【富士山の日】富士山が1年で最もよく見えるのは12月26日 33年間一度も見えなかった日も…
2月23日は富士山の日です。旅行の時などに「きょうは富士山が見えるかな」と期待している人も多いはず。でも残念ながら見えずにがっかりすることも少なくありません。「富士山はいつなら見えるのか?」。実はそのヒントが富士山のおひざ元、静岡県富士市にあるんです。(取材・文=三浦徹)
「富士山はいつ見えるのか!」 そのヒントは富士市のHPに掲載されています。「富士山見えた割合カレンダー」は富士市の観測データをもとに、過去に見えた割合を日別に%で示したカレンダーです。現在(2025年2月)は1991年から2023年までの33年間のデータを、沼津高専の協力でまとめたものが掲載されています。
年間でよく見えた日のベスト5は
①12月26日 70.8%
②12月23日 63.5%
③12月21日 62.5%
③1月1日 62.5%
⑤12月16日 61.6%
1年間で一番富士山がよく見えた日は12月26日。ダントツの70%超えでした。そのほかの上位も12月、1月が独占していて、富士山を見るにはこの時期がベストであるとわかります。
逆に見えなかった日は…
①7月2日 0%
②6月11日 1.0%
②6月23日 1.0%
④7月3日 2.0%
④7月19日 2.0%
7月2日は驚異の0%。33年間、一度も見えたことがありません。そのほかでも夏季の6月~7月は見える確率は低くなっています。夏に富士山が見えたらかなりラッキーです。
あくまでも確率の話ですが「富士山が見たい」と思ったら、ぜひ参考にしてみてください。ただし富士市のデータですので、静岡県内の他自治体、静岡県外とは異なるケースがあることをご承知ください。

「富士山見えた割合カレンダー」のもとになっているのが富士市の観測記録。富士市役所8階からは雄大な富士山の姿を見ることができますが、富士市はここから「富士山の見え方」を毎日観測しています。
富士・愛鷹山麓の貴重な自然の保全に取り組んでいる富士市。しかし計画実施の基礎となる富士山の眺望についての観測記録は存在していませんでした。このため継続的データの収集を目的として1990年5月に観測を開始しました。
観測は毎年職員1人が担当となり、午前8時、正午、午後4時の1日3回、富士山を観測します。富士山の見え方を「全体が見えた」「一部が見えた」「まったく見えない」の3つに担当者が判定していきます。
現在、富士山の観測を担当しているのは、企画課の鈴木克幸さん。市役所内の部署間の調整がメインの仕事ですが、その傍ら観測業務にあたります。
●富士市企画課 鈴木克幸さん:
「こんな仕事もあるんだというのが正直な感想です。全国でもこういうことをやっている自治体は珍しいと思います。富士山に関することは反響が大きいので、富士山を推している富士市ならではの重要な業務だと感じています。『見えた割合カレンダー』は主に県外の人から富士山に関する問い合わせが多かったので、去年から始めました」

以前は職員が自分の目で観測していたそうですが、現在は市役所8階に設置されたライブカメラのデータを使って判定しています。数日分をまとめて作業をしているということです。
34年間欠かさずデータを観測している富士市ですが、このほど2024年の結果が発表されました。その結果から分かったことは?

①季節によって見える日数は大きく変わる
富士山の見える日数が多いのは秋から春にかけて。反対に少ないのは夏(6月~8月)でそこには大きな差があります。
②朝早いほうがよく見える
1日の中では午前8時が「全体が見えた」回数が一番多く、朝早いほど富士山がよく見えたこと分かりました。
③天気がいいからといって見えるとは限らない
平地での晴天率と見える率は比例しておらず、平地が晴天であっても必ずしも富士山が見えるわけではありません。とくに夏は平地で晴天であっても、周辺の雲や霧によって富士山が見えない場合が多いということです。
2024年のこの結果は過去のデータと比べても傾向は変わらないということです。
●富士市企画課 鈴木克幸さん:
「この地域で暮らしている方は、夏は見えにくく、冬はよく見えるということをざっくりとは認識していると思います。私も何となく分かってはいましたが、はっきり数字にでると『やはり』と思いました」
意外なのは、午前8時の観測で「全体が見えた」日数が年間で150日(41.0%)あった一方で、「全く見えない日」が118日(32.2%)ありました。つまり富士市でも年間の3分の1は富士山が全く見えないということです。
●富士市企画課 鈴木克幸さん:
「やはり富士山が見えるのはおひざ元でも当たり前じゃないということがわかります。地元にいても富士山が見えるのは幸運なことです。遠方の方も『富士山見えた割合カレンダー』を参考にぜひ富士山を見に来てほしいと思います」
富士市が長年蓄積したデータは、富士山を見ることができるありがたさを改めて感じさせてくれます。
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