼しました」

田辺市長:「県にも協力してもらって、どうやったら…」

川勝知事:「それも制度論でしょ」

田辺市長:「そうじゃなく、実質論です。つまり本社が…」

川勝知事:「税率をね…」

田辺市長:「聞いてください、聞いてください、私はずっと粘り強く知事の言葉に耳を傾けました。20分ぐらいでしょうか。あなたは私が話し始めて3分となく口をはさむ。もっと私の、市民の声をよく聞いてください」

 互いに熱のこもった議論を交わす中で、川勝知事の一方的な場面に田辺市長がしびれを切らせました。

川勝知事「静岡市は政令市の失敗事例」 田辺市長「断じて看過できない」

 その翌年、県と静岡・浜松の両政令市のトップが一堂に会し、課題について話し合う通称・G3サミットではこんな一幕も…。

画像: 川勝知事「静岡市は政令市の失敗事例」 田辺市長「断じて看過できない」

川勝知事(2016年):「静岡市は政令市として失敗事例」

田辺市長(2016年):「静岡市政のことに口出しをし過ぎているのではないか。公の席で失敗と、これは断じて看過できない」

 強い口調で川勝知事に苛立ちを見せた田辺市長。サミットは2006年から年に1回のペースで開かれてきましたが、この年以降、今日に至るまで開かれていません。

川勝知事はG3サミット再開の意向

 そうした中、2月の県議会で川勝知事は、サミットを再開する意向を示しました。

画像: 川勝知事はG3サミット再開の意向

川勝知事(2月24日):「安全・安心な地域づくりにあたっては、広域自治体である県が地域の中心的役割を担う政令指定都市と緊密に連携することが重要。喫緊の課題への対応などについて、県と政令指定都市の首長同士で議論する場が必要であると考えている。本年4月には両政令指定都市において首長選挙が予定していることから、新しい市長との信頼関係の構築や県と政令指定都市が抱える課題解決に向け、改めて県・政令指定都市サミットの開催を両市に呼び掛けてまいります」

 川勝知事は、4月に新市長が誕生することから、サミットの開催を呼び掛ける考えです。なぜこのタイミングなのでしょうか…。

 これに田辺市長は…。

静岡市 田辺信宏市長(13日):「それ(G3)についても、市長が変わったからG3を再開するということではないと思う。やはり政令市と県のあり方がいかにあるべきか、そういう心合わせをしたという前提で、やはり私たちが、そのテーブルに着くかどうかということを判断をしなければいけないと思っている。ですので、やっぱり私の任期中、そこはしっかりお伝えしたい」

「知事と市長の不仲が原因」で災害対応が遅れたとの声も

 これまでに度々注目を集めてきた、県と市の“連携”。この「連携の甘さ」を露呈する形になったのが、去年9月の台風15号です。当時、静岡市内への自衛隊の災害派遣を要請するのが遅れたのは、川勝知事と田辺市長との不仲が原因ではないかという声も上がりました。

静岡市 田辺信宏市長(去年10月):「知事とは携帯電話ができない。知りません私、携帯番号を。かつて、(番号を)教えてもらおうと思ったこともあったが、残念ながら教えてもらえなかった。なので、なかなか知事とこういう緊急時に連絡をすることができない状況が続いていて、今回の災害に遭遇してしまった」

画像1: 「知事と市長の不仲が原因」で災害対応が遅れたとの声も

Q.世間的に言われている知事と市長は不仲であるという。これはもうその通りと認めますか?

A.「そうですね。こういう緊急時にお互いを気遣って電話をし合おうという関係ができていない」

 「知事に電話番号を教えてもらえなかった」とした田辺市長。これに、川勝知事は。

静岡県 川勝平太知事(去年10月):「災害に関しては、市町から県知事へとあるが、組織で対応しているので、危機管理体制は出来上がっているから、そこに連絡していただければそれで済むこと」

Q.電話番号を教えてもらえなかったというのは事実ではない?

A.「(田辺市長の発言は)虚言ですね」

画像2: 「知事と市長の不仲が原因」で災害対応が遅れたとの声も

田辺市長「アポイントはこれから」

 数々の場面で注目されてきた田辺市長と川勝知事の関係性。田辺市長は13日の会見で、これまでのやり取りを次のようにふり返りました。

静岡市 田辺信宏市長:「やっぱり、知事とはやはり12年間いろんなことがあった。中でもやはり政令市であっても連携していく必要性というのは、私自身でも感じている。そのことについてきちんとお伝えしたいなと、そんな気持ち」

Q.12年間務めた首長さんが退任のあいさつで知事に会うのは、この場で宣言するまでもなく、当然のことだと思うが、アポイントはまだ取れてないんでしょうか?

A.「これからです」

画像: 田辺市長「アポイントはこれから」

Q.例えば携帯電話で「知事、今度伺っていいですか?」とか、やり取りはしていますか?

A.「してません」

川勝知事「市長と話したいことは、特段ない」

 そして先ほど、田辺市長からラブコールが送られた川勝知事が会見を開きました。
静岡県 川勝平太知事(14日):「市長選挙は4月9日でしたか? 任期はいつまでですかね? その前後でしょうね。その前に、ご退任のあいさつに来られるということかと思いますけど、まだ、その連絡は入っていないということでございます」

Q. もし来た場合は、会談する考えはあるか?
A.「お越しになれば、お話を承ると。お別れの挨拶になるでしょうからね」

Q.知事として現段階で市長と話したいことはあるか?
A.「特段ございません。ご苦労様と申し上げるくらいですね」

画像: 川勝知事「市長と話したいことは、特段ない」