トウモロコシの収穫ピークに 静岡県内では各地でブランドコーンがしのぎを削る

静岡県内でトウモロコシの収穫がピークを向かえています。各地の特産品いわゆるブランドコーンがしのぎを削る最前線を取材しました。

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トウモロコシの収穫ピークに 静岡県内では各地でブランドコーンがしのぎを削る

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 早朝4時半過ぎの森町の農園。

 手際よく収穫されていくのは、
この地域の特産品として有名なトウモロコシ、「甘々娘」(かんかんむすめ)です。

 最大の特徴はなんといってもその甘さ。

 平均糖度は18度~20度と、マンゴーにも匹敵する甘さとされていて、この日計測された糖度も19.1度でした。

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 直売所には、早朝にも関わらず長蛇の列が。

 みなさん、この“甘さ”を求めて販売開始を待つお客さんたちです。

藤枝市から:
「テレビで見て、ちょうど休みだったので来てみようと思って来た。食べたことはない、きょうが初めて。(味は)甘いのかなと勝手なイメージがある」

 県によると、こうした特産品として作られているいわゆる“ブランドコーン”は県内で増加傾向にあり、その数は現在、6種類。ほかにも農家が独自で作っているものなど多数のブランドコーンがあるといいます。

画像2: トウモロコシの収穫ピークに 静岡県内では各地でブランドコーンがしのぎを削る

 まさにトウモロコシ戦国時代といった状況について、甘々娘の農家は…。

鈴木農園 鈴木弥さん:
「全然いいと思う。地域で盛り上げていければ僕は全然いいと思っている。森町だけじゃなくて静岡県が全国にトウモロコシの県だよとアピールできればそれが一番だと思っているので」

 こう語るいっぽうで、“自信”ものぞかせます。

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鈴木農園 鈴木弥さん:
「やっぱり森町のとうもろこしというのは、先代から作った土壌があるのでどこにも負けないと思っている」

 ブランドコーンの代表格として人気を集める甘々娘。

 そんな中、県内には他にも注目を集め始めている新たな品種がありました。

富士山麓わくわくコーン

富士伊豆農協青年部 富士北支部 渡邉佑斗部長:
「これは富士山麓わくわくコーン。はちみつのような甘さでコクがあり、朝取れなので柔らかくてジューシー」

画像1: 富士山麓わくわくコーン

 こちらの農園で作られているのが、2年前に富士市がブランドとして認定した「富士山麓(ふじさんろく)わくわくコーン」。

 糖度を保つため朝6時までに収穫するというルールが設けられていて、その糖度は15度以上とメロンと同じぐらいの甘さを持つトウモロコシです。

 実はこのトウモロコシはもともと、農協などが低迷していた地域のお茶農家を救うため、別の野菜を始めようとしたのがきっかけ。

画像2: 富士山麓わくわくコーン

 現在この農園で栽培しているメンバーも、全員がトウモロコシとは別に本業の作物を持つ農家たち。渡邉さんも本業は樒(しきみ)を作る農家です。

富士伊豆農協青年部 富士北支部 渡邉佑斗部長(本業は樒農家):
「出荷の時は5時ぐらいから、出荷が終わってまた自分たちの仕事みたいな感じ」

Qそれでもやりがいがある?

「やっぱり食べてもらうと笑顔になってもらえるのが嬉しいんで、やりがいしかない」

画像3: 富士山麓わくわくコーン

 普段作る作物ではないため、3年前に始めた時は実が膨らまないなどの失敗も数多く経験したと言います。

 そうして苦労を重ねた分、いま栽培しているブランドコーンについては…。

富士伊豆農協青年部 富士北支部 渡邉佑斗部長:
「(県)西部には有名なトウモロコシがたくさんあるが、東部にも富士山の麓で作ったこんな美味しいトウモロコシがあるんだぞということをみんなに知ってほしいし、それによって静岡県全体が盛り上がっていけたらいいなと」

富士山麓わくわくコーン販売会

 そうしたなか、17日富士市では…。

画像1: 富士山麓わくわくコーン販売会

 午前の早い時間にも関わらず、150人を超える長蛇の列が。

 実はこの日、朝取れたばかりの「富士山麓わくわくコーン」の販売会が行われたんです。

 午前9時半の販売開始前から、多くの人がコーンを買い求めに行列を作っていました。

Q何時から並んでいる?

行列の先頭 富士市民70代:
「こっちには8時ごろ着いたかしら」

Qじゃあ1時間半前から並んでいる?

「そうそう。(以前)富士川楽座で販売会をやったときに15分で売り切れたというから、早く行った方が良いねということで来た。息子にも送りたい、去年も送っておいしかったと言っていたので」

富士市民 40代:
「すごくおいしいと評判を聞いたので買いに来た。まさかこんな朝早くから皆さん並んでいるとは思わなかったので、買えるかなと少し心配」

画像2: 富士山麓わくわくコーン販売会

 この日用意されたトウモロコシの数はおよそ1500本。

 そして、午前9時半。いよいよ販売がスタートです。
すると“ブランドコーン”は飛ぶように売れていきます。

「3つください!」

Qきょう何個買った?

富士市民 40代:
「10(袋)です。おいしいと聞いたので親戚の人とかにもあげたいなと思って」

Qはちきれるぐらい…

「すみません。後ろの方には申し訳ないですけど」

 そして・・・

 JA:
「すみません、いまここで終わりになっちゃった。ホワイトコーンならちょっとあるが…」

画像3: 富士山麓わくわくコーン販売会

 用意していた1500本のブランドコーンはわずか15分で完売に。

 売り場では、急遽別の種類のトウモロコシを販売する事態になりました。

 トウモロコシの名前の通り、「わくわく」して御殿場から買いに来たという家族も肩をおとします。

御殿場市から:
「残念。次に期待したい。仕方ないから、いま並んで白いの(ホワイトコーン)があると聞いたから待っている」

 ところが、そのホワイトコーンも・・・

スタッフ)もうホワイトコーンも無い?

御殿場市から:
「え、ホワイトコーンもない?」

 終わったようです。

Qホワイトコーンも終わってしまったようだが?

「じゃあ何、きょうは手ぶらで帰るわけ?あらまあ。」

 何も買えずに帰っていく客の姿がありました。

 ただ、想定以上の人気ぶりに、農協関係者にとっては嬉しい叫びです

画像4: 富士山麓わくわくコーン販売会

富士伊豆農業協同組合 木村優太さん:
「とてもうれしい、人気が出てくれて。より多くの人の元にこの富士山麓わくわくコーンが行き渡ってくれて本当にうれしいかぎり。7月22日に富士川楽座で9時半からまた販売会を行おうと思っているので、もしよろしければまたお願いします」

 お互いに切磋琢磨しながら、進化を続ける県内のブランドコーン。

 今後、静岡がトウモロコシ王国となる日もそう遠くはないかもしれません。

画像5: 富士山麓わくわくコーン販売会