〝トランプ関税〟に経済界「非常に危機感」「賃上げも見通せなくなる」 農業の現場は「収入が減ってしまう」 静岡県

〝トランプ関税〟に不安の声

 25日、静岡県庁で開かれたアメリカの関税対策について話し合う連絡会議。

平木省副知事:「本県、全国3本の指に入る産業基盤を持つ県でございます。また、多様な農林水産業を持っているということもあり、本県の産業への影響、そして本県の産業が我が国の産業に与える影響を極めて憂慮するところでございます」

 県が企業への支援を検討することが主な目的で、国の出先機関や経済団体、産業支援団体など、17団体が参加。

 先行き不透明なトランプ関税をめぐり、出席者からは懸念の声が相次ぎました。

〝トランプ関税〟に経済界「非常に危機感」「賃上げも見通せなくなる」 農業の現場は「収入が減ってしまう」 静岡県

静岡県商工会議所連合会 岸田裕之会長:「受注の減少あるいは投資を行えなくなってしまうという危機感。賃上げの状況も今後見通せなくなるということで、せっかく成長と分配の好循環が回り始めているところで冷や水を浴びせられるのではないかと、非常に危機感を持っている」

〝トランプ関税〟に経済界「非常に危機感」「賃上げも見通せなくなる」 農業の現場は「収入が減ってしまう」 静岡県

静岡県経営者協会 鈴木良則専務理事:「アメリカの貿易赤字をどうやって減らすか、逆に言えば、日本が輸入をどれだけ増やしてくれるか。米とかジャガイモとか牛肉を含めて、内需のところで、これは並々ならぬ、製造業と同等の痛手があるのかなと直感で思っております」

〝トランプ関税〟に経済界「非常に危機感」「賃上げも見通せなくなる」 農業の現場は「収入が減ってしまう」 静岡県

静岡県中小企業団体中央会 佐塚一弘専務理事:「国内での景気の減速ですとか、あるいは為替の動向ですね、消費者マインドまで考えれば良い影響が出るはずもないわけで、そうしたものを懸念する声もございます」

〝トランプ関税〟に経済界「非常に危機感」「賃上げも見通せなくなる」 農業の現場は「収入が減ってしまう」 静岡県

 県の相談窓口にはこれまで資金繰りに関する問い合わせが数件寄せられていて、今後、企業に対するヒアリングを通じて、必要な措置を検討する考えです。

 相互関税を宣言してから、間もなくひと月。7月8日には“90日の猶予期間”が期限を迎えます。今週にも再び行われる見通しの日米関税交渉。そこで焦点の一つに浮上しているのが、アメリカ産の「コメの輸入枠拡大」です。

〝トランプ関税〟に経済界「非常に危機感」「賃上げも見通せなくなる」 農業の現場は「収入が減ってしまう」 静岡県

アメリカ産米の輸入拡大案に農家は

齋藤諒アナウンサー:「トランプ関税の交渉をめぐって、アメリカ産のコメの輸入を拡大する案が浮上しています。農家の方はどのように受け止めているのでしょうか」

〝トランプ関税〟に経済界「非常に危機感」「賃上げも見通せなくなる」 農業の現場は「収入が減ってしまう」 静岡県

Q.今どういった作業をしている?
やまたか農場 髙橋梓さん:「田植えがそろそろ始まるので、機械の整備をしています」

 富士市でコメ造りをしている、農家の髙橋さん。今週から始める、田植えの準備をしていました。

やまたか農場 髙橋梓さん:「肥料があったりとか、年間契約されている方の直売分のコメの在庫が置いてある。ひと月に5kgとか10kg、まとめて親戚に配るからと15kgとかの単位で買う方が多い」

〝トランプ関税〟に経済界「非常に危機感」「賃上げも見通せなくなる」 農業の現場は「収入が減ってしまう」 静岡県

 年間の収穫量は70トン~80トンほど。基本的には年間契約を結ぶ客にコメを直売していて、それ以上に収穫でき、コメが余れば、問屋や農協に卸すそうです。

Q.価格高騰が続いているが、問い合わせはある?

やまたか農場 髙橋梓さん:「すごくたくさんあります。1年くらい経ってきていまだにこんなに問い合わせがくるのはびっくりしている」

 倉庫に残っているのは、すでに契約済みのコメ。新たな注文は受けられない状況です。

Q.去年はどうだった?

やまたか農場 髙橋梓さん:「去年は7月頃の35℃くらいの暑さがどうしても響いて、収穫量が2~3割減った」

〝トランプ関税〟に経済界「非常に危機感」「賃上げも見通せなくなる」 農業の現場は「収入が減ってしまう」 静岡県

 種をまいてから1カ月、田植えの準備は万全です。今週から田植えを始め、8月末から10月の収穫を目指します。日米の関税交渉のカードの一つとして、アメリカ産のコメの輸入を増やす案が浮上していることについては、複雑な心境を明かしてくれました。

やまたか農場 髙橋梓さん:「海外のお米がたくさん入ってきて、市場価格が下がってお米の買い取り価格が下がる状況になると単純に収入も減ってくるので、農家として困る思いは率直にある。おいしいお米を作り続けて、やっぱり日本のお米っていいなって思ってもらえるようなものを地元の皆さんに届けられるように、毎日頑張りたいと思う」

〝トランプ関税〟に経済界「非常に危機感」「賃上げも見通せなくなる」 農業の現場は「収入が減ってしまう」 静岡県

 去年の不作に加えて、近年は燃料費や肥料の価格も高騰。高止まりする現状のコメの価格は「適正」だと思う一方で、上がりすぎれば、“コメ離れ”につながってしまうと、頭を抱えています。

やまたか農場 髙橋梓さん:「コメ離れになって、逆にコメが出回らなくなって、農家が更に離れていくということもまた難しいところなので、どっちがいいのかって正直悩んでいます」

Q.そこのジレンマも
やまたか農場 髙橋梓さん:「あります。ある程度、安定的な市場価格になって農家が維持できるような経営ができるような状態に来てもらえると助かる」

〝トランプ関税〟に経済界「非常に危機感」「賃上げも見通せなくなる」 農業の現場は「収入が減ってしまう」 静岡県