【リニア】川勝知事提案の「部分開業」にJR社長「考えていない」愛知県知事「ありえない」 知事「有事の際に避難できる『命の道』の整備を」 /今週の静岡
会見で川勝知事が話したのは、静岡市の井川地区を通る市道閑蔵線について。リニアに関わる「道路」としては、JR東海と静岡市が県道三ツ峰落合線と県道南アルプス公園線を結ぶトンネルを造ることで合意しています。
工事現場は山奥 “命の道”の整備が極めて重要
ここにきて、市道閑蔵線の話が出てきた理由とは?
静岡県 川勝平太知事(23日):「山梨県の早川町長の辻さんが県庁に見えて、平地と異なり南アルプス山奥にあるリニア工事の現場は気象条件等の影響を大きく受けるということで、安全確保が非常に難しい場所であると。私もいわゆる三峰落合線を通って行ったと思うが、この整備が遅れている。こうした危険が伴う場所でリニア工事を行う作業員が、そのさらに奥の方に行くわけだから、有事の際に確実に市街地まで避難できるのか、また救急車がそこに入れるのかということで、“命の道”の整備が極めて重要であるということを改めて強く認識し、その認識を早川町長と共有した次第です」
「命の水」ならぬ「命の道」という新しいキーワードが飛び出した今回の会見。こう続けました。
静岡県 川勝平太知事(23日):「市道閑蔵線の整備の必要性については、JR東海も十分承知のことと思う。ただ、JR東海への働きかけは地元が行う必要がある。ぜひ静岡市長に市道閑蔵線整備の必要性をJR東海に働きかけていただきたいと思う。それは別に三峰落合線のトンネル整備をやめるということではない。まだ1センチ、いや1ミリも掘られていない。4年以上契約から経ってそういう状況であると」
川勝知事がバトンを託したのは静岡市の田辺市長。ただ、8月初旬にはこんな発言も…
静岡県 川勝平太知事(8月9日):「言ってみれば実際のトンネル掘削や発生土への対処は、実務はJR東海がすると。その他の場所の設定であるとかは、(静岡)市の方で交渉するということで。(静岡市は)約束を履行してないというふうにも言えるんじゃないでしょうか」
「県道南アルプス公園線トンネル」の残土をめぐって厳しい一言。一方の田辺市長は…
静岡市・田辺信宏市長(今月10日)
Q:リニアの関係で、川勝知事がきのう(9日)の定例会見で静岡市を批判されたが、そのことについて市長のご意見を。
A.「発生土置き場の件については、県の有識者会議で議論されている。私たちはその議論の中で適切にやってきたので、今後も粛々とやっていきたい」
川勝知事の次の視察先は「神奈川県駅」
一方で、気になるのは「2つ目」の“お知らせ”
静岡県 川勝平太知事(23日):「先日、静岡県はリニア建設促進の期成同盟会に加盟した。その際にも申し上げたが、建設促進を目的とする同盟会の一員です。そこを視察したいと考えている」
静岡県 川勝平太知事(8月8日):「みなさんこれ、大井川の水です。これ流れを見てください。こちらの取水口のほうにいっております」
今月、南アルプスを現地視察した川勝知事。会見で、記者に対し、こんな“お知らせ”が…
静岡県 川勝平太知事(23日):「皆様にお知らせが2点あります。1つ目は市道閑蔵線の整備促進についてです。2つ目はリニア中央新幹線の工事現場の視察についてです。先日静岡県はリニア建設促進の期成同盟会に加盟した。その際にも申し上げたが、建設促進を目的とする同盟会の一員です」
期成同盟会に入ったことで、これまでとは立場が異なる静岡県。川勝知事なりの“建設促進”を提案するために視察先に挙げたのが…。
静岡県 川勝平太知事(23日):「すでに実験線の駅があるのが甲府(山梨)です。甲府から大月の方向に向かって実験線、実質上これは実用線になるとうたわれているが、それがその次につながる駅は神奈川新駅ということになる。すでに工事が始まっていると承知しているが、そこでまずは2つの駅が結ばれれば、暫定開業も可能であると考える。したがってどの程度の可能性があるのかも含めて、これは相模原市内にあるということで、そこを視察したいと考えている」
川勝知事が次の“視察先”に選んだのは「神奈川県駅」。神奈川県相模原市のJR橋本駅近くに建設が進められています。気になるのは知事が山梨~神奈川間の“暫定開業”に言及したことです。
川勝知事の「山梨~神奈川間の部分開業」案に…
静岡県 川勝平太知事(23日)
Q:南アルプストンネルの問題、静岡工区の問題が解決されるまでは、先行開業、あるいはその部分開業をしたらいいというのが知事のお考えなんでしょうか?
A.「品川~大阪間がつながって初めてこのリニア新幹線の意義が発揮できるのだということなんです。しかしながら、JR東海は民間企業であり、経営の自由と同時に投資する自由というか、こうしたものを確保するということもあって、自身の経営判断として二段階方式(品川~名古屋/品川~大阪)でやると言ったわけです。したがって、私の言葉で言うと部分開業です。彼ら(JR東海)の言葉で言うと暫定開業なわけです。暫定開業をするためには、ターミナルがないとダメなわけです。ターミナルは今1つしかない訳です。甲府(山梨)だけです。調査掘削をして、北品川工区のところで300メートルの掘削予定のところが、50メートル掘ったらなんとも機械が動かなくなってしまって。そういう意味で橋本(神奈川)あたりから甲府(山梨)に行きかうことが一種の暫定開業として唯一可能な場所であると、私は今のところ思っていると」
そしてこう付け加えました。
静岡県 川勝平太知事(23日):「ともあれですね、リニアを促進するということが我々の期成同盟会の共通した目的であります。で、既成のルートに従ってやっていくとなれば、すでにできあがっているもので一番近い所に行くという所ですね。駅と駅を結ぶというところがまだどこもできてませんのでね。それをするとすれば、神奈川県駅しかないということで、そう申し上げているわけです」
突然示された川勝知事の「暫定開業案」に金子社長は…
JR東海 金子慎社長(25日):「相模原と甲府間は部分的に先に開業することは考えていない。東海道のあたりで大災害があった時などに、バイパス機能を果たせるものを1つ早く造らなければならない。そういう目的が1つと、経済も活性化しようという目的で、まずは名古屋まで、いずれは大阪までという単位で開業しなければいけないと思っている」
さらにこの人も…
愛知県 大村秀章知事(25日):「部分開業というのは…ありえない。実質上ありえないということだと思います。どういうご発言をされるか、それは、それぞれこの日本という国は自由でありますので、ご発言はあれですが。現実問題ね、部分開業で事業として成り立つか、成り立たない。そういう点はありえないと申し上げておきたい」
(8月27日放送)