静岡県にも備蓄米…購入した800トンは学校給食に 止まらないコメの価格高騰…老舗の米問屋は

片山恵介記者
「政府によって行われた備蓄米の入札。落札された米が県内のこちらの倉庫にきょう入荷されました。」

価格高騰が続くコメ。静岡県ではJA静岡経済連が備蓄米の入札に参加しました。1回目の入札で800トンを購入し、そのうちの24トンが4日午前8時ごろ、県内に届きました。到着したのは、いずれも新潟県産の「ゆきん子舞」12トンと「こしいぶき」12トンです。購入した800トンの備蓄米は一般の消費者ではなく、全て学校給食会に販売されることが決まっています。

静岡県にも備蓄米…購入した800トンは学校給食に 止まらないコメの価格高騰…老舗の米問屋は

JAが一般向けを購入しなかったワケ

 JA静岡経済連は、一般向けに備蓄米を購入しなかった理由について、「原則として1年以内に同じ量を買い戻すという条件があり、購入した米と同じ量を確保することが難しいと考えたため」と説明しています。

 複数の関係者によりますと、一般消費者向けの備蓄米は各スーパーが県外の業者から仕入れ、すでに店頭に並んでいるスーパーもあります。4月中の販売に向けて準備を進めているスーパーもあるということです。

静岡県にも備蓄米…購入した800トンは学校給食に 止まらないコメの価格高騰…老舗の米問屋は

老舗米問屋は…

堀優奈アナウンサー(3日)
「焼津市内にある米の卸売店です。店頭には県内産の米をはじめ、県外の米も並べられています。」

静岡県にも備蓄米…購入した800トンは学校給食に 止まらないコメの価格高騰…老舗の米問屋は

 明治39年に創業し、120年の歴史を持つ老舗米問屋、又平商店。県内の飲食店や介護施設にコメを卸しているほか、店頭では県内産のコメを中心に新潟や山形などの県外産も販売しています。

買い物客
「スーパーで売っているのは精米日から何日経っているとかっていろいろあるが、ここではお米屋さんならではの精米したてなのが一番の魅力ですね」

静岡県にも備蓄米…購入した800トンは学校給食に 止まらないコメの価格高騰…老舗の米問屋は

今年の在庫は例年の5分の1

長年、地元で愛されている又平商店ですが、現在のコメの在庫は過去にない状況だと言います。

自慢のお米 又平商店 又平宗一郎店主
「これが今うちにある在庫で、後ろにあるパレットも通常であれば全部使って米を保管しているが、これも今、空。米がない状態で今あるのは2つのパレット分だけですね。こんなの初めてです」

通常は床いっぱいにパレットが並び、米袋が大量に積まれているはずが、今、確保できているのはパレット2つ分だけ。例年の同じ時期のわずか2割ほどの量です。

自慢のお米 又平商店 又平宗一郎店主
「去年の夏に令和の米騒動といわれる事態が発生して、それから今に至るまでずっと米の流通が不安定で、思うように仕入れができていない状況です」

静岡県にも備蓄米…購入した800トンは学校給食に 止まらないコメの価格高騰…老舗の米問屋は

 去年の夏、猛暑などの影響でコメが不足した、いわゆる「令和の米騒動」以降、契約する農家からコメを仕入れられない状況が続いています。

自慢のお米 又平商店 又平宗一郎店主
「毎日のように(農家に)電話をしたり、お邪魔したりして「米ありませんか?」と聞いているが、数が少ないからこの数しか売れない、例年とは全く違った答えが返ってきて・・・」

終わりの見えないコメ不足は仕入れ価格にも影響を及ぼしています。

自慢のお米 又平商店 又平宗一郎店主
「去年の夏以降、ずっと右肩上がりで上がっていて、仕入れるたびに上がっている状況」

 こちらの店では去年に比べてコメの仕入れ価格が倍以上に。それに伴い、店頭での販売価格や卸値の値上げを余儀なくされました。

 そんな中、政府が決断した備蓄米の放出。コメを卸している取引先からは備蓄米についての問い合わせが来ていると言います。

自慢のお米 又平商店 又平宗一郎店主
「備蓄米の放出によって価格の高騰が収まるんじゃないか、数量制限なく欲しい分だけ仕入れられるんじゃないかという皆さん期待はあって、この状況が落ち着いてくればと思っている」

止まらない価格高騰

ただ、備蓄米放出後も、価格の高騰に歯止めがかかっていません。こちらの店では備蓄米を取り扱う予定はありませんが、県内に出回るようになれば、価格も落ち着く見込みだということです。

自慢のお米 又平商店 又平宗一郎店主
「価格の高騰で一番問屋として危惧しているのは皆さんの米離れ。買い控えが進んでしまうことなので、備蓄米の放出によって価格の安定、みなさんが買いたい時に買いたいだけお米を買えるというのが理想的だと思っているので、そういう方向に向かえば大変うれしい」
 
業者も消費者も待ち望んでいるコメの流通と価格の安定化。備蓄米放出で問題は解決するのか。先行きは不透明です。